自民党大会 不信拭う意志が見えぬ


2023
227 北海道新聞

 
自民党は党大会を開き、4月の統一地方選と国政補欠選挙に向けて結束をアピールした。
岸田文雄首相は演説で、故安倍晋三元首相の功績を強調した上で「次の10年をつくるため、新たな一歩を踏み出す」と語った。

 
だが、安倍氏の銃撃事件で明らかになった世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と自民党との不透明な関係や、相次ぐ閣僚辞任の引き金になった政治とカネの問題には一切言及しなかった。
国民の不信を拭おうという意志がまるで感じられない。そうした姿勢では、新時代への推進力は得られまい。

 
安倍氏が首相に返り咲いた政権復帰からの10年の成果を誇るだけでは国民の信頼は取り戻せない。
森友学園問題をはじめ、解明されていない疑惑も数多い。謙虚に功罪を検証し、自らの足元を見つめ直す必要がある。

 
大会では党の行動指針「ガバナンスコードの遵守(じゅんしゅ)」を盛り込んだ運動方針を決定した。
 指針は政治とカネをはじめとする疑惑を持たれた所属議員に丁寧な説明を求めることなどを定める。旧統一教会問題を受け、教団を念頭に活動を助長する行動などを「厳に慎む」との規定を設けた。

 
ただ指針は実効性が不透明で、遵守を掲げただけで教団との関係を断絶できるのか疑問が残る。
 地方議員は国会議員以上に教団との関係が深いとされる。統一地方選前に議員と候補の実態調査を行い、結果を公表すべきだ。

 
河井克行元法相夫妻の有罪が確定した参院選広島選挙区を巡る買収事件では、地方議員や首長が現金を受け取っていた。夫妻だけでなく、地方議員らも説明責任を果たさなければならない。
首相演説、運動方針ともLGBTなど性的少数者への理解増進法案の対応には言及がなかった。差別発言で元首相秘書官が更迭されたことへの反省が見えない。

 
運動方針で「女性活躍」の推進を打ち出したが、選択的夫婦別姓には何も触れていない。
旧統一教会は同性婚などに拒否感を示してきた。その影響はないのか検証が欠かせない。首相は演説で「時代は憲法の早期改正を求めていると感じている。野党の力も借り、国会の議論を一層積極的に行う」と述べた。

 
国民の不信解消の道筋も見えないのに、国論を二分する改憲に突き進む姿勢に強い違和感を覚える。改憲論議よりも、優先すべきことがあるはずだ。