日大教授・水野和夫氏が語る(下) 「ブロック経済の備えを」
2014年4月27日 日刊ゲンダイ
―そんな前から資本主義は限界を迎えていたのですか? となると、その後の40年というのは?
先進国が自国のために資本主義の延命策をとり、もがいた時代として位置づけられるべきでしょう。
―しかし、リーマン・ショックでいよいよ、ニッチもサッチもいかなくなった?
その通りです。米国は資本主義がこうやって終焉を迎えつつあるのをはっきり認識して確信犯として行動しています。
―安倍首相もわかっている?
わかっているとは思えません。米国のウォール街が「中心」に、日本の中間層が「周辺」になろうとしているのに、その認識がないように見えます。「グローバル化は止められない。最後のバスに乗り遅れるな」という首相の考えは間違っています。流れが止められないのではなくて、米国が金融資本を自己増殖させるために人為的にやっているわけです。後戻りできないというのはマジックです。グローバル化で幸せになるのは1%で、ほとんどの人は取り残される。だから、あちこちでデモが起こっているのではないですか。
―グローバル化で大企業が稼げば、いわゆるトリクルダウンが起きるのでは?
グローバル化を唱える新自由主義とは、政府よりも市場の方が正しい資本配分ができるという考え方です。資本配分を市場に任せれば、労働分配率を下げ、資本側の利益を増やします。ですから、富むものがより富み、貧者はますます貧しくなる。格差が広がっていくと、民主主義の土台が腐っていくという大きなマイナスもあります。こんな資本主義なら早く死期を迎えてもらってしまったほうがいい。そのためにも次のシステムを用意しておかなければいけない。
■中韓と対立する安倍外交の危うさ
―中国やインドなどの新興国も経済成長は期待できませんか?
市場は新興国が先進国並みに豊かになることを期待していますが、無理です。新興国の人々が先進国並みに自動車を所有し、電気冷蔵庫を購入し、鉄を消費するには莫大なエネルギーが必要になる。10カ国程度の新興国が先進国並みにエネルギーを消費するだけで現在の発電能力を2倍にする必要があるのです。
―その前に、資本主義の限界が露呈するのでしょうね。となると、資本主義はどういう形で終わるのでしょうか?
核兵器があるので、戦争によるフロンティア開発競争は考えにくい。G20が暴走する資本主義にブレーキをかけるシナリオも、米国が反対するから難しい。となると、中国のバブル崩壊というハードランディングになるのではないでしょうか。その後、世界はグローバル化ではなく、保護主義的にブロック経済化していくと思います。
―日本はどうしたらいいのでしょうか?
無理やり成長しようという発想を捨てることです。1歩前に出ようとすると3歩下がることになる。前に出なければ、後退はない。バブル崩壊もありません。もうひとつ、ブロック経済化に備えて、中韓関係を大事にすることです。中韓と敵対し、周辺国ばかりに行っている安倍外交は、資本主義の今後を見据えて行っているとは到底思えません。
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