真実の報道神秘

権力の『おかしな政策』におかしいと報道しない日本で、一人でも『おかしい』と声を上げ、真実を追求して行きます。

2016年10月

山本太郎が稲田朋美の「恥ずかしい過去」を暴露!

2016/10/30   半歩前へⅡ

▼山本太郎が稲田朋美の「恥ずかしい過去」を暴露!
「TPPバスの終着点は、日本文明の墓場」(産経新聞/2011年11月7日)、「このTPPはアメリカのためにあるんです」
(衆議院経済産業委員会/2011年4月13日)。


これは野党の発言ではない。あの、防衛相の稲田朋美の発言である。そして、現在、農水相を務める山本有二もTPPについて、「主権を売る行為に等しい」(高知新聞/2011年11月15日)と言った。


自民党の現閣僚が過去にこんな発言をしていたことを山本太郎が紹介した。「こんなことを言っていた人たちが、今は全力でTPPに取り組もうとしている? あり得ない!」と自民党の二枚舌を批判した。 


稲田防衛相の驚愕の過去発言「TPPバスの終着点は日本文明の墓場」「TPPはアメリカのためにある」に山本太郎議員が「そんな事言っていた人たちが今はTPPに全力で取り組み。ありえない!」 2016.10.15
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/338900
2016.10.16 IWJ Independent Web Journal


特集 TPP問題
※公共性に鑑み、1週間後の11月4日金曜日まで、フル公開します!

「国民に対しては黒塗りの資料。仲間うちでは白紙の領収書。こんな無責任で無軌道な政治を絶対許さない!」


今国会最大の焦点である環太平洋連携協定(TPP)が審議入りした翌日の2016年10月15日、「TPPを批准させない! 10.15SAT 1万人行動 今国会での拙速な批准は、絶対許さない!」の中央集会が芝公園(東京・港区)で開催された。集会後には銀座でデモも行われ、約3キロのルートを練り歩いた。参加者は主催者発表で8千人だった。


中央集会では、社民党の福島みずほ参議院議員、日本共産党書記局長の小池晃参議院議員、自由党共同代表である山本太郎参議院議員、「オールジャパン平和と共生」経済学者・植草一秀氏、PARC事務局長の内田聖子氏、そして弁護士で元農林水産大臣の山田正彦氏などがマイクを握った。

▲「白紙領収書疑惑」を追及した日本共産党・小池晃議員

小池議員は、「経済主権も食料主権も売り渡す亡国の条約がTPPだ」と、厳しく断じた。さらに、「これだけ国民に影響を与えるのに、交渉で日本が何を要求したのかも、外国が何を求めたのかも、まったく明らかにしようとしない。国民に対しては黒塗りの資料、仲間うちでは白紙の領収書。こんな無責任な無軌道な政治を絶対許さない」と訴えた。


■ハイライト
稲田防衛相の驚愕の過去発言「TPPバスの終着点は日本文明の墓場」「TPPはアメリカのためにある」に山本太郎議員が「そんな事言っていた人たちが今はTPPに全力で取り組み。ありえない!」 16.10.15


・12:00〜 集会(芝公園)
・13:30〜 デモ 芝公園 → 西新橋1丁目交差点 → 新橋駅前 → 鍛冶橋交差点
・日時 2016年10月15日(土)12:00〜
・集会場所 芝公園23号地(東京都港区)
・呼びかけ TPPを批准させない!全国共同行動


■180度言っていることが変わった現役閣僚!稲田防衛相は過去に「TPPバスの終着点は、日本文明の墓場」と発言!

▲自身が発行するWeb新聞「永田町恐怖新聞」を掲げてTPP反対を訴える自由党・山本太郎議員

山本太郎議員は、「TPPは、マスコミの広告主である多国籍企業、大企業のために最大限の規制緩和を行うための条約。だからマスコミは大きく扱わない。農業問題に矮小化されている」と指摘、TPPが国民の生活に与える数々の問題点を、多くの国民がまだ知らないままであることに懸念を示した。


その上で、「ひとりひとりが、分かりやすい言葉で、TPPの危険性を多くの人に伝えることが、TPPを止める鍵になる」と訴えた。


また、山本議員は2012年の衆議院選挙において自民党はTPPに反対する立場で、選挙戦を展開していたことに触れた。その上で、現防衛大臣である稲田朋美氏が「TPPバスの終着点は、日本文明の墓場」(産経新聞/2011年11月7日)、「このTPPはアメリカのためにあるんです」(衆議院経済産業委員会/2011年4月13日)、そして、現農林水産大臣である山本有二氏が「主権を売る行為に等しい」(高知新聞/2011年11月15日)などと、自民党の現閣僚が過去に発言していたことを紹介した。


「そんなことを言っていた人たちが、今は全力でTPPに取り組もうとしている!ありえない!」 

山本議員は、「お仕置きが必要だ!」として、年明けにも行われると言われている次の衆議院選挙で、自民党への不支持を訴えた。


呆れた親バカ三男・宏高員の選挙をめぐる「裏金疑惑」 石原慎太郎 腐敗の13

20161026日 日刊ゲンダイ  

   
〈子どもが、自分が分かち与えた血の能力を上回った成果をもたらすと盲信しているのかもしれないが、笑止のさたである〉――。1969年に出版された慎太郎著書のベストセラー「スパルタ教育」(光文社)。〈強い子供に育てる〉として、〈子どもをなぐることを恐れるな〉などと勇ましい「親の心得」が書かれてある。ところが、実際の慎太郎といえば、スパルタ教育どころか、いつまでも子離れできないダメ親の典型だ。都知事時代も象徴的な事件が起きている。三男、宏高衆院議員の選挙をめぐる「裏金疑惑」だ。

2007年2月の都議会定例会。質問に立った民主党都議(当時)は、苦虫を噛み潰したような表情で知事席に座る慎太郎に向かって、こう問い詰めた。

〈平成17年9月14日、糸山英太郎氏の呼びかけで、水谷元会長と石原知事、三男宏高氏ら5人が、銀座の高級料亭吉兆で宏高氏の当選祝いの宴席が行われた(略)。その宴席に入る直前、糸山氏から知事に焼酎箱が渡され、その箱に1000万円とも2000万円ともいわれる現金が詰められていたという疑惑であります〉

疑惑の中身はこうだ。05年9月の衆院選で初当選した宏高と慎太郎が、選挙を支援した水谷建設の水谷功元会長らと宴席を持ち、幻の焼酎といわれる「森伊蔵」の空箱2つに詰められた2000万円のカネを受け取った――などと週刊誌で報じられたのだ。慎太郎は「息子の選挙の関係で飲み食いしただけ」なんて否定したが、水谷元会長といえば、「政界裏工作の請負人」「フィクサー」と呼ばれ、06年に脱税事件で特捜部に逮捕されたフダツキの人物である。

宏高の当選がよっぽどうれしかったのだろうが、絶大な権力を握る都知事には海千山千の怪しいやからが近寄ってくる。マトモな政治家であるほど、付き合いは慎重になるが、息子が絡むと慎太郎はたとえ相手がスジ悪だろうと構わないらしい。揚げ句、「裏金疑惑」なんて脇が甘過ぎるだろう。

永田町で宏高は「石原ファミリーの中で最もデキが悪い」(自民党議員)といわれる。「バカな子ほど可愛い」というが、慎太郎の溺愛ぶりは異常だ。旧日本興銀出身の宏高は03年11月の衆院選に東京3区から出馬して落選した。すると、慎太郎は05年の衆院選直前に行われた東京都議選で、宏高の選挙区に自身の秘書を送り込み、自らマイクを握って選挙応援にフル活動した。もちろん、宏高を支える「基盤づくり」のためだ。そして支援者に対し、こんな泣きの手紙も送り付けた。

〈突然のお便りを差し上げる非礼をお許し下さい。拙息三男の宏高についてのお詫びとお願いです。当人も次に備えて足を磨り減らし頑張っております〉

子どもをなぐることをおそれるな〉どころか、抱きしめて「よしよしボクちゃん。可哀想に」というのが慎太郎なのだ。結局は愚息のために都政を弄んだと言っていい。

「米比の橋渡し」とは笑わせる

27Oct2016
 天木直人のブログ


繰り返すが、私がここで書きたいのはドゥテルテ大統領の訪日の実態の事ではない。
それを報じるメディアの事だ。
 
ドゥテルテ大統領の訪日の実態については書くまでもない。ドゥテルテ大統領の訪日は日本にとって大きな誤算に終わったのだ。ドゥテルテ大統領の訪日を決めた時点ではこんなはずではなかったに違いない。
 
巡視船などを供与し、日比間で対中包囲網を謳い上げるつもりだった。
しかし、先に中国を訪問され、その中国で南シナ海の棚上げを宣言された。
 
もっと衝撃的なのは、米比軍事同盟の破棄を宣言されたことだ。日本は完全に思惑が外れたのだ。といって、今からドゥテルテ大統領の訪日を止めるわけにはいかない。
 
だから、今度のドゥテルテ大統領の訪日の実態は、いかにダメージコントロールするかであった。しかも、それさえもうまくいかなかった。
ドゥテルテ大統領は、日本に来てまで反米の言動を繰り返したからだ。
 
日本に到着した早々、在日フィリピン人の集まりで対米自立を訴え喝采を浴び、2年以内に米軍に出て行ってもらうと、時期まで明示して、同盟見直しを公言した。
 
驚くべき事に、サタヤ外相ですら、日本記者クラブで、米軍とフィリピン軍の合同軍事演習は中国側の疑念を高めることにつながりかねないと言ってドゥテルテ大統領の任期中の中止を示唆した(10月27日産経)
 
すかさずアーネスト米大統領報道官が不快感を示した。日本にとっては面目丸つぶれだ。このようなドゥテルテ大統領の訪日の実態をメディアはストレートに報じない。
 
それどころか、どの新聞も、首脳会談で、南シナ海を「法の支配で解決」、「平和的に解決」、で合意した事ばかりを強調する。そこまではいい。私が予想した通りだ。
 
しかし、「米国の重要性共有」(産経)や、「米とフィリピンの橋渡し」(日経)、「対米融和呼び掛け」(東京)などとメディアが書いたのには笑ってしまった。
 
どこにそれが出来たというのか。ドゥテルテ大統領の訪日を大手メディアはどう報じるか、目が離せないと私は書いたが、ここまでウソを書くとは思わなかった。
 
それほどドゥテルテ大統領の訪日は安倍首相にとって手に負えなかったということである(了)


             

「米国との同盟は重要」安倍晋三首相との会談で一致 南シナ海問題の平和的解決でも

2016.10.26 22:08
 産経新聞

 
安倍晋三首相は26日夜、フィリピンのドゥテルテ大統領と官邸で会談し、中国が軍事拠点化を進める南シナ海問題を念頭に、日米同盟と米比同盟のネットワークが地域の海洋安全保障を促進することを期待する共同声明を発表した。ドゥテルテ氏は米国を敵視する姿勢を強めていたが、アジア太平洋地域の平和と安定には米国の存在が重要との認識を共有する形となった。
 
両首脳は共同声明で、南シナ海問題の平和的解決に向け、自制と非軍事化の重要性も確認した。ドゥテルテ氏は会談で「国際法に基づき平和裏に問題を解決したい。われわれは常に日本の側に立つ」と表明。南シナ海をめぐる仲裁裁判所の裁定について「判決に基づいた話しかできない」と尊重する考えを強調した。首相は共同記者発表で「紛争は武力に訴えず、平和的に解決する重要性を確認した」と述べた。
 
両政府はフィリピン海軍の警戒監視能力向上のため、日本政府が海上自衛隊のTC90練習機5機を比海軍に有償貸与する取り決めに署名した。日本政府が防衛装備を国外に移転するのは初めて。比海軍はTC90を南シナ海での警戒監視活動のほか、人道支援・災害救援などに活用する。比海軍パイロットの教育・訓練でも協力。大型巡視船2隻とテロ対策のための小型高速艇の供与でも合意した。
 
首相は会談で、ドゥテルテ政権の麻薬撲滅対策を支援するため、麻薬中毒者の更生支援策などを年内に具体化したい考えも伝えた。
 

F-35、なぜメタボ? 戦闘機の常識を覆す「ずんぐりむっくり」の理由
 
東京ビッグサイト(東京都江東区)で20161012日(水)から4日間にわたり開催された「2016年国際航空宇宙展」において、航空自衛隊の次期主力戦闘機ロッキード・マーティンF-35A「ライトニングII」の、実物大モックアップ(模型)が展示されました。
 
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あくまでも模型ではありますが、機体の下に潜れるなど自由に見学可能だったこと、またコックピットに搭乗できたことなど、実機では無いがゆえかえって間近でF-35Aを体感できる機会とあって、連日、多くの見学者を集めました。 
SNSなどにおける反応を見ると、「意外と小さい」という印象を抱いた人が少なくないようです。それもそのはずで、F-35Aは現在、航空自衛隊が配備する戦闘機のなかでは最小であるF-2とほぼ同等の、全長15.4m、全幅10.7mしかありません。 
F-35Aは寸法の上では小さく、とてもずんぐりむっくりした、悪くいえばメタボ(メタボリックシンドローム)のような見た目で、実際にも非常に重い戦闘機です。その最大離陸重量はおよそ31トン。これは、全長19m以上と遥かに巨大な空自戦闘機F-15Jにも匹敵します。 
それゆえに一見すると「カッコイイ戦闘機」とは無縁な、野暮ったい姿に思えるかもしれませんが、ところがこの見た目にこそ、「F-35Aのすごさ」が秘められているのです。 
 
通常、戦闘機は小さければ小さいほど有利です。空気抵抗を最小限に抑えられますし、機体構造も軽くできます。ところが、小さいとどうしても装備品を機体の外に搭載せねばならず、実際、空自のF-2などはミサイルや爆弾、追加の燃料タンク、前方監視赤外線センサー(FLIR)など多くの装備を外付けしています。
しかし、F-35Aは大容積の機体のなかに、これらをすべて収容できます。ミサイルや爆弾は胴体下のウェポンベイ(兵器庫)内部に格納、また機内燃料タンクの容量は、F-2の機内タンクと外部燃料タンク2本分にほぼ匹敵。前方監視赤外線センサーは機首部に標準搭載されるほか、あらゆる方向を自動監視する「全球覆域状況認識センサー(EO-DAS)」など、F-2には存在しない多くの高性能な装備も詰め込んでいます。
加えて、エンジンを1基しか搭載しないにもかかわらず、そのパワーはエンジン2基を搭載するF-15にほぼ匹敵。大重量を支えるに十分といえます。戦闘機を構成する部品のなかで最も大きいエンジンを1基で済ませているのですから、単純にエンジンまる1基ぶんの容積や重量を、そのほかの搭載物にあてることを可能にしています。
 
現代の空中戦は、高度なレーダー・センサーや妨害装置、ネットワークシステムといった電子機器や、それらを制御するコンピューター同士の戦いです。さらに、機体の外側を「綺麗(クリーン)」に保てるF-35はレーダー反射をも低減でき、優れたステルス性も獲得しています。 
 

F-35は戦闘機だけど「戦闘機」じゃない?

F-35は重いぶん、機動性などに劣るのではないかという指摘もあります。確かにそれは、一部事実かもしれません。しかしほかの戦闘機も、装備品を外部搭載してしまえば重くなります。そして外部搭載すればするほど、F-35以上に空気抵抗が増えてしまうことを考えれば、それほど大きな弱点とはいえないでしょう。
 
F-35は、卓越したセンサーで敵を先に発見し、ステルス性を生かして自らは発見されることなく、遠くからミサイルを射撃することを基本とします。いわば、新しい世代の「情報共有ネットワークを礎とする航空戦」における、「兵装投射・センサー端末」であり、“既存の戦闘機とは全く別種の兵器”です。

F-35Aモックアップのコックピット。実機の射出座席は、先ごろ生還実績のべ7500人を突破したマーチン・ベイカー社製(関 賢太郎撮影)。
 
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パイロットもこれまでの戦闘機とは異なり、単に「戦士」としての資質だけではなく、“F-35というシステム”を使いこなす「オペレーター」としての能力も要求されるようになりました。
 
ロッキード・マーティン社はこれについて、従来の常識を根底から覆す「ゲームチェンジャー」と表現しています。実際、アメリカ空軍のF-35Aは、既存の戦闘機とのある演習において、1度も発見されることなく一方的に27機を撃墜するという、無敵の戦果をあげています。 
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F-35の見た目は、「カッコイイ戦闘機」とは無縁であるかもしれません。しかしそれは、もはや従来の価値観では測りえない、新しい世代の設計思想を反映した「新しい価値観による美しさ」を持っているからだといえます。

 
(日々雑感)2016/10/28

<共産党の志位和夫委員長は27日の記者会見で、衆院2補選で共闘した民進党の候補が大敗したのを受け、「連合指導部の『共産党と一線を画せ』との要求に従う道を選ぶのか、野党と市民の共闘に真剣に取り組む道を選ぶのか。民進党は前向きな決断をしてほしい」と述べた。次期衆院選に向け、民進党に支持母体の連合よりも野党共闘を優先するよう求めたものだ。
 
民進党に申し入れた、補選での共闘について説明を求めるための野党4党の幹事長・書記局長会談については、「近々開かれる運びになるだろう」との見通しを示した>(以上「朝日新聞」より引用)

共産党の志位和夫委員長だけではない、心ある国民は野党連合を邪魔している連合のあり方に批判的だ。民主政治が機能するためには政権交代能力のある健全野党の存在は欠かせない。
 
民進党は全国組織の連合がなければ選挙のポスター貼一つできないと思っているようだ。しかし連合は成り立ちからして、すべての労働者を傘下に抱えているわけではない。正規雇用の労働者でしかも20%にも満たない組織率の労働組合の全国組織の連合が労働者の意見を集約している団体とはいえないだろう。
 

「国民の生活が第一」の政治を目指さない組織は野党の名に相応しくない。自治労や電力労組などの主張に圧されて原発再稼働の反対を打ち出せない野党などあってはならない。
 

そして国民生活の隅々まで米国の1%に売り渡すTPP承認に反対しない組織も野党勢力に値しない。野党は「国民の生活が第一」の政治を愚直に求める勢力の総結集でなければならない。
 
米国の1%達が唱えるグローバルゼーションは欺瞞性が露呈して破綻しつつある。その欺瞞性の最たるものは関税及び非関税障壁が「ヒト、モノ、カネ」などの自由な移動を阻害している、という主張だ。
 
「ヒト、モノ、カネ」の自由な移動は国際的な多国籍業や投機家、あるいは食糧で他国を支配しようとする穀物メジャーたちにとって都合が良いだけの「自由化」でしかない。それぞれの国内で働き生活する国民にとって国境を意識することは生涯ないといって良い。国境を意識するのは世界を股にかけて稼ぐ一握りの人たちだけだ。
 
安倍氏は日本の農業をTPPで強く豊かにする、と口先で述べているが、これほど詐欺師の確信犯はいない。欧州諸国の農業は所得の90%近くを所得補償で暮らしている。つまり国民の食糧を生産する「公務員」という見方をしている。それに対してそれぞれの国民も自分たちの「食糧安全保障に必要だ」と理解している。
 
安倍氏は食糧自給率を引き上げようとしないで、むしろ米国の穀物メジャーに日本の農業を売り渡そうとしている。それは亡国の選択でしかない。日本が食糧を自給する力、自給力を失った時に、米国の穀物メジャーは露骨な日本支配を始めるだろう。その時になって臍を噛んでも遅い。
 
野党連合は一日も早く全国で協力関係を確立しなければならない。そのためには最大の障害となっている民進党の「第二自民党」体質の人たちの排除に直ちに着手しなければならない。だが、第二自民党体質の人たちが民進党の中枢を牛耳っているなら、勇気を持って民進党を脱して、小沢一郎氏の自由党へ馳せ参じるべきだ。
 
野党連合の中枢となって自公政権に対峙するには小沢一郎氏の剛腕が必要だ。彼が掲げた2009民主党のマニフェストは今も輝きを失っていない。それは半周早いグローバル化との決別だった。
 
日本が借金大国だという財務官僚とマスメディアが作り上げた大嘘を暴き、国民から消費税で搾り取ろうとする企みを砕き、国民の生活が第一の政治を希求する政治家たちが結集すべきだ。
 
米国のポチになるよりも日本国民の幸せを愚直に求める政治を優先すべきだ。「内向き」と言われようと、反対に国民の幸せを第一に考えない政治は一体何だと開き直るべきだ。民進党の議員たちよ、既に冷め切った大風呂に浸かって風邪をひくよりも、一旦は寒い外へ出て、仲間たちと風呂を点てなおそうではないか。心ある政治家諸氏は民進党から出でよ。
 

最高裁がひそかに進める原発訴訟「封じ込め工作」の真相 日本の裁判所は「権力補完機構」なのか

2016.10.27 瀬木 比呂志 明治大学教授 元裁判官 現代ビジネス


司法権力の中枢であり、日本の奥の院ともいわれる最高裁判所の「闇」を描いた『黒い巨塔 最高裁判所』(瀬木比呂志著)が1028日に刊行される。

本作では、自己承認と出世のラットレースの中で人生を翻弄されていく多数の司法エリートたちのリアルな人間模様が描かれているが、実は、この作品には、もうひとつの重要なテーマがある。最高裁判所がひそかに進める原発訴訟の「封じ込め工作」だ。

福島第一原発事故以後、稼働中の原発の運転を差し止める画期的な判決や仮処分が相次いでいるが、最高裁はこのような状況に危機感を覚え、なりふり構わぬ策を講じている、という。原発訴訟をめぐって、いま最高裁で何が起きているのか、瀬木さんに話を聞いた。

          


最高裁の「思惑」

ーー前回のインタビューでは、最高裁判所の権力機構のカラクリと、そこで働く裁判官たちの生態についてうかがいました(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49800)。今回は『黒い巨塔 最高裁判所』のモチーフとなっている、最高裁内部で進行する原発訴訟封じ込め工作についてお聞きします。

『黒い巨塔 最高裁判所』の時代背景は1980年代後半ですが、2016年現在、最高裁内部でひそかに進められている原発訴訟封じ込め工作をルポルタージュした作品を読んでいるかのような感覚がありました。

瀬木 本作は純然たるフィクションですが、大飯・高浜原発訴訟(仮処分を含む)など、福島第一原発事故の後で多くの熾烈な原発訴訟が係争中である事実からインスパイアされた部分があることは、否定しません。

また、本作の初稿を書いている時にも、小説の中で描いているのと似たような事態が現実の世界で起こってくる、現実が僕が想像した事態を密着しながら追いかけてくるような、そんな時期もありました。

そのため、おっしゃるとおり、時代を過去に設定していながら、あたかも現在ないし近未来の日本を描いているような雰囲気も出てきたのだと思います。前回のインタビューでもお答えしたとおり、これは、SFが始め、やがては主流文学にも広まった文学形式である「パラレルワールド小説」でもあります。

ですから、この小説が、あたかも現代、あるいは近未来ディストピアを描いたかのような印象を読者に与えるとすれば、著者のもくろみは、その点では成功したといえると思っています。

本書の中で、原発訴訟と広い意味でそれに関わる裁判官たち、あるいは政治家やジャーナリストの暗躍がどう描かれているかについては、いわゆる「ネタバレ」になるため、詳しい説明は控えますが、私は、現在の最高裁、あるいは裁判所内部でも、この小説に描かれているのときわめてよく似た事態が進行している可能性はある、そうみています。

具体的にいうと、最高裁と最高裁事務総局は、現在では、間違いなく、電力会社や政権寄りの判決、決定(仮処分の場合)が出るように強力に裁判官を誘導しようという意図をもっているだろうし、また、例によって外部からは明確にはわからない巧妙な形で、そのような誘導を行っている、あるいは行う準備を進めているだろうと思います。

さらに、過去の事実や文献等から推測してみますと、以上と並行するような何らかの立法の動きが出てくることも、ありうると思います。


露骨すぎる人事異動

ーー私は、まさにそのように読みました。「ああ、原発訴訟はこのように統制され、このように決着させられてゆくのか……」といった、暗いリアリティーをひしひしと感じたのです。

でも、現実の世界では、20145月の大飯原発差止め判決、20154月と20163月の2つの高浜原発差止め仮処分(前の2つの判決、仮処分は樋口英明裁判長、最後の仮処分は山本善彦裁判長)と、稼働中の原発の運転を差し止める画期的な判決、仮処分が複数出ましたね。

日本の原発の構造は基本的に同じで、立地や技術上の問題点も共通していますから、こうした裁判に続く方向の裁判が、続々と出てくる可能性はないのでしょうか?

瀬木 まず、僕は、原発に関しては、推進派、反対派などといった二項対立的な図式に色分けして考えるべきではないと思っています。

唯一の問題は、「日本の原発が、まずは間違いなく安全であるといえるか。再び悲惨な事故を起こさないといえるか」という問いであり、この問いに明確にイエスといえるような状況ができているか否かだけが、問題だと思います。僕自身、元裁判官の学者ですから、そうした観点から、また、白紙の状態から、客観的に、この問題を考えてきました。

そういう検討を経ての、原発、原発行政、原発訴訟についての僕の分析の大筋は、この小説でも骨格として使っています。そして、これまでの分析、検討の結果、僕は、福島第一原発事故は、日本の原発に関するずさんな安全対策、危機管理の結果としての人災という側面が大きく、また、その原因究明も相当に不十分、にもかかわらずなし崩しの再稼働への動きが進んでいるというように、現在の状況をみています。

ですから、原発訴訟が今おっしゃったような方向に進めばいいとは僕も思いますが、客観的な予測としては、司法、政治、世論の方向が今のままだとすれば、より悲観的ですね。

その根拠を述べましょう。

第一に、福島第一原発事故後、今おっしゃった判決や決定がある一方で、高浜原発に関する第一の仮処分の取消し決定(201512月)など、福島第一原発事故以前の裁判の大勢、その枠組みに従う方向の判決や決定も、同じくらい出ているからです。

第二に、最高裁が、『ニッポンの裁判』でもふれた20121月の司法研修所での裁判官研究会から1年余り後の、20132月に行われた2回目の研究会では、強力に「国のエネルギー政策に司法が口をはさむべきではない。ことに仮処分については消極」という方向性を打ち出していると解されるからです。この研究会については、文書も入手しています。

第三に、原発訴訟については、過去にも、ことに判決の時期が近付いたときに、最高裁寄りの裁判長がその裁判所に異動になって事件を担当するといった動きが出ているという事実があります。

福島第一原発事故後はそれがいっそう露骨で、先の高浜原発差止め仮処分取消し決定に至っては、異動してきた3人の裁判官すべてが最高裁事務総局勤務の経験者なのですよ。これが偶然的なものだとしたら、宝くじ上位当選レヴェルの確率でしょうね(笑)。もう、120パーセントの露骨さです。


報じないマスメディアの問題

ーー私も、原発には昔から関心をもっていて、原発訴訟についても断片的な情報はもっていたのですが、そこまで露骨な誘導が行われているとは恥ずかしながら知りませんでした。

福島第一原発事故後は原発行政に批判的な大手新聞社も、今おっしゃったようなところまで踏み込んだ報道は行っていませんね。もしも、多くの国民が、瀬木さんのおっしゃったような実態を知れば、黙ってはいないと思うのですが。

瀬木 残念ながら、僕の知る限りでは、少なくとも今では、大手新聞社やテレビの司法担当記者で最高裁に対して批判的な議論を息長く展開できるような気骨のある記者は、ほとんどいないのではないかと思わざるをえないですね。

たとえば、新聞の看板ではあるが実際に読む人は限られる社説では、原発の危険性を声高に、あるいはある程度詳しく論じている場合はあります。しかし、司法記者が行う社会面の報道では、おおむね裁判所の判決を淡々と報じ、型通りに解説するにとどまっています。

先ほどの高浜原発差止め仮処分取消し決定に関わった裁判官についての不可解な異動、過去の経歴などは、欧米のメディアなら、原発の始まった国であるアメリカでさえ、徹底的に暴き、叩いてゆくと思います。

しかし、日本では、ほとんど取り上げられていません。僕の発言、文章を除けば、一部の週刊誌、ネットメディアくらいだと思います。先のような裁判官たちの経歴は、「意見」ではなく、インターネット上でも容易に調べられる明らかな「事実」であるにもかかわらず、です。

なお、僕の文章は、果敢な有力地方紙、また、大全国紙関係では比較的自由なその周辺メディア上のものであって、かつ、あくまで、「学者、元判事である瀬木教授が書く」という形であって、直接の報道ではないですね。

もっとも、最高裁事務総局は、問われれば、「この裁判官たちの人事も定期の普通の異動であって、特段の意図はない」と答えるでしょう。そこに込められた主観的意図を「証明」することは難しい。しかし、少なくとも、「事実」を報道し、それに適切な「評価」を加えることはできるはずです。

だって、主観的意図の証明なんて、ニューヨーク・タイムズにだって、ル・モンドにだって、ガーディアン(イギリス。スノーデン報道で注目された比較的先鋭な自由主義紙)にだって、およそできっこないような種類の事柄ですよ。当たり前です。最高裁長官、事務総長、事務総局人事局長にインタビューして認めさせるくらいしか手段はないんだから(笑)。

しかし、だからといって、「書かない」という選択を、欧米の自由主義的新聞、中道派新聞が、採るでしょうか? 国民が最注目する裁判の担当についての先のような不自然な人事は、明らかにおかしい。報道機関には、その事実を広く知らしめる、国民、市民に対する「義務」、「責任」があるはずです。

残念ながら、日本のマスメディアの司法担当記者、より広くいえば報道部門の記者の多数派は、思考停止しているか、最高裁判所等の権力に対して大変遠慮して、自己規制をしているようにみえますね。そのことは、たとえばさっき挙げたような海外の3つのメディアとの比較でも明らかです。

なお、付け加えれば、僕は、この3つのメディアが手放しでいいなどとは全く思っていません。たとえば、ニューヨーク・タイムズには、近年、権力に寄り添うような方向の記事も、出てきていると思います。ただ、基本的な姿勢の違い、そうした意味での客観性や批判精神は、なお失っていないと思います。それが、ジャーナリズムの国際標準だと思います。

全国の裁判官への「警告」

ーー日本のマスメディアのあり方については、本当におっしゃるとおりだと思います。その問題点は、本書でも、フィクションという形ではありますが、これまた非常に的確に、かつ深く描かれていますね。

ところで、大飯原発差止め判決の樋口裁判長は、名古屋地裁に異動になったように記憶していますが、それでも、執念で、職務代行という形で、第一の高浜原発差止め仮処分決定を出しましたね。これは、相当に異例のことでは?

瀬木 異動は、名古屋地裁ではなく、名古屋家裁です。

そして、この異動は、この裁判長のこれまでの経歴を考えれば、非常に不自然です。地裁裁判長を続けるのが当然のところで、急に家裁に異動になっている。キャリアのこの時期に家裁に異動になる裁判官は、いわゆる「窓際」的な異動の場合が多いのです。また、そういう裁判官については、過去の経歴をみても、あまりぱっとしないことが多いのです。

しかし、樋口裁判長の場合には、そういう経歴ではなく、家裁人事は、「青天の霹靂(へきれき)」的な印象が強いものだと思います。

第一に地裁の裁判の現場から引き離す、第二に見せしめによる全国の裁判官たちへの警告、という2つの意図がうかがわれますね。

ただ、形としては、家裁とはいえ、近くの高裁所在地である名古屋の裁判長への異動ですから、露骨な左遷とまでは言い切りにくいものになっています。

こういうところが、裁判所当局のやり方の、大変「上手」なところだともいえます。また、彼の裁判が非常に注目されている状況で、あまりに露骨な左遷はできなかったという側面もあるでしょう。

ーーしかし、こうした圧迫によっても、この裁判長の決意は変わりませんでしたよね。その意味では、最高裁事務総局のコントロールは失敗したことになりませんか?

瀬木 そうですね。この裁判長についていえば、そういえるかと思います。

しかし、この人事の本質は、さっきも申し上げたとおり、全国の裁判官、とりわけ原発訴訟担当裁判官に対しての、はっきりとした「警告」です。

この異例の人事のもつ意味は、どんな裁判官でも、ことに人事異動や出世にきわめて敏感な昨今の裁判官ならなおさら、瞬時に理解します。稼働中の原発を差し止める判決、仮処分を出すような裁判官は、人事面で報復を受ける、不遇になる可能性が高いのだと。

その名前が広く知られることになった先の樋口裁判長でさえ、しかも直後の異動で、それをやられているのですからね(通常は、『絶望の裁判所』にも記したとおり、最高裁の報復は、ある程度時間が経ってから行われます)。

関連しての問題は、マスメディアが原発訴訟に注目しなくなってからの彼の処遇です。より微妙かつ陰湿な人事が行われる可能性も否定できません。山本裁判長の今後の人事と併せ、世論の監視、バックアップが必要なのです。

福島第一原発事故以前の原発訴訟で勝訴判決を出した2人の裁判長についてみると、これも『ニッポンの裁判』に記したとおり、1人が弁護士転身、もう1人は、定年まで6年余りを残して退官されています。ことに後者の退官は気になります。

また、詳細にふれることは控えますが、国の政策に関わる重大事件で国側を負かした高裁裁判長が直後に自殺されたなどという事件も、僕自身、非常にショックを受けたので、よく覚えています。

少なくとも、定年の65歳までもうそれほど長い任期は残っていない50代半ばくらいより上の裁判長でないと、広い意味での統治と支配の根幹に関わるような裁判について勇気ある判決が出しにくいということ、これだけは、厳然たる事実でしょうね。

また、原発稼働を差し止めた裁判官には、東京ないしその周辺におおむね勤務し続けかつ最高裁でも勤務した経験のあるような裁判官がいないことも、事実です。

ーーまるで、アメリカの謀略映画を見ているような感じがして、こわいですねえ。


芸術的ともいえる思想統制

ーー私たちは、瀬木さんの一連の著作や文章が出るまでは、裁判官は「法の番人」としての誇りをもって、公正な審理を行っていると信じていました。

でも、「法の支配」とは無縁の、上命下服、上意下達の見えざる過酷なシステムがあることを『絶望の裁判所』で知り、また、そこで行われている裁判のリアルな悲惨さを『ニッポンの裁判』や瀬木さんのその後の発言で知って、本当に驚愕しました。

ジャーナリストの魚住昭さんが、『絶望の裁判所』について、「最高裁に投じられた爆弾。十年に一度の破壊力、衝撃」と評されたことを思い出します。それくらい、誰も、何も、知らなかったわけです。

瀬木 きわめて巧妙かつ複雑なシステムですよ。すべてが、「見えざる手」によって絶妙にコントロールされている。ある意味、芸術的ともいえる思想統制です。まさに超絶技巧です(笑)。

建前上は、すべての裁判官は、独立しているわけです。裁判官は、法と良心に照らして、みずからのよしと信じる判決を書くことができる。

建前上はそうです。欧米先進国と同じ。

ところが、特に、権力や統治、支配の根幹に関わる憲法訴訟、行政訴訟、刑事訴訟、そして原発訴訟(これは民事と行政の双方がある)のような裁判では、結局、ごく一部の良心的な裁判官がある意味覚悟の上で勇気ある判断を行うような場合を除けば、大多数は、「どこを切っても金太郎」の金太郎飴のような権力寄りの判決になる。

独立しているはずの裁判官が、あたかも中枢神経系をもつ多細胞生物を構成する一個の細胞のように、一糸乱れぬ対応をとる。最高裁長官を頂点とする最高裁事務総局がその司令塔であることは今や公然の秘密ですが、外部からは、どこに中枢があって、どのような形で統制が行われているのかが、そのシステムの構造が、とてもみえにくい。

しかも、多くの裁判官は、精神的「収容所」の囚人化してしまって、自分がそういう構造の中にいることすら見えなくなっている。

実際には、退官した裁判官や、ヴェテラン裁判官の中には、「大筋瀬木さんの分析したとおりだ」と言っている人も多いと聞きますし、裁判所当局によって無効化され悪用されたところの大きい「司法制度改革」に協力してしまった弁護士(これには、左派の、弁護士・元裁判官弁護士の一部も含まれています)を除けば、弁護士も、少なくともそのハイレベル層は、そうではないかと思います。

僕の分析についての反応は、学界もほぼ同様で、ことに民事訴訟法学界の長老たちの多くは「やはりそうだったのか」という感想です。法社会学者の多くも同様。また、東大で授業を受けたことのある民法学界の長老がわざわざ僕の講演会におみえになり、後から、専門誌に載せられた賛辞の文章をお送り下さったこともあります。

もっとも、中堅若手の裁判官の中には、「我々はちゃんとした裁判をしているし、雰囲気も自由」と反発する人もいます。

しかし、もし本当にそうなら、『ニッポンの裁判』で詳しく分析したような、およそほかの先進諸国には例のない惨憺たる裁判の現状は、どう説明するのでしょうか? あいつぐ裁判官の不祥事、ことに、2000年以降9件も起こっている目立った性的不祥事(実に裁判官300人に1人です)の数々は、どう説明するのでしょうか?

弁護士数激増にもかかわらず民事事件新受件数は逆に減少し、ことに複雑な大きい事件が減っている傾向、そして、やはり2000年度以降の3回の大規模アンケートで民事訴訟利用者の満足度が2割前後とやはり惨憺たる低さであることは、どう説明するのでしょうか?

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冊の新書で詳細に論じたこうした事柄についてのきちんとした反論がない限り、さっきのような反発に、およそ説得力はないと思います。


知られざる裁判官「協議会」の実態

ーーところで、『黒い巨塔』を読むと、裁判官協議会が、暗黙の、最高裁事務総局の方針、意向伝達機関として機能していることがよく理解でき、また、暗澹たる気持ちにもなりました。この裁判官協議会というものには、何か法的な裏付けがあるのでしょうか?

瀬木 これは、最高裁が、建前上は、裁判官の自由な協議を行う場として、やってきたものです。

本書の記述と重複しますが、裁判官協議会のあらましについて説明しましょう。協議会を主催するのは、最高裁事務総局です。協議会には、たとえば執行や破産等の特定の事件を対象とする小規模不定期のものと、全庁参加の大規模定期的なものがあります。後者の中で最も重要なのが、民事局の、全庁参加の協議会でしょうね。

この協議会は、年一度、秋に開催され、全国から高地裁裁判官、主として地裁裁判長クラスの判事が参加します。全国の裁判官たちに与える影響の大きい重要な会合です。この小説の中の原発訴訟協議会では、原発訴訟に民事と行政があるため、民事局と行政局の共催となっています。

こうした協議会は、学者たちが行っている研究会とは全く性格が異なります。名称こそ「協議会」ですが、その実態は、基本的に、「上意下達、上命下服会議、事務総局の意向貫徹のためのてこ入れ会議」に近いものです。

テーマは、民事局等の事件局が、最高裁長官や事務総長の意向に基づきつつ決定し、出席者は高裁長官や地家裁所長が決めます。出席者のうち東京の裁判官や事務総局と関係の深い裁判官に対しては、事前に一定の情報提供や根回しが行われることもあります。

もっとも、協議問題は、事件局が決めたテーマに沿って、協議会に参加する全裁判所、つまり「各庁」が提出します。あくまでも、「建前」は、裁判官による自主的な意見が述べられる場なのです。しかし、これにも抜け穴があって、東京の出席者や事務総局と関係の深い出席者は、事件局の求める協議問題を「やらせ」で出題することがあります。事務総局の課長や局付が、内々にお願いして、提出してもらうのです。

以上のとおり、実際には、最高裁事務総局主導の、その意向を伝える協議会という側面が強いのです。

ーーつまり、実際には露骨な上意下達のテコ入れ会議なのですが、あくまでも、建前上は、裁判官の自主的な協議の場と位置付けられているのですね。

瀬木 そうです。参加する裁判官は皆、そのことは知っていますが、もちろん、誰も問題にしない。ふれてはいけないタブーですから。

協議は粛々と行われます。司会は、東京高裁のヴェテラン裁判長が務めるのが慣例になっています。同種の問題をまとめた問題群ごとに、出題を行った裁判所の裁判官がまずみずから意見を述べ、その後、議長が、発言者を求めるというのが通例です。

「協議会」でありながら、みずから積極的に発言する裁判官は多くないのが普通です。そうした発言者がいないことも多く、そのような場合には、議長が一人、二人の裁判官に意見を求めます。

実は、重要なのは、議論ではなく、担当局が発表する「局見解」なんです。各問題群検討の最後には、民事局(この小説では、民事・行政局共催の協議会なので、行政局も)の課長たちが、すでに書面にまとめられている局議の結果を、「局見解」として述べます。この見解は、本来、当日の議論を踏まえたものであるべきですが、草案となる原稿はすでに出来上がっており、当日の議論については申し訳程度にふれるだけです。

つまり、最高裁事務総局は、そもそも協議会参加裁判官たちの議論など最初から重視していないのです。事務総局関係者は「局見解」を述べるために出席し、裁判官たちの大多数も「局見解」を聞くために参加しているにすぎません。

だから、多くの出席者は、各庁の意見は聞き流していても、局見解だけは必死でメモします。そこで鉛筆やシャープペンシルが一斉に動き始める様は、スターリン時代のソ連の会議もかくやと思わせる異様な光景です。一度見たら決して忘れられません。

協議会終了後に、その結果を、関係局、事務総局が、いわゆる「執務資料」というものにまとめます。事務総局の執務資料は味も素っ気もない白い表紙のものと決まっているので、裁判官たちは、これを「白表紙(しらびょうし)」と呼んでいます。そこに掲載された「局見解」は、全国の裁判官たちに絶大な影響を与えます。

実際、水害訴訟や原発訴訟など、協議会が開かれた訴訟類型の判決では、「白表紙」中の局見解と趣旨を同じくする判決があるのはもちろん、中には、表現までそっくりの「丸写し判決」まで存在しました。


日本の裁判所は「権力補完機構」

ーーこれはもう、「法の支配」とはおよそ無縁の、権力による統制システムそのものですね。「法の番人」の頂点にあるはずの最高裁判所の司法行政部門である最高裁事務総局のエリート裁判官たちが、「法の支配」を有名無実化する判決統制、思想統制の執行者になっている。これは、何というか、もう、ブラックジョークの極みですね。

瀬木 そうですね。

「法の支配」ではなく「人の支配」が行われているのが日本の裁判所なのだということは、本書でも、小説という枠組みをこわさない形で、明確に、詳細に描いています。

これは、欧米先進国の人間にはおよそ理解できないシステムでしょう。世界的にみても、いわゆる先進諸国で、こうした説明不能な奇怪な司法システムをもっている、もち続けている国は、おそらく、ほかには存在しないと思います。

韓国が、日本にならう形でよく似た制度を採っていましたが、民主化後、市民の批判が大変に強くなったため、アメリカ的な法曹一元、つまり、経験を積んだ弁護士等の在野法曹から裁判官を採用する制度に踏み切りました。

また、たとえば北朝鮮、あるいはそれよりはベターであろう中国でも、近代的な意味での司法が本当に成立しているのかはかなり疑問ですが、しかし、ある意味、権力の中枢がどこにあるかは明瞭ですから、システムの問題は、わかりやすい。

ところが、裁判所に限らず、日本の権力システムは、表と裏の二重構造になっている上、本当の中枢、意思決定機関がどこにあってどのように意思決定が行われているのかがよくわからないし、そもそも、何を守ろうとしているのかについてすら、よくわからない。

おそらく、権力の内部にいる人間でさえ、多くは、正確に理解できていないのではないでしょうか。僕は、自分の見聞きした経験から、そう思います。

その特色を別の言い方で述べれば、日本の裁判所は、本来あるべき「権力チェック機構」ではなく、「権力補完機構」だということです。

このことは、実は、マスメディア、日弁連、あるいは東大等の官学的傾向の強い大学等をも含め、日本の組織には非常によくあることで、それが、裁判所では、「象徴的」な、かつ「表と裏では大変な落差がある」という形で、出ているのだと思います。

ーー「日本の裁判所は権力補完機構に堕している」。日本の司法の実態をこれ以上端的に現している言葉はないような気がします。

ところで、原発再稼働を推し進めたい勢力は、頻発する原発訴訟、そして、稼働中の原発の運転差止め判決、仮処分について大変苦慮しており、こうした現状を抜本的に解決する方策を検討している可能性もある。次回は、このお話を中心に、さらに詳しくうかがいたいと思います。

 

「連合」会長=神津里季生の正体。 私は「連合」にも「連合」会長とやらにも、それほどの関心も興味もなかった。新潟知事選までは。私は、新潟知事選で繰り広げられた連合による猿芝居を見て、連合や連合会長に興味を持った。連合とは何か。連合会長とは何か。労働者の敵か、味方か?

 

「連合」会長=神津里季生の正体

 

2016-10-26 山崎行太郎ブログ『毒蛇山荘日記2』

私は「連合」にも「連合」会長とやらにも、それほどの関心も興味もなかった。新潟知事選までは。私は、新潟知事選で繰り広げられた連合による猿芝居を見て、連合や連合会長に興味を持った。連合とは何か。連合会長とは何か。労働者の敵か、味方か?


私は、どちらかというと、労働運動や学生運動が苦手である。特殊な大事件でも起きない限り、私は、その方面は、無視して暮らしている。私は、会社員になったことがないので、「組合」とか「労働組合」とかを知らない。しかも、私は、思想的に、かつても今も、いわゆる「左翼」ではない。


昔、私が学生だった頃、「総評議長」の太田薫という豪傑がいた。私は、学生運動や労働運動は嫌いだったが、太田薫という労働運動のボスだけは好きだった。ガラガラ声で、しかも、やや下品な態度で、激しくまくしたてる弁舌に、密かに私は憧れていた。私に欠如しているもの、全く無縁なものが、太田薫の中にはあった。


太田薫の時代に「総評」は、激しい労働運動を展開していた。頻繁に、労働組合による「スト」があった。国鉄や私鉄のストで、学校が休みになることもあった。労働者が団結し、ストをやっていたのだ。私は、「太田薫とその時代」が懐かしい。労働者も資本家(経営者)も、真剣に生きていたように思う。


総評という組織が、その後、紆余曲折、離合集散を経て、やがて、「連合」という軟弱な組織に変貌していったらしい。その過程で、何が起こったのか。労働組合が、資本家(経営者)側になびき、「御用組合」に変貌したのである。労働組合は、名前はともかくとして、実態は労働者の組織ではなくなったのである。


今回の新潟知事選や東京と福岡の衆議院補選で、連合とその会長等が演じた「猿芝居」は、起こるべくして起きた事件だったと言わなければならないだろう。


今の「連合」の会長は、典型的な労働貴族であり、とても労働者の味方とは思えない。東京生まれ、学芸大学附属高校、東大、新日鉄・・・。そして「連合会長」。連合が労働者の敵になるのは当然である。


新潟知事選では、驚くべきことに、「連合新潟」は、「原発再稼働」を目指す自民党系候補に相乗りし、結果は、「脱原発」の野党共闘系候補に、見事に惨敗した。


要するに、連合も連合会長も、そして新潟連合も、支配下の民進党をつかって、「野党共闘系候補潰し」にかかったのである。自民党と結託して、野党共闘を潰す。なるほど、そうだったのか、というわけだ。労働組合運動の風上にも置けない奴らだ、ということがわかった。断じて許せぬ!

 

米大統領選の罵倒合戦より酷い 安倍首相“品性下劣発言録”

2016年10月27日 日刊ゲンダイ 

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   似た者同士の2人(C)AP

中傷合戦に終始したアメリカの大統領選は、11月8日に投票日を迎える。ついにトランプも力尽きたか、世論調査ではヒラリーが12ポイントもリードしている。


それにしても、よくも共和党は、トランプのような男を大統領候補にしたものだ。ワシントン・ポストが検証した「ファクト・チェック」によると、トランプの主張の85%は、明らかな間違いか、ほぼ間違いだったというから、もうメチャクチャである。


最後の討論会では、自分が敗北した場合、大統領選の結果を受け入れないと宣言する始末だ。複数の女性がワイセツ被害を訴えても「証言はウソだ」と否定し、「私は誰よりも女性を尊重している」と反論、揚げ句の果ては「ビル・クリントンの方がひどい。

私は言葉だけだけど、彼はやっちゃったんですから」と他人を批判している。成長戦略を問われても正面から答えようとせず、「日本はアメリカが防衛しているのに、なぜカネを払わないのか」と言いたいことだけをまくし立てているのだから、支離滅裂もいいところだ。


さすがに、日本の大新聞テレビも「史上最低の醜悪」などと酷評している。確かに、トランプもヒラリーも政策を語らず、最後まで罵り合っていたのだから、史上最低なのは確かだろう。


■安倍首相とトランプは同じ思考回路


しかし、日本の大手メディアは、アメリカの大統領選にケチをつけている場合なのか。安倍首相とトランプは一体、どこが違うというのか。平気でウソをつき、話題をすり替え、批判されると逆ギレする姿は、トランプとまったく同じではないか。


この臨時国会でも、安倍はデタラメな答弁を連発している。

よりによって、強行採決について〈そもそもですね、我が党において、今まで結党以来ですね、強行採決をしようと考えたことはないわけであります〉とシレッと口にしたのだから、信じられない。ほんの1年前、安保法案を強行採決したことを忘れたのか。


さらに、民進党・蓮舫代表の二重国籍問題について、よく調べもせず〈我が党には二重国籍はいない〉と胸を張ってみせたが、翌日、夏の参院選で初当選した自民党議員が二重国籍だったことが発覚している。


年金問題で集中砲火を浴びた時に〈我々野党の時はちゃんと大臣を指名してましたよ〉と言い放った答弁もまったくの事実誤認だった。自民党も野党時代の2011年、参院予算委で原発問題を追及した時、原発担当相を呼ばずに菅直人首相に質問を集中させ、菅に「当事者の大臣にお聞きになることが、質疑をしっかりと進める上で重要だ」と音を上げさせている。

トランプの虚偽率は85%だそうだが、安倍のアベレージも変わらないのではないか。政治評論家の山口朝雄氏が言う。


「安倍首相とトランプは思考回路がよく似ています。議論のやり方がそっくりです。①事実に関心がなく誤った認識に基づいて声高に持論を展開する、②批判されると議論ではなく相手への人格攻撃で応じる。ニヤニヤしながら『日教組! 日教組どうするの』と飛ばしたヤジは典型です。民主党議員が日教組から献金を受けていると、勝手に妄想を膨らませていた。トランプの品性も相当なものですが、安倍首相も変わりませんよ」

日本の大手マスコミはトランプを批判する前に、安倍のデタラメ答弁を検証すべきじゃないのか。なぜ、やらないのか。
   
二言目には「だから民進党は」で議論封じ


安倍のやり方が卑劣なのは、立場が危うくなると、二言目には「だから民進党は」と口にし、議論を封じようとすることだ。


民主党政権に対する国民の不信感が消えないことを利用して、鋭い質問を受けて苦しい時ほど、「だから民進党は」を連発している。「だったら対案を出してくださいよ」というフレーズも頻繁に使っている。


7月の参院選の街頭演説も、“アベノミクス”や“1億総活躍”ではなく、「気をつけよう、甘い言葉と民進党」を繰り返していた。


それどころか、〈アベ政治を許さない〉と書かれたうちわを手にした市民に向かって、「そんな恥ずかしいことはやめていただきたい」と何度も叫んでいた。政権への批判が、どうして恥ずかしいことなのか。市民の抗議活動を「恥ずかしい」と決めつけた政治家は、かつて一人もいなかった。とにかく、自分に都合の悪いことは議論をさせないという態度である。政治学者の五十嵐仁氏はこう言う。


「独裁政治と民主政治の決定的な違いは、活発な議論があるかどうかです。安倍首相の発想は、独裁者に近いと思う。お得意の『この道しかない』というフレーズも、独裁者の発想ですよ。本来、政治には多くの選択肢があり、与野党が議論を重ねてベターな答えを見つけるのが民主主義です。なのに、安倍首相は議論を嫌い、市民の声まで封じようとしている。為政者は、自分と違う意見を持っている国民にこそ、丁寧に説明しなければならないのに、安倍首相は熱心なシンパにさえ分かってもらえればいいという態度です。これではトランプと変わりませんよ」


■なぜメディアは長期政権を許すのか


最悪なのは、安倍は、あと5年間も総理を続ける可能性があることだ。

自民党総裁の本来の任期は「2期6年」。安倍の任期は、2018年9月までだったのに、茶坊主たちが「3期9年」に延長させてしまった。どんな権力も、長く続けば腐敗することは歴史が証明している。あと5年も安倍政権が続いたら、この国の民主主義は本当に壊されてしまうだろう。


市民が〈アベ政治を許さない〉といううちわを掲げただけで「そんな恥ずかしいことはやめていただきたい」と叫ぶなんてまともじゃない。


なのに、日本の大新聞テレビは、中国の習近平国家主席が任期を延長しようとしていることを痛烈に批判しているくせに、安倍の任期延長は容認しているのだから、どうかしている。ジャーナリズムの役割を分かっていないのではないか。


「トランプの支持率が落ちたのは、アメリカのメディアが『ファクト・チェック』をしたことも大きかったと思う。トランプ発言が事実に基づいているのかどうか、メディアが一つずつ検証して発表したことで、冷静になったアメリカ国民もいたはずです。ところが日本の大手メディアは、安倍の発言をタレ流しているのだから最悪。安倍をアシストしているのも同然です。首相の反論がどんなに非論理的でも、解説を加えず、その反論部分だけをクローズアップして報じたら、自信満々に野党を論破しているように見えてしまうからです。支持率がダウンしないのは、メディアの責任が大きいと思う」(山口朝雄氏=前出)


安倍が任期延長に執着しているのは、2018年に「明治維新150年」の記念行事を主催したいからだという。初代首相は伊藤博文、明治維新50年は寺内正毅、100年は佐藤栄作と全員、山口県出身だったことで、安倍は講演で「私が頑張っていけば150年も山口県出身になる」と口にしている。完全に独裁者になったつもりだ。大手メディアは、いつまでこの男の勝手を許すつもりなのか。

逝去した三笠宮が語っていた歴史修正主義批判! 日本軍の南京での行為を「虐殺以外の何物でもない」と

2016.10.28. 三笠宮が「南京の日本軍の行為は虐殺」 リテラ

昭和天皇の末弟で、今上天皇の叔父にあたる三笠宮崇仁親王が、昨日27日、心不全により逝去した。享年100歳だった。一部メディアは、崇仁親王の先の戦争に対する反省の念や、戦争反対への思いなどを伝えているが、その発言は、マスコミが報じている以上に踏み込んだものだった。崇仁親王は、いまこの時代を支配している右傾化に対して、早くから警鐘を鳴らしてきたとさえ言える。
 
それを象徴するのが、右派の“南京大虐殺はなかった”という歴史修正主義に対する強い批判だろう。
 
1915年生まれの崇仁親王は、陸軍士官学校に進み、軍人となり、日中戦争時の1934年1月から1年間、「若杉参謀」の名で参謀として中国・南京に派遣された。このとき崇仁親王は「支那派遣軍総司令部」で「支那事変に対する日本人としての内省」という文書を書き、日本の侵略主義を批判したのだが、その文書が発見された1994年には、月刊誌のインタビューで“南京大虐殺はなかった”という論についてどう思うか聞かれ、このように述べている。

「最近の新聞などで議論されているのを見ますと、なんだか人数のことが問題になっているような気がします。辞典には、虐殺とはむごたらしく殺すことと書いてあります。つまり、人数は関係ありません。私が戦地で強いショックを受けたのは、ある青年将校から『新兵教育には、生きている捕虜を目標にして銃剣術の練習をするのがいちばんよい。それで根性ができる』という話を聞いた時でした。それ以来、陸軍士官学校で受けた教育とは一体なんだったのかという疑義に駆られました」(読売新聞社「This is 読売」94年8月号)
 
このインタビューが収録された当時は、羽田内閣の永野茂門法相が毎日新聞のインタビューで「南京大虐殺はでっち上げだと思う」「太平洋戦争を侵略戦争というのは間違っている」などと発言するなど、戦中日本の戦争犯罪を公然と否定する流れが、すでに一部の右派だけでなくかなりの勢いを持ち始めていた時期である。
 
とくに、日中戦争初期の1937年12月の首都・南京陥落以降に日本軍が行った捕虜や民間人の殺害行為については、論者・研究者によってその人数に20万人から数百人、そして「そもそも虐殺は存在しなかった」といういわゆる“マボロシ論”まで論じられていた。その“数字”をとりたてる流れは現在も続き、現日本政府もまた「被害者の具体的な人数については諸説あり、政府としてどれが正しい数かを認定することは困難である」としている。
 
だが、崇仁親王はこうした“数字”の論に対して“むごたらしく殺せば人数は関係はりません”と、はっきりと批判したのだ。さらに同インタビューでは、自身の南京での従軍経験としてこうも述べている。

「また、南京の総司令部では、満州にいた日本の舞台の実写映画を見ました。それには、広い野原に中国人の捕虜が、たぶん杭にくくりつけられており、そこに毒ガスが放射されたり、毒ガス弾が発射されたりしていました。ほんとうに目を覆いたくなる場面でした。これこそ虐殺以外の何ものでもないでしょう」
 
言うまでもなく、崇仁親王が戦争犯罪を正視し、歴史修正主義をけん制したのは、再びこの国が戦争をすることがないようにという強い思いがあったからだ。1956年の著書『帝王と墓と民衆』(光文社)に付した「我が思い出の記」のなかでも、南京に配属された当時を振り返り、こう記している。

〈わたしの信念が根底から揺りうごかされたのは、じつにこの一年間であった。いわば「聖戦」というものの実態に驚きはてたのである。罪もない中国の人民にたいして犯したいまわしい暴虐の数かずは、いまさらここにあげるまでもない。かかる事変当初の一部の将兵の残虐行為は、中国人の対日敵愾心をいやがうえにもあおりたて、およそ聖戦とはおもいつかない結果を招いてしまった〉

〈わたしがここで言いたいのは、聖戦という大義名分が、事実とはおよそかけはなれたものであったこと、そして内実が正義の戦いでなかったからこそ、いっそう表面的には聖戦を強調せざるを得なかったのではないかということである〉
 
昨年、ユネスコの世界記憶遺産に「南京大虐殺」が登録されたことに対して、ユネスコへの分担金を留保するという“報復”に出た安倍首相にこそ聞かせたい言葉だ。だが、そうした誠実な態度を貫き通した崇仁親王に対し、これまで右派は「赤い宮様」などと揶揄し、「左翼」と批判してきた。前述した著書の一部が新聞で紹介されたときには、“これは日本軍を傷つけるものだ”という趣旨の脅迫まがいの手紙が当時品川区にあった三笠宮邸に届いたこともあったという。
 
しかし、崇仁親王はイデオロギーから発言したわけではない。崇仁親王がオリエント史などの歴史研究を愛し、大学の教壇にも立ったことはよく知られているが、その根本には、たとえそれがどれほど自分にとって正視し難い事実であったとしても、歴史には真摯に向き合わなければならないという覚悟があった。そしてなにより、崇仁親王自身が皇族という極めて特殊な立場にありながら、“権威”が大衆を惑わすこと、そして、自由な言論が封鎖されることこそ、民主主義にとって一番の障壁であると、60年以上前から指摘してきた。
 
マスコミはあまり取り上げないが、崇仁親王の思いが、皇室と国民の垣根を越える“民主主義”にあったことは明らかだ。たとえば1952年の「婦人公論」(中央公論社、当時)2月号に掲載された「皇族と自由」と題した聞き書きのなかで、崇仁親王は、昭和天皇の地方巡幸の際に警官が万歳しない人に対して叱りつけたという話を受けて、「これでは少しも人間と人間との感情が流れてきません。こんなとき号令をかけられた人がなぜ抗議しないのでしょう」「同じ人間同しなのですからハダカとハダカでぶつかり合ってほしい」としたうえで、「これが民主主義の基礎であることはいうまでもありません」と語っている。
 
あるいは1966年の「女性自身」(光文社)のインタビューでは、皇室の民主化の停滞を嘆きながら、侵略戦争の認識についてこう述べている。
「太平洋戦争が終わったときには、もうこれで地球上から悲惨な戦争はいっさいなくなったのだと思いましたが、現状をみると、まことにあさはかな考えだったことがわかります。
 
どんな大義名分をつけても、しょせん戦争は殺人です。人を殺すことは最大の罪悪です。戦争放棄を明記した新憲法の精神は、いつまでも大切にしなければなりません」
 
しかし、2016年の日本はどうか。安倍政権はメディアに圧力を加え、言論弾圧まがいの行為を繰り返し、さらに憲法を変えてこの国を戦争へと導こうとしている。そして、天皇の「生前退位」についても一代限りの特別法でお茶を濁し、抜本的な天皇や皇族の人権問題には決して触れようとしない。さらには、国民の多くはそんな安倍政権を支持し続け、歴史修正やその強権政治への国内外の批判に対しては、束になって「反日」だと襲いかかる。まるで、みずから民主主義を手放そうとしているかのようだ。
 
非民主的な存在である皇族のほうが国民や政治家よりよっぽど自由や人権、民主主義について考えを巡らし、また、負の歴史を正面から見据えていた。その歪な現実を、わたしたちはよく受け止めなくてはならない。
(宮島みつや)

新潟県知事選で脱原発系候補が当選、泉田知事が語った身の危険

AERA
 20161031日号


東京電力柏崎刈羽原発の再稼働への対応が争点となった新潟県知事選で、泉田裕彦知事の慎重路線を継承すると訴えた米山隆一氏が当選した。泉田路線は引き継がれるのか。
「米山さんの当選は、県民のみなさんの選択の結果と受け止めています」
 
新潟県庁3階にある知事室。退任が4日後に迫った20日、泉田裕彦知事を訪ねると、穏やかにそう口を開いた。
 
経済産業官僚から新潟県知事へ転身し、東京電力福島第一原発事故以降は一貫して同柏崎刈羽原発の再稼働にノーを突き付けてきた。10月の知事選を控え当初は続投に意欲を見せていたが、830日に急遽、不出馬を表明。そこから周囲がざわつき始めた。新潟県知事選が、全国の原発再稼働問題の今後を左右しかねない重要な地方選挙になったからだ。

原発利権からの圧力
 
不出馬の理由として泉田氏が挙げるのが、地元紙による県の日本海横断航路計画に関する契約トラブル報道。報道内容が事実と違うというのが県の主張だ。泉田氏が言う。

「随分前から新潟日報の虚偽報道には抗議してきましたが、こちらの考えが一切伝わらない。そんな状況で私が出馬しても日本海横断航路計画が争点の選挙になってしまう。新潟の未来をどうすべきかの選挙がそれでは県民にとって不幸です。選挙をやれば勝つと思っていましたが、争点が原発で勝たないとその後、国との交渉力が出てこない」
 
県内では約46万部を発行する新潟日報の影響力が大きい。とはいえマスコミは地元紙一社ではない。全国紙もある。知事の考えを幅広く世論に問うたら良かったのではないか。
 
その疑問をぶつけると、不出馬を発表する1週間前に新潟日報に訂正を要望したことを記者会見で伝えたが、他のメディアは報道しなかったのだという。

「撤退表明の時、他社の記者から『私たちがそのときの会見内容を報道していたら知事の不出馬の判断は変わったか』と聞かれました。変わった可能性があります」
 
現役の官僚が小説という形で原発利権の存在を告発した『原発ホワイトアウト』では、知事が困難に陥るくだりがある。泉田氏がモデルといわれるだけにリアルだが、在任中「原発利権勢力」から圧力はあったのか。

「東電を取材していた報道の人が『それ以上取材するとドラム缶に入って川に浮かぶ』と脅され、私にも気を付けてと言ってくれたことがありました。また、日本海横断航路問題を使って知事の首を取るプロジェクトがあるということも聞いています。ちょっと前には何者かに車で後をつけられました。その利権者はだれなのか。はっきりとした証拠がないのでいまはこれ以上話せませんが、いろんなことがあったのは事実です」

踏みとどまった脱原発
 
知事選に話を戻すと、自民、公明は前長岡市長の森民夫氏を推薦。一方、共産、社民、自由の野党3党は医師や弁護士として活動し、泉田路線の継承を公言する米山隆一氏を擁立した。
 
政権与党の支援を受けた森氏が当選すれば、柏崎刈羽原発の再稼働の動きが加速することも十分に考えられる。危機感を抱いた脱原発派は早速、米山氏支援に動いた。再稼働阻止全国ネットワークに所属する東京在住のメンバーたちが初めにやったことは、民進党へ米山氏の支援を要望することだった。

「民進党の新潟県連は米山氏を推薦せず、自主投票を決め込みました。支持母体の連合の組合員に東電関係者が多数いるためだと聞いています。そこで我々は民進党本部へ乗り込み、党として米山氏を応援するよう求めたのです。そもそも米山氏は先日まで民進党所属。それを応援しないとはけしからんと抗議しました」(再稼働阻止全国ネットワークの山田和秋氏)
 
そのかいもあってか、選挙戦最終盤に蓮舫代表が新潟入りし、米山氏の選挙応援演説をした。山田氏らも新潟で昼は街頭演説の応援、夜は2千件に上る電話で米山氏への投票を呼びかけた。序盤は森氏が大きくリードしていたが、米山陣営も徐々に追い上げていった。

「原発は怖い。事故が起きたら生活基盤が危うくなる。だから泉田路線を引き継ぐ米山さんを応援するという声がだんだん多く聞かれるようになったのです。それに泉田さんは圧力で辞めさせられたと考えている県民も多かった。途中から、これはいけるなと感じました」(山田氏)
 
ふたを開けてみれば米山氏は53万票近くを獲得。次点の森氏に6万票以上の差をつけて勝利した。米山陣営のスタッフですら、「手ごたえは感じていたが、まさかこんな大差で勝つとは」と驚くほどだった。
 
再稼働阻止全国ネットワークの共同代表を務めるルポライターの鎌田慧氏はこう期待する。

「鹿児島の知事選では原発停止・点検を訴えた三反園(訓)氏が勝ち、新潟では反原発を鮮明に打ち出した米山氏が当選した。市民レベルで反原発が最大課題になっている。この動きは全国に波及していくだろう」

泉田路線継承は未知数
 
各地で起こされている脱原発訴訟にも影響を及ぼすと言うのは脱原発弁護団全国連絡会共同代表の海渡雄一氏。

「関西電力大飯原発(福井県)の控訴審は旗色が悪かったのですが、名古屋高裁金沢支部で19日に開かれた控訴審では一転して裁判長が『基準地震動がもっとも重要な問題』だとして、我々の申請した専門家の証人尋問が認められる方向になったのです。裁判所も原発が危険だという民意の流れを感じ取っているのではないでしょうか」
 
米山氏は自民党、日本維新の会、民進党と各政党を渡り歩いてきた。泉田氏は、中越地震からの復興を祈念した山古志マラソンも一緒に走ったというが、どこまで泉田路線を継承してくれるかは未知数だと話す。
「例えば当選後に米山さんは住民投票をやると言っていますが、それを聞いたときは正直、うーん、それは泉田路線ではないと思いました。

というのも住民投票は一度、県議会で否決されているのです。議会を通せない以上、条例案を出せば否決される。住民投票をやるというのは私のやってきたこととちょっと違い、自分の首を絞めることにもなる」
 
とはいえ、原発を争点にした知事選で当選したこともあり、期待は大きいようだ。

「あれだけ私と会うのを嫌がっていた原子力規制委員会の田中(俊一)委員長が米山さんと会うと言っている。原子力防災にどう向き合うのか。不可能を現場に押し付けている原子力防災指針を選挙戦で語った結果として米山さんは当選した。これで国としても地元の声を聞きやすい環境ができた。国に対する交渉力を増した可能性があります」
 
一方、東電や国の対応には依然として厳しく注文を付ける。現在、柏崎刈羽原発67号機は安全審査が進み、「安全が確認された原発は国の方針通り、再稼働へ動くことになる」(経産省幹部)。だが泉田氏は、それはあり得ないと話す。

「知事室に東電の広瀬(直己)社長が来て言ったのは、『東電だけでは安全確認が十分かどうか、自信がない。第三者の目を入れたいので67号機の安全審査を申請させてください』です。再稼働のための申請とは一言も言っていません。もし再稼働のためなら最初からウソをついていたことになる」

知事退任後の挑戦とは
 
避難計画にも不備がいたる所にあると言う。
「原発震災が起きた際、UPZ(緊急時防護措置準備区域)は屋内退避。しかし熊本のように大地震の後にさらに大きな地震があれば屋内退避はかえって被害が大きくなり、死傷者が出る可能性があるのです」
 
屋内退避したあとの避難方法も現実的ではない。
「放射線量毎時500マイクロシーベルトが避難の基準ですが、域内の人口44万人を年間被曝限度量の1ミリシーベルトに達するまでのわずか2時間でどうやって避難させればよいのか。また、ヨウ素剤はどうやってその人たちに配りに行くのか。実際には無理なことばかりが指針には書いてある。こうした問題点を、国と交渉して直すことが次の知事の仕事です」
 
突然起きる災害を考えたら24時間気が抜けない知事職を退任するのは1024日。その後は、

「荷物の整理をしながら、とりあえずちょっとゆっくりするつもり」
 土俵際で踏みとどまった知事の新たな挑戦に期待したい。
(ジャーナリスト・桐島瞬)
 

高樹沙耶容疑者の逮捕は、医療大麻潰しが目的の狙い撃ちだ!大麻解禁の世界的潮流に危機感を抱く厚労省による国策捜査

2016.10.27.
 高樹沙耶逮捕は医療大麻潰しの国策捜査  リテラ


元女優の高樹沙耶容疑者が25日、大麻を所持していたとして石垣島の自宅で厚生労働省関東信越厚生局麻薬取締部(麻取)に逮捕された。

 
高樹容疑者はこれまで医療用大麻解禁を訴えて活動していたことでも知られてきた人物で、今夏には参院選に出馬したことも記憶に新しい。そもそも女優活動を休止し、石垣島に移住したのもその活動のためであり、男性4人と共同生活を行っていたが、今回そのなかの男性2人も同時に逮捕されている。
 
現在のところ高樹容疑者は容疑を否認しているというが、ワイドショーではさっそく石垣島で彼女の生活について「謎の生活の実態」「いかがわしい」などとセンセーショナルに報じている。
 
しかし、今回の逮捕劇は狙い撃ちされたものである可能性が高い。というのも高樹容疑者に対して、以前から内偵が行われていたという。
 
「今回、高樹容疑者らを逮捕したのが沖縄県警などではなく、関東信越厚生局麻薬取締部がわざわざ出向いて逮捕したことが象徴でしょう。以前から高樹をターゲットに水面下で捜査を続けていたようです。しかも関東麻薬Gメン単独ではなく九州、近畿、四国の麻薬取締部による合同での捜査でした」(大手紙社会部記者)
 
実際、25日の逮捕劇は、約30人もの捜査員が一斉に高樹容疑者の自宅に入るという異例のものだった。今回の摘発がいかに大規模かつ入念だったかがわかる。実は、高樹容疑者だけでなく、ここ最近、厚労省の麻取による医療用や産業用大麻に関連した逮捕者が立て続けに出ているのだ。
 
たとえば10 4日、厚生労働省中国四国厚生局麻薬取締部が、鳥取県智頭町で大麻栽培者の許可を得て町おこしに取り組んでいた大麻加工品製造業「八十八や」の家宅捜査を行い、代表の上野俊彦容疑者と従業員2人を逮捕したことが明らかになっている。また同月5日には岡山県真庭市で、同市の非常勤職員で、地域おこし協力隊員として産業用大麻を栽培するよう働きかけていた中村雄亮容疑者が近畿厚生局麻薬取締部に逮捕されている。
 
医療用や産業用の大麻解禁、もしくはそれを扱っていた人々が次々と逮捕される。これらは決して偶然ではない。その背景について、麻薬の取り締まりに詳しいジャーナリストはこう証言する。
 
「今回の高樹さんの逮捕に象徴されるように、日本では大麻はまるで覚せい剤と同様の違法薬物という認識が強いようですが、国際的には危険な麻薬という認識ではありません。ドイツ、チェコ、フィンランド、カナダ、オーストリアなどの欧米各国では医療用大麻は合法化され、アメリカでも25州とワシントン自治区で合法化されています。世界的にも研究が進んでいる状況で、その考えはもちろん日本にも波及しつつある。しかし日本当局、とくに厚生局麻薬取締部はこの動きに大きな警戒心を抱いているのです」
 
厚生労働省の地方厚生局麻薬取締部の麻薬Gメン。警察とは違い、厚生労働大臣の指揮監督を受けて全国9地区に存在する。そこでは司法警察員の身分と権利を持つ「特別司法警察官」が国内だけでなく、海外からの薬物押収も行っている。2016年現在、その人数は296人だ。しかも近年の危険ドラッグ(脱法ドラッグ)の蔓延との理由から、15年1月には麻取部の体制を強化、専任の取締官を16人から41人と約2.5倍の増員をするなどの組織強化を行った。
 
だが一方で、麻取部が扱う大麻に関しては解禁の動きが世界的に活発となっている。 先述のとおり、高樹容疑者は、これまで医療用大麻の解禁を訴えてきた人物であり、かつ発信力もある元女優でもある。11年頃から医療用大麻解禁を訴え、石垣島に移住し、1210月には芸能界を事実上引退し、その活動に専念している。
 
ブログなどでも「大麻は持続可能な暮らしをサポートする大切な天然資源」「お酒、たばこ、チョコレートよりも安心で安全」などと主張、また医療用としても認知症予防に期待できるとして「日本の法律は厳しく、麻薬と誤解を受けている。医療用大麻は世界で使われているが、我が国では研究すら厳しい」「海外の立証が真実なら、私たちの国で行われていることは、人権侵害にもつながるのではないか」と、日本の大麻政策を批判する主張も発信している。
 
さらに今年7月には落選したものの、参院選に大麻取締法の改正を訴えて「新党改革」から出馬もした。参院選落選以降も、その活動を活発化。107日には『爆報!THEフライデー』(TBS)に出演し、同居人たちと共に大麻解禁を訴えている。
 
また105日に逮捕された上野容疑者も、その支援者の一人が安倍首相の妻である昭恵夫人だったことから大きな注目を集めていた。本サイトでも報じているが、昭恵夫人は医療用大麻の可能性や町おこしに積極的で、1573日のFacebookには「日本ではまだ認められていませんが、医療用としても大いに活用できると思っています」と上野容疑者を訪ねて大麻畑で微笑む写真をアップ。「SPA!」(扶桑社)151215日号では、上野容疑者との対話が掲載されていたほどだ。彼もやはり、昭恵夫人の支援によるアピール力の高さから、目をつけられた可能性が高い。
 
「大麻解禁を訴えるこうした動きに麻取部、そして厚労省は相当な危機感を持っています。もし医療用といえども解禁になれば、組織の混乱や長期的には縮小、弱体化も懸念されます。また法整備、改正も必要ですが、厚労省はそうした動きを嫌っていますから」(前同)
 
そう考えると、社会的影響力の大きい高樹容疑者の今回の逮捕と、麻取部の異例の体制での捜査も納得できる。つまり今回の高樹容疑者逮捕は、厚労省、そしておとり捜査も可能な麻取部が入念に練り上げた作戦であり、一種の見せしめ、国策捜査だった可能性が極めて高いのだ。
 
そしてその思惑は、いまのところ大成功を収めている。実際、逮捕翌日26日のワイドショーを始めとするマスコミはこぞって高樹容疑者逮捕をトップで伝え、その論調もまるでヤク中の極悪犯罪者のように糾弾しているからだ。言っておくが、まだ高樹容疑者は大麻所持を認めてすらいない段階で、だ。
 
また、昭恵夫人が支持していた上野容疑者の逮捕も大きな影響をもたらした。上野容疑者が逮捕されたことで、町は産業用大麻の販売自粛を要請。平井伸治鳥取県知事は県内の産業大麻栽培を全面的に禁止するための条例改正の方針を打ち出したからだ。
 
これは全国では初めてのことだ。現在の日本では「産業用大麻」の栽培は決して違法ではない。大麻草を栽培するためには、都道府県知事が許可する大麻取扱者免許を取得すればいいし、栽培は各地で行われているが、今回はそれさえも禁止する措置を打ち出したことになる。
 
しかし繰り返すが、大麻は欧州などでは既に90年代から産業、医療用の研究が進み、もはや危険な麻薬という認識ではなくなりつつある。
 

大麻を研究・有効利用することで、数々の病気を治癒することができる可能性を指摘した『大麻解禁の真実』(矢部武/宝島社)でも、医療用大麻はアルツハイマー病や糖尿病、てんかん、多発性硬化症、PTSDなど様々な治療に役立つと指摘、日本で流布される大麻の危険性の誤りについて具体的に指摘している。(本サイト既報http://lite-ra.com/2016/05/asyuracom-2240.html「参院選出馬、高樹沙耶の「大麻解禁」公約はトンデモじゃない!世界各国で大麻の医療効果が認められ合法化進む」より)。

 
大麻が医療用や産業用として有用であることは世界的潮流でもある。それを訴えた高樹容疑者の今回の逮捕の背景については、今後とも注視が必要だろう。
 

室井佑月「日本語がまるで通じやしない」と嘆く

週刊朝日  2016114日号


作家の室井佑月氏は数々の不祥事が明らかになる政治家たちに「わが国のインテリジェンスは機能しているんですかね?」と疑問を呈する。

*  *  *
1016日、テレビを見ていたら稲田朋美防衛相が出ていて、北朝鮮のミサイル発射の失敗について、うんたらかんたら話してた。

「緊張感を持って情報収集に当たりたい。(ミサイル発射の詳細について)わが国のインテリジェンスに関わることでもあるのでコメントは差し控える」 とかなんとか。
 
緊張感ね。いや、マジで、緊張感を持って仕事してくださいよ。稲田センセイをはじめ、白紙領収書を乱発したりする自民党のみなさんは。
 
こういう場合で使うインテリジェンスって言葉は、諜報活動って意味なのだろうけど、あたしが学校で習ったこの単語の意味は、知性だったりする。
 
インテリジェンス……。わが国のインテリジェンス……。ちゃんと機能しているんですかね? あまり大きなニュースになっていないが稲田さん、週刊誌「サンデー毎日」に、──ヘイトスピーチをする「在日特権を許さない市民の会(在特会)」との蜜月関係、在特会に近い8人の人物から計約21万円の寄付を受けた──と書かれて名誉を傷つけられたとして、当時の発行元の毎日新聞社に550万円の損害賠償などを求めておった。
 
そして12日、稲田さんは、大阪高裁に控訴を棄却された。一審につづき、2回目の負けだ。この方、8月の終戦記念日の式典を欠席し、民進党の辻元清美議員から過去の発言との「言行不一致」を追及され、涙ぐんだ。
 
自分に非がないと思うなら、涙なんか見せず、堂々と自分の主張を貫けばいい。今回のことだって「在特会とは考え方が近いところもある」と、そういえばいい。実際そうだしな。ま、この国の政権の重要閣僚がヘイト団体と仲良しって、すっごいことだけどさ。
 
しかし、この問題にしたって、みんなやってるから大丈夫みたいだわ。
 高市センセイはネオナチ団体と、安倍ソーリは在特会の関西支部長(当時)とツーショット写真を撮ったりしておる。
 
もうなにがなんだか、わかりまへんな。あたしはもう、あなた方のインテリジェンスについていけない。
 
南スーダンでは政府軍と反政府軍の争いでたくさんの死者が出ている。なのに、自衛隊を派遣するのは、「衝突事案」であって、戦闘行為じゃないからいいんだと。
 
説明にもなってないじゃん。彼らには、自分の身近な人が自衛隊員だったらなどという、想像力の欠片(かけら)もないんだろうと思う。
 
テロ対策についてもそうだ。彼らはテロに屈しないなどと威勢のいい言葉を吐く。が、どうすれば完全にテロを防げるというのか?

首相が海外へ行き、余計な挑発をすればするほど、テロの標的になる確率が高くなる。でもって、それってどうなのと疑問を挟めば、くだらない彼らの仲間から、「テロの味方か」などとヘイトされる。
 
日本語がまるで通じやしない。
 

沖縄への思いは皆無 鶴保沖縄相が守りたい「立場」の意味 室井佑月の「嗚呼、仰ってますが。」

2016年10月27日 日刊ゲンダイ 
  

「これは間違っていますよ、とかいう立場でもありませんし、また、正しいですよということでもありません」(鶴保沖縄北方相の言葉/10月21日記者会見)


沖縄・高江のヘリパッド建設現場で、機動隊が抗議活動中の市民に「ボケ! 土人が!」と罵った問題について、閣議後、記者たちに囲まれ、


「県民感情が損ねられているかどうかについて、まだ判断できないのか?」
そう訊ねられてのアンサーがこれよ。


このボケ!(前出の言葉に被せてみました)おまえがそういう発言は良くないことだと言わずしてどうする? 沖縄の担当大臣だろうが!

きっと、この人がいう立場ってのは、至極個人的な立場のことなんだよね。現政権下での自分の立場や、『日本会議』のメンバーとしての立場ってのもあるのかもしれない。


この人にとっちゃ、そういう立場を大事にし、これからもっと出世していきたいな、ってとこなのだろうよ。


だから、沖縄の担当大臣であるのに、沖縄の人々に気持ちを寄せて……なんて当たり前のことが皆無である。今年の8月にも、普天間基地の辺野古への移設が遅れた場合は、復興予算を減額するとし、「消化できないものを無理矢理お口を開けて食べてくださいよでは、全国民の血税が使われているお金を無駄にしているという批判に耐えられない」


という下品な恫喝発言も出来た。あたしからすれば、こんな男を生かすため、国民の大事な血税が使われることが、もっとも厭なことだったりするのだが。だって、本人が分かっているのかいないのか、心の根っこの部分に、弱者に対する嫌らしい差別意識を持っているのはいうまでもない。


そんな人間がなぜ政治家をやっているのだ? しかし、現政権下でのしているのは、そういうやつらばっかりで暗澹たる気分になる。常識的に考え、人間的にまったく尊敬できないこやつらを、崇拝するようなボケボケのボケ! がいるから困る。

櫻井よしこ、渡辺昇一、百地章・・・「生前退位」を議論する有識者会議のヒアリングメンバーがとんでもないことになっている。

 くろねこの短語  2016/10/27

大麻騒動があったと思ったら、三笠宮さんが亡くなって、このどさくさはTPP強行採決派にとっては絶好のチャンスってところか。
 
でもって、三笠宮さんなんだが、戦時中から極めてリベラルな宮様だった。その三笠宮さんが、戦後の皇室典制定時に天皇の「生前退位」について言及していたってね。「必要最小限の基本的人権としての譲位を考えたほうがよいと思っている」とかなり踏み込んだ発言をしている。さらに、「『死』以外に譲位の道を開かないことは新憲法第十八條の『何人も、いかなる奴隷的拘束を受けない』といふ精神に反しないか?」とまで言及している。

 
そんなリベラルな宮様が亡くなったその日に今上天皇の「生前退位」について議論している有識者会議が、意見聴取する16人のメンバーを決めた。メンバーの中には、櫻井よしこ、渡辺昇一、百地章なんて名前が見える。ペテン総理と極めて近く、日本会議とも密接なつながりがあるお歴々だ。
 
もちろん、「生前退位」には反対で、皇室典範に手をつけるなんてもってのほかというスタンスを日頃から口にしている連中だ。皇室典範が俎上に上がると、必然的に女系天皇の問題まで議論することになりかねませんからね。女系天皇を是が非でも阻止したい日本会議にしてみれば、ここはどうしても彼らをメンバーに送り込みたかったはずだ。ペテン総理はそうした意を汲んだってことです。
 
つまり、「生前退位」を議論する有識者会議そのものも含めて、結論ありきで事が進んでるってことだ。今上天皇がビデオメッセージで伝えたかった「象徴天皇とは?」という問いかけなんかまったく無視して、「ご公務の軽減」なんてことに話を矮小化してるんだね。
 
これって極めて「不敬」なことで、つむじが右に曲ったひとたちにとって、天皇はあくまでも利用価値のある「装置」にしかすぎないわけで、そこに畏敬の念なんてのはサラサラありません。
 
それにしても、ここまでわかりやすいヒアリングの人選するとはねえ。いかに世の中すべてをペテン総理が舐めているかってことの証みたいなもんですね。天に召された三笠宮さんもさぞかし無念なことだろう。

石原信雄(元内閣官房副長官)
今谷明(帝京大特任教授)
岩井克己(ジャーナリスト)
大石眞(京都大大学院教授)
大原康男(国学院大名誉教授)
笠原英彦(慶応大教授)
櫻井よしこ(ジャーナリスト)
園部逸夫(元最高裁判事)
高橋和之(東大名誉教授)
所功(京都産業大名誉教授)
平川祐弘(東大名誉教授)
古川隆久(日大教授)
保阪正康(ノンフィクション作家)
百地章(国士舘大大学院客員教授)
八木秀次(麗沢大教授)
渡部昇一(上智大名誉教授)

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