<イスラム国拘束>「日本は十字軍に参加した」根強い敵対

イスラム過激派組織「イスラム国」とみられるグループが日本人2人の殺害を予告し、身代金を要求した事件で、犯行グループは、日本政府がイスラム国対策として2億ドル(約235億円)の拠出を表明したことについて「十字軍(米欧)に参加した」と非難した。政府は難民支援など「非軍事分野」と強調するが、日本を「米欧諸国の一員」とみなすイスラム過激派の敵対姿勢を変えさせるのは困難だ。多神教や無神論を蔑視する風潮も強く、今後も日本が過激派の標的から外れる可能性は低い。

1997年に起きたエジプト南部ルクソールでの銃乱射事件で、日本人10人を含む62人が殺害されるなど、イスラム過激派のテロに日本人が巻き込まれるケースは以前からあった。だが2003年のイラク戦争後、自衛隊がイラクに派遣されたことを受けて、過激派の間で日本が米欧諸国に加担しているとみなす風潮が強まった。

2004年10月、イラクを訪れた香田証生さん(当時24歳)がイスラム国の前身組織に拉致、殺害された事件でも、犯行グループは自衛隊の撤退を要求した。国際テロ組織アルカイダを率いた故ウサマ・ビンラディン容疑者も04年、イラク駐留米軍の司令官らと並んで、日本人を殺害の標的に挙げた。

イスラム国は従来、米国や欧州諸国、豪州などを「十字軍」と呼んで敵視し、日本を特に名指ししたことはなかった。だが、日本は対イスラム国の有志国連合を支持しており、敵対国の一つとみなされていた可能性は高い。日本人2人を拘束している犯行グループも、20日に公開した殺害予告ビデオで「自ら進んでイスラム国に対する十字軍に参加した」と日本を非難した。

イスラム過激派は宗教観も偏狭で、非常に寛容な日本とは対極にある。「一言で言えば、過激派にとって日本人は『不信心者』だ」。エジプトのイスラム過激派組織元メンバー、マヘル・ファルガリ氏は、そう指摘する。イスラム教では唯一神(アラー)への信仰が柱であり、神道などの多神教徒や無神論者は蔑視される傾向にある。

イスラム教の聖典(コーラン)には「宗教には無理強いは禁物」との記述がある。一般のイスラム教徒は、自身の信仰を絶対視しつつも、異教徒に寛容な面がある。現代アラブ世界でもイスラム教を「国教」と定める国は多いが、異教徒であることを理由に迫害されることは一般的にない。

だが、過激派は広報宣伝効果などを狙い、異教徒を迫害することがある。イスラム国は昨年、イラク北西部でクルド系少数派のヤジディー教徒を虐殺した。ヤジディー教は太陽信仰などを含む土着宗教だが、イスラム国は「悪魔崇拝」とのレッテルを貼り、ヤジディー教徒を問答無用で殺害したり、奴隷にしたりしたと避難民らが証言している。