教団に解散命令 被害繰り返さぬ教訓に


2026
35日 北海道新聞


東京高裁が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に解散を命じた。地裁決定を支持した。高裁は、教団側が不法な献金勧誘を事実上容認したことで「極めて多額の損害と多大な苦痛が発生した」と認定した。

 
その上で、教団が2009年に法令順守を約束した後も不法行為が続いていたとして「教団が防止策を自発的にとることは期待し難い」と結論づけた。
教団は「結論ありきの不当な判断だ」として、最高裁に特別抗告する考えを示した。

 
憲法は信教の自由を保障する。国家による不当な介入はあってはならない。しかし家庭の不幸などにつけ込み、個人の財産を根こそぎ奪うような悪質な勧誘が許されるわけがない。
被害の深刻さを重く捉えた判断と言える。

 
教団による霊感商法や高額献金は1980年代後半には社会問題となっていた。だが社会の関心は次第に薄れ被害は水面下で拡大していった。政治が救済に動いたのは、22年に安倍晋三元首相銃撃事件が起きた後だ。

 
この経緯を、政府と国会はもとより、社会全体で反省しなければならない。教団の一連の問題を、他の宗教団体も含め同じような被害を繰り返さない教訓にすることが大切になる。
教団は法人格を失い、清算手続きに移る。裁判所が選任した清算人が教団の財産を管理し、被害者に返金していく。

 
信者の親を持つ宗教2世を含め、被害者救済を確実に進めなければならない。
教団財産の把握や膨大な被害者の確認、弁済は困難な作業になるとみられる。気がかりなのは、宗教法人法が清算人の権限を具体的に定めていないことだ。日本弁護士連合会は調査権限の強化を求めている。検討が必要だろう。

 
教団は清算後に残った財産の移転先に帯広市の宗教法人「天地正教」を指定している。教団の活動がここに移れば解散命令が骨抜きになる。財産が隠される懸念も拭えない。国は今後の動きを注視する必要がある。

 
忘れてならないのは、教団と政治の不透明な関わりだ。
とりわけ自民党は選挙で教団の支援を受け、教団は自民党との関係をお墨付きを得たように利用してきた。この関係が被害拡大に影響してこなかったか。自民党には依然として実態解明と検証の責任がある。

 
高市早苗首相は、教団系の日刊紙のインタビューを94年から01年までに5回受けたと衆院予算委員会で明かした。さらに詳しい経緯を聞きたい。