中東と日本外交 米にも攻撃停止求めよ
2026年3月10日北海道新聞
米国とイスラエルが続けるイラン攻撃を巡り、日本政府の対応が問われている。高市早苗首相は衆院予算委員会で、攻撃への法的評価を再び避けた。首相は理由を「詳細な事実関係を把握する立場にない」と説明したが、イランによる核開発や周辺国への攻撃は非難している。何よりも先に、先制攻撃を仕掛けた米国とイスラエルに停止を求めるべきではないか。
明白な国連憲章違反を黙認するのは「法の支配」を基本とする日本の立場と相いれない。首相は19日にトランプ米大統領との首脳会談を予定している。首相は「しっかり議論したい」と述べたが、攻撃への支持や協力を求められる可能性もある。対米追従一辺倒の外交姿勢を改めなくてはならない。
米側はイランの最高指導者を殺害し、トランプ氏は無条件降伏を要求する。イランも周辺国の関連施設などを攻撃している。民間人に被害が出ており、一刻も早い戦闘停止が必要だ。 スペインのサンチェス首相は米側の攻撃について「甚だしい過ちで国際法を順守していない」と述べた。国際社会には批判が広がりつつある。日本は中堅国などと連携して攻撃停止と平和的解決を求めるべきだ。
首相は米国によるベネズエラ攻撃の際も評価を避けた。ロシアのウクライナ侵攻を批判してきた姿勢との整合性も問われている。親日的なイランとの関係が崩れかねない。また、首相は攻撃開始当日に石川県知事選の応援に赴いたことを予算委で問われて「不適切とは思わない」と述べたが、危機管理のあり方に疑問が残る。
ホルムズ海峡は現在、イランに事実上封鎖され、タンカーなどの往来が難しくなっている。 2015年の安全保障関連法の審議で、当時の安倍晋三首相はホルムズ海峡の機雷敷設による封鎖を「存立危機事態」の例として繰り返した。自衛隊による機雷除去が集団的自衛権行使の対象になり得るとの考えだ。
高市首相は現時点では存立危機事態や、他国軍を後方支援する「重要影響事態」に該当するとは認識していないと述べた。存立危機事態は「国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険」が要件である。石油は計250日分程度の備蓄があるという。該当しないとの判断は妥当だ。
認定して戦時下の機雷除去にあたれば国際法上は相手国への武力行使とみなされる。そもそも、違憲の疑いが濃い安保関連法に基づいて海外で米軍の戦争に参加することは許されない。
コメント