普天間合意30年 返還へ現行計画見直せ


2026
412日 北海道新聞


日米両政府が沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場返還に合意してから、きょうで30年になった。当初「57年以内」とした返還は一向に実現せず、市街地にあり「世界一」といわれる危険性は除去されていない。

 
政府は県内の名護市辺野古への移設を決め、反対を押し切って工事を続けているが、軟弱地盤の影響で難航している。
しかも米国防総省は今年、辺野古は滑走路が短いため、完成しても普天間の施設は返還されないとの見解を示した。日本政府は「辺野古移設が唯一の解決策」と繰り返してきたが、主張が根底から覆された形だ。

 
30年で安全保障環境は激変した。まず政府は早期返還を求めるとともに、辺野古の工事を中止すべきだ。米側に呼びかけて在日米軍基地のあり方から議論し、沖縄の声に耳を傾けながら返還へ現行計画の抜本的な見直しを急ぐ必要がある。

 
普天間返還は1995年に沖縄県内で米兵による小学生の少女への暴行事件が発生し、基地返還運動が高まったのがきっかけだった。翌年412日、当時の橋本龍太郎首相とモンデール駐日米大使が合意を発表した。

 
ただ、県内への移設が条件とされ、政府が合意の3年後に辺野古移設を決めたため、県内外に賛否を巡る分断を生んだ。
2019年には辺野古埋め立てへの賛否を問う県民投票で反対が圧倒的に上回ったにもかかわらず、政府は計画を進めた。

 
移設に反対する県との間で法廷闘争が続き、政府は23年に設計変更を県に代わって承認する異例の代執行に踏みきり、埋め立てを強行した。沖縄の民意を軽視する行為を繰り返してきたといわざるを得ない。

 
辺野古の工費は9千億円以上に膨らんだ。工期も見通せず、移設計画の破綻は明らかだ。辺野古にこだわり事態を悪化させてきた歴代政権の責任は重い。
だが、高市早苗首相をはじめ最近の政権は、沖縄との対話に消極的な姿勢が目立つ。県や県民と謙虚に向き合い対話を重ねなければ、不信感を解消することはできない。

 
普天間合意の契機となった米軍関係者の犯罪は後を絶たず、不平等な日米地位協定の見直しも進んでいない。04年の沖縄国際大へのヘリ墜落など米軍機による事故も度々発生している。県民は基地の不安にいつまで向き合わねばならないのか。

 
普天間返還は米軍専用施設面積の約7割が集中する沖縄を象徴する問題である。地元の負担軽減という原点に立ち戻り、一から議論し直す時だ。