日本総研・藻谷浩介氏「安倍政権は経済的な“反日”の極み」
2014年9月29日 日刊ゲンダイ
アベノミクスを批判する専門家は多いが、「(無謀な金融緩和を止められない自分の無力を)懺悔しなければならない」(9月14日毎日新聞)とまで語った人は珍しい。「金融緩和の頓挫した後の世界を生きていく時間の長い若者よ、集団幻想を抜け、事実を語ろう」とも。痛いところを突かれたせいか、安倍首相は「アイツだけは許さない」と怒っている。さっそく、講演会場で直撃した。
■相手をケガさせて「クスリを買え」という手法
――「安倍氏と直接の面識はなく、好き嫌いで批判しているわけではない」と語る藻谷氏。氏が指摘するのは、「アベノミクスの成果」に実体がなく、円安の副作用ばかりが大きくなっているという事実だ。
■いつの間にか中東に貢ぐ国に
――その結果、日本はどれだけ国富が流出しているか。円安に株価上昇で浮かれるのはあまりにも能天気だ。
円安政策が対中貿易赤字を招いている
――安倍首相は中国に対して、高飛車に出ている。しかし、その一方で、対中貿易が極端に悪化しているのは皮肉なことだ。
――里山資本主義を提唱する藻谷氏は、GDPばかり計算していないで、お金に換算できない価値を見直すべきだと訴えている。そうした発想の転換によって、日本は幸せな国になれると提言している。
■仏・伊方式に活路がある
――マネー資本主義に毒されているのは、米国も同様に見える。日本が参考にすべき国はあるのだろうか。
▽もたに・こうすけ 1964年生まれ、山口県出身。東大法卒。日本開発銀行(現・日本政策投資銀行)を経て、日本総研調査部主席研究員、日本政策投資銀行地域企画部特別顧問。「デフレの正体」など著書多数。