新幹線談合疑い 実態の徹底解明欠かせぬ
2026年5月21日 北海道新聞
北海道新幹線の札幌延伸工事の入札で談合を繰り返した疑いが強まったとして、公正取引委員会が独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで札幌や東京、大阪など9社の鉄道敷設工事会社を立ち入り検査した。
発注した独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」(横浜市)の職員も不正に関与した可能性があるとして、機構にも検査に入った。談合が事実だとすれば、公平や透明性が求められる入札制度をゆがめる行為で言語道断だ。
巨額の国費が投入される公共事業で談合によって工費が膨らんだのであれば国民の損失になる。企業が不正な利益を得たのであれば到底許されない。徹底した実態解明が不可欠である。
検査を受けたのは、JR北海道グループの北海道軌道施設工業やJR東日本のグループ会社などだ。各社はレール設置などの入札で事前に話し合って受注予定者を調整した疑いがある。昨年までに行われた5工区の落札率は94~99%だった。一般的に95%を超えると談合の疑いが強いとされることを踏まえれば、不自然さが際立っている。
2013年に北陸新幹線で、17年にはリニア中央新幹線で談合が発覚した。根深い悪弊があると言われても仕方あるまい。新幹線工事を担えるのは高度な技術力を持つ一部企業に限られる。だからといって談合は論外だ。業界自らが透明性を高める努力をし、他に疑われる事案がないか検証すべきである。
鉄道運輸機構は政府が全額出資する。公取委は自治体などを対象に行った官製談合の実態調査で「未然防止への取り組みは道半ば」と結論付けた。罰則強化など官製談合防止法の抜本的な見直しを考えるべきである。
札幌延伸はトンネル工事の難航などで開業が30年度末から38年度末以降に延期された。建設資材や人件費の高騰で事業費が2兆3千億円から最大で1兆2千億円増える。財務省は先月、札幌延伸は費用対効果が採算性の目安を下回るとの試算を示し、「基本的にプロジェクトを中止すべき水準」に当たるとした。
北海道新幹線への風当たりが強まる中での談合疑惑である。真相究明に時間を要せば、延伸時期が不透明になる。工費が談合で上振れしていれば、事業の正当性を問う声も出かねない。新幹線は冬の悪天候で空路が閉ざされる北海道の欠かせぬ交通手段となる。北海道や経済界は工事にあたる関係業界に法令順守を訴えつつ、延伸の早期実現に向けた努力をすべきだ。





