使用済み核燃料を拒否 展望欠く国策への抗議だ

毎日新聞 


原発の使用済み燃料を再利用する「核燃料サイクル」は、事実上破綻している。矛盾を正そうとしない国や電力事業者に対し、立地自治体が突き付けた抗議の

表示に他ならない 

中間貯蔵地

国内で唯一の使用済み核燃料の中間貯蔵施設がある青森県の宮下宗一郎知事が、今年度の核燃料搬入を現時点で認めない方針を表明した。再処理工場の建設が遅れる中、「なし崩し的に搬入される環境を作るわけにはいかない」と理由を説明した。
 

中間貯蔵施設は使用済み燃料を再処理して新たな燃料に加工するまでの間、一時保管する役割を担う。再処理工場は青森県六ケ所村に建設中だが、技術的な難しさから工期の見直しが繰り返され、当初予定の1997年から30年近くたっても操業していない。 

事業者の日本原燃は今年度末の完成を見込むものの、原子力規制委員会の審査が終了しておらず、さらに遅れる可能性が高い。 

再処理が進まなければ、最長50年と取り決めている貯蔵期間を過ぎても使用済み燃料を搬出できない事態になりかねない。核のごみ捨て場にしない確約を繰り返し国に求めてきた宮下知事のいらだちは理解できる。 

搬入は2024年から始まり、今年度は再稼働した東京電力柏崎刈羽原発から約60トンが運ばれる予定だった。拒否によって運転にただちに支障が出るわけではないが、原発内の使用済み燃料貯蔵プールは8割以上が埋まっており、移さないと数年で満杯になる。 

全国の他の原発も使用済み燃料の保管に苦慮している。再稼働が進めば、状況は一層厳しくなる。 そもそも核燃料サイクルは、中核となる高速増殖炉の開発が頓挫しており、再処理の意義は薄れている。かといって再処理をやめると、全国で計2万トンを超す使用済み燃料は「資源」ではなく「ごみ」とみなされる。立地自治体から撤去を求められれば、原発の操業は窮地に陥る。八方塞がりの状況だ。 

増え続ける使用済み燃料や廃棄物の適切な管理・処理の道筋を示さずに、原発回帰にかじを切るのは無責任だ。国は自治体の声を重く受け止め、負担を押し付けたまま課題を先送りしてきた姿勢を改めなければならない。