さらばSEALDs!! 若者たちの門出にエール続々

週刊朝日 201692日号


終戦記念日の815日に解散した学生グループ「SEALDs」(自由と民主主義のための学生緊急行動)。翌16日に記者会見を開き、中心メンバーの奥田愛基さんは昨年5月の結成から1年余りの活動をこう振り返った。

「この社会がどうなっているんだという問いかけに対し、逃げずに何ができるのか。できることはやってきたつもりです」
 
ラップ調のかけ声で国会前デモをするなど、従来とは違う形で市民の支持を集めた。安保法制反対などで共闘した学者たちが惜別のエールを送る。
 
立憲デモクラシーの会共同代表の山口二郎・法政大教授はこう話す。
「とにかく、ありがとうと言いたい。私は政治学者として民主主義や平和を口にしてきたが、『本当にそれを信じているのか。信じているのなら、ちゃんと行動に移そうよ』と問いかけられた思いがした。彼らの率直な言葉が心地よく響いた」
 
哲学者の西谷修・立教大大学院特任教授は、SEALDsの源泉には東日本大震災があったと見る。

「彼らはボランティア活動などを通じ、被災者が当たり前の生活を取り戻せずにいることを知る。一方、自分たち学生は、ブラック企業や派遣労働が蔓延し、就職の展望も見えない。そこへ黒を白と言い募る安保法制が出てきた。何を信じていいかわからない感覚で、『国民をなめんな!』と声をあげる場を国会前に切り拓いた」
 
SEALDsは安保法制に反対する他団体とともに「市民連合」を結成。7月の参院選で野党共闘を呼びかけ、321人区すべてで統一候補の擁立を実現させ、うち11の選挙区で当選に導いた。「野党と市民連合の結集は、彼らの存在なくして成立しなかった」(山口教授)
 
だが、国会で改憲勢力が3分の2議席を得て、憲法改正の発議や緊急事態条項の新設が現実味を帯びる。そのタイミングでの解散である。小林節・慶応大名誉教授が指摘する。

SEALDsの衝撃的な現象は1回ポッキリです。後に続く人たちも、二番煎じでは通用しない。相手が脅威に感じるような、新たな政治ムーブメントを創出しなければならない。野党は今度こそ、安倍政権に対して立派な理論闘争をしなければならない」
 
SEALDsは「終わったというのなら、また始めましょう」との言葉を残して散開した。近い将来、彼らは、あるいは彼らの蒔いた種は、どう育っているだろうか。