普天間返還の条件 米の言い分は筋が通らぬ
毎日新聞2026/3/15
2国間の合意を覆し、基地を返還しないつもりなのか。疑念を抱かざるを得ない。沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場を巡り、米国防総省が、名護市辺野古に移設後も日本へ返還しない可能性に言及した。
辺野古に普天間と同規模の滑走路がないためだという。建設予定の2本はいずれも約1800メートルで普天間の約2700メートルより短い。
2013年に日米が取りまとめた計画では、返還条件の一つとして、緊急時に長い滑走路が必要となった場合に民間施設を使用することが盛り込まれた。有事に自衛隊、米軍、民間の多数の航空機が利用することを想定している。どの滑走路を使うか、あらかじめ決めておくことまでは明記されていない。
しかし、国防総省は昨年、民間の滑走路を日本側が選定するまで「普天間は返還されない」とする見解を米政府監査院に示していた。新たな条件を持ち出したに等しく、米国の言い分は筋が通らない。
日本政府は、有事の際に民間空港を指定して、自衛隊や米軍による優先利用を認める制度で対応できるとの立場だ。ただ、小泉進次郎防衛相は「現時点で具体的な内容を定めるのは困難だ」と述べ、どの空港を使うかは明らかにしていない。沖縄本島で、普天間と同規模の滑走路を持つのは那覇空港だけだが、県は緊急時に米軍が使用することに反対している。
普天間は市街地に位置しており「世界で最も危険な飛行場」と指摘されてきた。日米が1996年に返還で合意してから30年がたつ。実現しなければ、危険性が固定されることになる。米軍内にはかねて、普天間の継続使用を求める声があった。東アジアの安全保障環境が悪化しているためだが、沖縄県の玉城デニー知事は「米側の都合のいい話は到底受け入れられない」と反発している。
政府は沖縄の基地負担軽減を目指すと強調し、「辺野古移設が唯一の解決策」と主張してきた。普天間が存続する余地を残すことになれば、移設計画の前提が崩れる。認識の食い違いを解消し、返還の約束を確実に履行するよう米国に働き掛けなければならない。
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