冬季五輪開幕 平和に寄与する大会に


2026
26日北海道新聞


ミラノ・コルティナ冬季五輪が開幕する。22日までの大会期間中、世界のトップアスリートたちが雪と氷の上で熱い戦いを繰り広げる。五輪憲章は「人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進」をうたう。しかし世界の状況は逆行している。2022年の北京五輪閉幕直後、ロシアはウクライナに侵攻し、終結は見えない。パレスチナ自治区ガザではイスラエルの攻撃が続く。

 
慣例の五輪休戦の国連決議は採択されたが、法的拘束力はない。24年パリ大会に続く戦時下の「平和の祭典」となることを国際社会は深く省みるべきだ。
国際オリンピック委員会(IOC)のコベントリー会長は五輪について「分断された世界において、人々を団結させ、希望をもたらす基盤」だとする。五輪本来の意義を再確認する大会にしなければならない。

 
IOCはロシアと同盟国ベラルーシの選手をパリ大会と同様に軍などに関与しない「中立」を条件に個人資格での参加を認めた。一方、国連人権理事会の委員会がガザでのジェノサイド(集団殺害)を認定したイスラエルに対する制限はない。

 
「二重基準」との批判が出ているのはうなずける面もある。全ての選手はルールに基づいて競い、他の国や地域の選手に敬意を払ってほしい。それが平和に資することにもなる。
開催コストの増大や環境への負荷、行き過ぎた商業主義など、五輪の負の側面が指摘されている。新たに造った競技施設が大会後、利用が進まぬまま、維持に多額の費用が掛かる「負の遺産」になるケースも多い。

 
今大会は四つの会場群で分散開催し、既存施設を有効活用する。妥当な方向性だろう。
地球温暖化は冬季五輪の将来に影を落とす。開催できる都市の減少は避けられない。米国が温暖化対策に背を向ける中、大会を地球を守る国際協調の機運を再び高める機会ともしたい。

 
日本選手団120人余りの主力は道内勢だ。存分に力を発揮してほしい。活躍する選手に憧れ、競技を始める子どもたちもいるはずだ。ウインタースポーツの振興につなげてほしい。
 札幌の経済界から、23年に停止した冬季五輪招致活動を再開すべきだとの声が上がっている。

インフラ整備など経済効果を期待しての発想では、これまでの活動の域を出ず、市民の支持拡大につながるかは疑問だ。
再び札幌で五輪を開く意義や五輪自体の価値を高める理念を世界に向けて発信できるかが問われているのではないか。