米国の政権交代 情報共有し移行円滑に

 
米国で政治空白が生じれば国際情勢の不安定要因になる恐れがある。引き継ぎを滞りなく進め、来年1月の就任と同時に新政権を円滑にスタートさせてもらいたい。
バイデン氏は、トランプ氏が掲げた「自国第一主義」を転換し、国際協調路線へ回帰する姿勢を鮮明にしている。

 
外交を担う国務長官にブリンケン氏、国家安全保障問題担当の大統領補佐官にサリバン氏を起用する。ともにオバマ前政権の協調主義を支えた実務派である。
また、バイデン氏はトランプ氏が一方的に離脱した温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」への復帰を表明しており、気候変動問題担当の大統領特使を新設して民主党重鎮のケリー氏を充てる。

 
新型コロナウイルス対策や世界経済の安定化など各国の結束が必要な課題は山積し、中国やロシアは覇権主義的な動きを見せる。特に外交・安保分野では緊密な情報の引き継ぎと共有が欠かせまい。

 
なのにトランプ氏はいまだに敗北を認めず、自身は引き継ぎに応じていない。極めて問題だ。
2000年の大統領選では、最終結果が1カ月以上確定しなかったことで安保体制の確立が遅れ、翌年9月の米中枢同時テロに響いたとの指摘がある。同じ失敗を繰り返す懸念さえ生じかねない。

 
にもかかわらずトランプ氏はエスパー国防長官を解任した。トランプ氏がアフガニスタンの駐留米軍を約4500人から約2500人に削減する方針に、反対したことが一因だという。

 
反政府武装勢力タリバンが攻撃を続けており、撤退を急げばいっそうの治安悪化を招く可能性がある。軍や議会にも反対論が強い。
駆け込み的にレガシー(政治的遺産)をつくろうとしているのであれば、あまりに無責任である。

 
トランプ氏は自身のロシア疑惑を巡り偽証罪などに問われたフリン元大統領補佐官に恩赦を与え、さらに疑惑関連などで数百件の減刑を検討している。権力の私物化としか言いようがない。

 
最後まで身勝手なトランプ流を続けるとすれば、米国の歴史に汚点を残すだけだ。