ふるさと納税 ひずみを放置できない
2025年8月31日北海道新聞
ふるさと納税制度による2024年度の全国の寄付総額が、約1.3兆円に上ったと総務省が発表した。5年連続で過去最高を更新した。利用者は23年度に続き1千万人を超えた。規模拡大に伴い問題点も目立ってきた。寄付金は自治体の財源として活用されるべきだが、返礼品や送料、仲介サイトへの手数料を差し引くと、自治体の手元に残るのは平均半分強だ。
寄付は2千円を除いて税控除される。上限額は高所得者ほど高い。返礼品と節税が目的化しており、税の所得再分配機能が損なわれている。寄付を通して故郷や応援したい自治体に貢献するという創設時の原点に立ち返り、制度を根幹から見直す必要がある。
北海道内の市町村にとって、ふるさと納税の恩恵は大きい。海産物や米、肉などの返礼品が人気で、昨年度の道内への寄付額は約1800億円と都道府県別で6年連続1位となった。生産地が自ら返礼品を加工し出荷することで、地場産業の振興につながっている。ただ返礼品の開発競争は激しい。どの自治体も寄付の先行きは見通せない。ふるさと納税に過度に依存しない財政運営が求められる。
1次産品に恵まれた自治体とそうではない自治体の寄付額の差は大きい。ふるさと納税をした住民が多い大都市圏は住民税を軒並み減らした。札幌市も100億円を超えた。税の公平性の観点から問題がある。
国は減収分の75%を地方交付税で補塡(ほてん)するが、東京23区など地方交付税の不交付団体は対象とならない。都市部に集中する税財源を多少なりとも地方に配分するのがふるさと納税の趣旨だが、一部の自治体で行政運営に懸念が生じているのは見過ごせない。
住民税は行政サービスを受ける自治体に納めるのが本来の姿だ。寄付額の30%以下と定められている返礼品の割合をさらに減らしたり、税控除の上限額を引き下げたりするなど、適度な利用を促す改善が求められる。
政府は自治体に対し、寄付者にポイントを付与する仲介サイトの利用を10月から禁じる。手数料の一部がポイントの原資になっている可能性を指摘する。楽天グループはポイントは自社の負担で付与していると反発し、無効確認を求め提訴した。
アマゾンジャパンが昨年末、仲介事業に参入するなど、サイト間の競争は激化している。自治体を返礼品競争に走らせ、仲介サイトを運営するクラウド事業者は潤う。制度のひずみを国は放置してはならない。



