豊浜事故30年 インフラの点検不断に
2026年2月11日北海道新聞
風雪の中での懸命の救出作業を思い起こす方も多いだろう。再発防止を改めて誓いたい。事故後、国は全国のトンネルの検査を強化し、危険な岩の除去やルート変更を進めた。だがトンネルの崩落は続いた。2012年には山梨県の中央自動車道笹子トンネルで天井板が崩落し、9人が死亡した。
今では道路や上下水道管など公共インフラ全般の老朽化が差し迫った課題になっている。誰もが利用するインフラに事故が起きれば、社会に甚大な影響を与える。安全性が何より優先される。そのために不断に点検し危険の芽を摘み、被害を防がなければならない。それが豊浜の教訓である。
トンネルを管理する北海道開発局の調査委員会は、岩に浸透した水の凍結や融解などで亀裂が広がり崩落に至ったとし、予見は困難だったと結論づけた。ただ崩落の直前、現場を車で通った人が小石が落ちてきていると警察に通報していた。
豊浜を含め比較的長いトンネルには、異変に気づいた人がボタンを押すと入り口の電光掲示板に異常発生が表示され、最寄りの道路事務所にも伝わる緊急通報設備が当時からあった。 だが開発局の周知が不十分で、生かされなかった。
この事故を巡っては、開発局小樽道路事務所の元幹部2人が業務上過失致死傷容疑で書類送検された。事故の約4年前に現場近くで岩盤落下があったのに安全対策を怠ったとされた。 後に崩落の予見は不可能だったとして不起訴になったものの、そうした異変をいかに早く、確実に把握し適切に対応するかが問われ続けている。
今は小型無人機などで人の目の届きにくい所の様子も確認できる。人手不足を補うためにも新しい技術を積極的に取り入れ安全につなげてもらいたい。インフラ整備は1970年代までの高度成長期に全国で急速に進んだ。2040年時点で全国の道路橋の75%、トンネルの52%が建設から50年以上になる。老朽化が一気に加速する。
1年前に起きた埼玉県八潮市の道路陥没は、腐食した下水道管に土砂が流れ込んで引き起こされたとみられている。効率的な更新や改修、長寿命化が肝要になる。既存インフラ網を人口減社会にどう適合させていくかも考えねばならない。
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