加速する少子化 若者が将来描けるように
2025年6月6日 北海道新聞
厚生労働省が2024年の人口動態統計(概数)を発表した。女性が生涯に産む子どもの推定人数を示す合計特殊出生率は1.15で過去最低を更新した。昨年生まれた日本人の子どもの数は68万6千人余と、初めて70万人を割り込んだ。
道内の合計特殊出生率は1.01、出生数は2万2千人余と、いずれも過去最低となった。少子化の加速は想定以上のペースで進んでいる。出産する年代の女性の数自体が減り、未婚化・晩婚化が拍車を掛ける。
国は1990年代以降、さまざまな少子化対策を打ち出してきたが、目に見える効果は表れていない。国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の2021年の調査では、女性の生き方の理想像は、男女ともに「仕事と子育ての両立」が最多だった。
若者の雇用と所得を安定させて、結婚や出産を望む人が将来展望を描けるよう、あらゆる政策を総合的に展開するべきだ。昨年の婚姻数は2年ぶりに増加したが、新型コロナウイルス禍の反動ともみられる。中期的には減少傾向が続いている。
国の少子化対策は出産や子育て支援が中心だ。非正規雇用など低所得の若者の間では、経済的な理由から結婚を諦める人が増えている。こうした人たちに目を向ける必要がある。正規雇用への転換をはじめ、「同一労働同一賃金」を徹底し、正規と非正規の待遇格差を是正しなければならない。
東京都の合計特殊出生率は0.96と全国ワーストだ。ただ中央区、港区など高所得の共働き夫婦が多いエリアでは1を大きく超えている。育児休業制度の普及や待機児童ゼロ作戦など政策の効果が一定程度あったとも言えるが、生活基盤が安定しているからこそだろう。子どもを持つことにも格差がある実態は看過できない。
豊かな自然の中で子育てしたいと望む若者もいる。北海道はUターンやIターンの希望者を一層呼び込める可能性がある。地方が活性化すれば、札幌一極集中の緩和にもつながる。石破茂政権の「地方創生2.0」も地方移住を促している。具体化に努めてもらいたい。
女性に偏る家事育児を男性がもっと担うには、長時間労働をさらに見直す必要もあろう。欧米では婚外子は珍しくない。多様な家族を受け入れたい。姓を変えたくないので結婚しないカップルは少なくないとされる。選択的夫婦別姓を導入し、制度の壁を取り除くことは政治の責任ですぐにできる。
コメント