イラン停戦合意 国際社会は和平後押しを

202649日 北海道新聞


米国とイランが一時停戦で合意したと仲介するパキスタンが発表した。トランプ米大統領はホルムズ海峡開放を条件に攻撃を2週間停止するという。米国とイスラエルの攻撃は国際法違反である。交渉によって恒久的和平の構築を急ぐべきだ。

 
核開発を巡る協議中に奇襲を受けたイラン側の不信感は根深い。和平交渉は10日にも始まる見通しだ。米国は完全な終戦などを求めるイランに対し、誠実に向き合う必要がある。
カギを握るのが停戦に後ろ向きなイスラエルの動向だ。

トランプ政権にイラン攻撃を働きかけ、核問題協議を破綻させた責任は重い。停戦合意の発表後も小規模な衝突が続く。偶発的戦闘を口実に攻撃を継続するようなことがあってはならない。

 
一時停戦の報道を受けて原油価格は下落し、株価も上昇したが、海峡封鎖の行方は予断を許さない。反撃を受けた湾岸諸国の石油インフラの回復は見通せず、楽観は禁物だ。
基地使用の拒否などで米国と欧州の亀裂が深まる中、国連やイランと友好関係にある日本の役割の重要性は増している。

 
中東の混乱をこれ以上、広げてはならない。国際社会は仲裁外交に乗り出した中国や周辺国とともに積極的に停戦交渉に関与し、和平の実現と地域の安定を後押ししなければならない。

 
イラン側の死者は最高指導者を含め2千人を超えた。子どもや女性の犠牲も多い。米国際法学会はイラン攻撃が国連憲章に違反するとして批判の声明を出した。学校や病院、発電所などのインフラ、核関連施設への攻撃は戦争犯罪の疑いが色濃い。

 
イランはホルムズ海峡の管理やウラン濃縮活動の容認など10項目を求めている。自由航行が認められた国際海峡の政治的・軍事的利用は法の支配に反する。戦略的要衝であっても国際法に従い解決を図るべきだ。

 
核開発の管理は、第1次トランプ政権の核合意離脱で事実上崩壊していたとはいえ、国際原子力機関(IAEA)の査察を受け入れるのが筋だろう。
トランプ政権は戦略の欠如や弾薬不足も指摘される兵たんの甘い見通しで戦線の膠着と原油価格高騰など世界的混乱を招いた。場当たりの対応では低迷する支持率の回復も望めまい。

 
高市早苗首相はきのう、イランのペゼシュキアン大統領と電話会談した。すでに米国との停戦合意に至った後ではあるが、事態の沈静化を確実なものにするためにも、対米追従を改め、主体的な外交に踏み出す一歩とするべきだ。