予算案衆院通過 巨大与党の横暴あらわ


2026
314日 北海道新聞


2026年度予算案が衆院本会議で可決された。年度内成立にこだわる高市早苗首相の意向を受け、与党が採決を強行した。巨大与党の横暴は、憲政史に汚点として残るだろう。

衆院解散で年度内成立を難しくしながら、審議短縮を求める首相の姿勢は身勝手極まりない。施政方針演説で「謙虚に、しかし大胆に政権運営に当たる」と述べたが、謙虚さを忘れたのか。国会軽視が目に余る。

 
予算案は一般会計122兆円と過去最大だ。首相の掲げる「責任ある積極財政」などのほか、審議中に米国とイスラエルによるイラン攻撃も発生し、議論すべき課題は山積している。
だが衆院での審議は異例の短さとなり、論戦は深まらなかった。財政政策は国会議決を必要とする。憲法に基づく財政民主主義だ。その原則を揺るがし、あしき前例になりかねない。

 
中東情勢が緊迫し、日本への石油の供給にも大きな影響が出始めている。来週には日米首脳会談が予定されている。内政・外交ともに重大な局面だ。
しかし予算委員会で首相は米国への配慮から、国際法違反が明白なイランへの攻撃に対する評価を避け続け、平和国家としての主体性は見えなかった。

 
政府は石油の備蓄放出などを決めたが、物価上昇への具体策はこれからだ。しっかり議論して予算案を組み替え、実効性ある対策を目指すべきである。
首相は消費税減税の議論を社会保障国民会議に丸投げしたほか、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)や「政治とカネ」を巡る議論も不十分なままだ。

 
首相に見解を求める野党に対し、閣僚が答弁を読み上げて時間を稼ぐ質疑が繰り返され、首相の答弁回数は大きく減った。
首相は衆院選で「私が首相でいいのか選んでほしい」と訴えたはずだ。答弁から逃げるなら覚悟に疑問を持たざるを得ない。「国論を二分するような政策に挑む」と掲げた以上、なおさら説明を尽くすべきだろう。

 
審議は計59時間で、07年の66時間を下回り00年以降で最短となった。日程は、自民党の坂本哲志予算委員長が野党の合意なく職権でほぼ決めた。分科会を37年ぶりに開かず、首相出席の集中審議も2回にとどまる。

 
主要野党は予算案に反対した。当初は賛成する方針だった国民民主党も、強引な国会運営に反発して反対に回った。
参院は少数与党のままで、数に任せた国会運営はできない。「良識の府」とされる参院は日程ありきではなく、丁寧に議論を尽くさなければならない。