泊審査の長期化 年限区切る検討必要だ


2023
228 北海道新聞

 
北海道電力泊原発の再稼働を巡る原子力規制委員会の審査が先行き不透明となっている。
7月で異例の丸10年になるが、先週は耐震設計の目安である「基準地震動」決定が見送られた。合格に必要な条件の一つであり、見送りは昨年10月に続き2回目だ。

 
資料不備や説明不足が理由という。この席で北電は津波や火山対策など全ての説明終了時期を今年9月から12月に延長するとした。
審査は電力会社が自ら示した安全性を客観的に評価するのが筋だ。だが日程が大幅に遅れる泊原発では昨年から規制委主導に変えていた。合格を指南するかのような姿勢とも見え、疑問が残る。

 
岸田文雄政権は電力逼迫(ひっぱく)懸念を理由に原発回帰を図るものの「安全の最優先」を前提とする。
ならば規制委は審査年限を区切り、北電の説明が間に合わないなら差し戻す方策を検討すべきだ。

 
先週の会合では選定外だった地震動に対する北電の説明などが「具体性に乏しい」と批判された。
 規制委は昨春以降、説明期限を守れるよう資料提出などの手順を会合で助言し、論点をリスト化して北電に示してきた。それなのに回答に窮するケースが目立つ。

 
他原発にはない特別対応は経済界や与党からの「審査が長い」との批判をかわす側面もあろう。泊と同時期に申請した4原発は4年以内に合格している。
むろん安全性確保に時間をかけるのは当然だ。ただし北電の場合、慎重審議というより規制委任せが一層強まったようにも見える。当初は昨年9月だった説明期限を2度も引き延ばしている。

 
東京電力の福島第1原発事故では想定外とした事態に対応できずメルトダウンを引き起こした。当事者意識が希薄になれば緊急時の迅速な判断はさらに難しくなる。
北電は6月以降の家庭向け料金34・87%値上げを経済産業省に申請した。一方で藤井裕社長は先月の会見で泊再稼働後に「電気料金を値下げする」と明言している。

 
北電は2026年12月再稼働を想定する。経産省の会合で値下げ効果を求められ、原価圧縮は3カ月稼働で年70億円と試算した。
だが通年稼働のコスト減やそれを反映した電気料金は明らかにしていない。安全対策費がかさみ値下げは限定的との疑念も出よう。

 
国は最長60年の原発運転ルールを変更し、審査中の停止期間を算入しない方針だ。安全性証明がままならぬ泊原発を70年以上も稼働させれば不安が募るだけだ。