真実の報道神秘

権力の『おかしな政策』におかしいと報道しない日本で、一人でも『おかしい』と声を上げ、真実を追求して行きます。

2014年09月

日本総研・藻谷浩介氏「安倍政権は経済的な反日の極み」

2014
929日 日刊ゲンダイ


 アベノミクスを批判する専門家は多いが、「(無謀な金融緩和を止められない自分の無力を)懺悔しなければならない」(9月14日毎日新聞)とまで語った人は珍しい。「金融緩和の頓挫した後の世界を生きていく時間の長い若者よ、集団幻想を抜け、事実を語ろう」とも。痛いところを突かれたせいか、安倍首相は「アイツだけは許さない」と怒っている。さっそく、講演会場で直撃した。

 

相手をケガさせて「クスリを買え」という手法

――「安倍氏と直接の面識はなく、好き嫌いで批判しているわけではない」と語る藻谷氏。氏が指摘するのは、「アベノミクスの成果」に実体がなく、円安の副作用ばかりが大きくなっているという事実だ。

 
「原発が止まったから、火力発電所用の石油輸入量が増えて貿易赤字国になった」「国富を流出させないためには再稼働が必要だ」という話を、多くの人が信じ込んでいる。とんでもない話で、真犯人は政権が自分で誘導している「円安」です。
 
確かに日本の輸入は野田政権の時に66兆円、そして安倍政権の時に77兆円と、1年間で11兆円も増えました。石油・ガス・石炭はそのうちの3兆3000億円、つまり3割で、7割は食品や雑貨やスマホなど、燃料以外の商品の輸入額が円安で膨れ上がってしまったものです。
 
燃料代3兆3000億円の増加も円安が原因で、原発停止が理由ではありません。原発は野田政権当時から全部止まっていたのですから。日本の石油や天然ガスの輸入量は国民や企業の省エネ努力のおかげで、原発事故前の2010年も、安倍内閣の昨年も、2億5000万キロリットルと横ばいのままなのです。
 
経産省は原発を全部再稼働すれば、化石燃料の輸入額を1兆6000億円程度減らせると言っていますが、昨年の貿易赤字は8兆5000億円ですから焼け石に水。自分で円安にして日本を大赤字にしておいて「原発再稼働」というのは、相手を転ばせてケガさせておいて「さあ、クスリを買え」というような話です。
 

いつの間にか中東に貢ぐ国に

――その結果、日本はどれだけ国富が流出しているか。円安に株価上昇で浮かれるのはあまりにも能天気だ。

 国全体で「赤字がかさんでいる」のは、企業や個人の損の合計が、それだけ増えているということ。特にガソリンや電気を使っている企業や個人の儲けがどんどん減っている。株価の上昇で儲けて喜んでいるのはごく一部の人たちで、多くの人はひたすら、中東諸国に貢ぐために働く、というようなはめになっています。
 
株が上がったと浮かれている人は、「国全体が赤字になっても、自分だけは儲けることができた」と喜んでいるわけですが、それを「政権の成果」と囃していていいのでしょうか。
 
今年上半期の数字から試算すると、今年の貿易赤字は十数兆円に膨らみます。野田政権のときが4兆円台の赤字、鳩山政権の2010年には10兆円の黒字でしたので、日本はものすごい勢いで貿易赤字国に転落しているのです。
 
ちなみに輸出も増えています。日本のものづくりの国際競争力が落ちているというのはとんでもない誤解で、今よりも輸出が多かったのは、リーマン・ショック前の世界超同時好景気の3年間だけです。ハイテク部品や高機能素材が売れ続けているからです。しかし、日本全体の収支構造が逆ザヤになってしまっているので、輸出が増えるほど輸入も増えて赤字が拡大するのです。


円安政策が対中貿易赤字を招いている

――安倍首相は中国に対して、高飛車に出ている。しかし、その一方で、対中貿易が極端に悪化しているのは皮肉なことだ。

 
日本は中国(香港を含む)に対して、一昨年までの12年間、貿易黒字を続けてきました。鳩山政権当時は史上最高の4兆円近い黒字を稼いだのです。それが安倍政権下の昨年、1兆円の赤字に転落してしまった。日本は雑貨でも食品でも部品でも安いものを何でも、コストダウンのために中国から買いまくっていて、そういう構造が円安で裏目に出たのです。
 
「中国と毅然と対決する」という姿勢の安倍政権の円安政策が、こうした結果を招いている。対中貿易赤字を招くような政策を経済的な「反日」政策だとすると、「安倍政権は反日の極み」で、「鳩山政権が最も親日」という皮肉なことになる。
 

――里山資本主義を提唱する藻谷氏は、GDPばかり計算していないで、お金に換算できない価値を見直すべきだと訴えている。そうした発想の転換によって、日本は幸せな国になれると提言している。

 
日本は20年前から、1人当たりのGDPは世界20位以内の水準です。失業率も先進国で最低水準なのに、「もっと稼いでGDPを増やさなければならない」と政治家は叫び、そう言えば、支持率が上がる。そのために刹那的な「マネー資本主義」に走っています。その結果、未来のために残さないといけないものまで使い尽くし、今稼ぐために残してはいけないものを残している。具体的には借金と汚染物質です。
 
ようやく表に出始めた原発の廃炉費用を上乗せするだけでも、電気料金はさらに上がっていく。でも廃炉費用の負担が本格的に発生するのは少なくとも2、3年後。使用済み核燃料の負担が出てくるのはその先。それまでに任期が来るメーカーのサラリーマン社長は、「取りあえずは原発再稼働で目先の電気料金が下がってくれればいい」と考える。これが「マネー資本主義」の刹那的な発想です。
 
マネー資本主義に走る大企業は、人員を減らすことで給料の総額を減らし、原材料を安くするために中国からの輸入量を増やして、配当を確保する。1部上場の大企業は配当を減らすとソニーのように株主総会で叩かれるので減らしません。その分、貿易赤字が増えて、内需は縮んでしまいます。
 
アベノミクス以降、日経平均株価は9割も上がったのに、国内の小売販売額は1%しか伸びていない。13年の小売販売額は139兆円で、12年の138兆円とほとんど変わっていないのです。国民や中小零細企業の大多数は、円安で輸入原材料費が上がって経費がかさむばかりで恩恵の実感はありません。
 
株が上がって儲けた人がどんどん使えばいいのですが、彼らは金融商品を買うばかりで、国内でモノを買わない。海外にビルが建つだけです。「飢えている人の横で、食べ物を冷蔵庫にしまい込んで腐らせている金持ち」というような行動です。
 

仏・伊方式に活路がある

――マネー資本主義に毒されているのは、米国も同様に見える。日本が参考にすべき国はあるのだろうか。

 
資源もないのに日本に対して貿易黒字のフランスやイタリアに注目しています。両国とも日本人ほど働いているという話は聞いたことがないのに、日本の方が赤字です。彼らが売り込んでいるのは、ブランド衣料宝飾品に加えて、田舎の産品であるワイン、チーズ、パスタにオリーブオイルなどです。ハイテクではなく、デザインと食文化を売っている。日本だって、里山の恵みをもっと生かして、同じような路線を追求できるはずです。

もたに・こうすけ 1964年生まれ、山口県出身。東大法卒。日本開発銀行(現・日本政策投資銀行)を経て、日本総研調査部主席研究員、日本政策投資銀行地域企画部特別顧問。「デフレの正体」など著書多数。

 

いつの間にか国連から帰っていた安倍首相

2014927日 天木 直人 | 外交評論家


御嶽山の噴火には驚いた。しかしもっと驚いたのは安倍首相が首相官邸から災害対策を命じていたことだ。安倍首相は国連総会に出席して地球儀外交に忙しくしていたのではなかったのか。

 
いつの間に日本に帰っていたのか。なぜメディアは安倍首相の帰国を報じないのか。それほど安倍首相の国連訪問は成果がなかったということだ。書けば書くほど成果のなかったことがばれる。帰国して記者会見をすれば質問責めにあって返答に窮する。だからこっそり帰ったのだ。メディアがそれに協力したのだ。
 
ところが御嶽山が突然噴火した。一国の総理だから国民に向かって何か言わなければいけない。こっそり帰国したことがバレたのだ。メディアも報道せざるを得なかったのだ。もう安倍首相は隠れることはできない。これからが大変だ。だけど今度こそ病気を理由に政権を投げだすわけにはいかない。どうするんだろう。
 
嘘ばっかりつくわけにはいかない。嘘をついたところで問題は解決されない。同情はしないがひとごとながら心配だ(了)
 

吉田調書に復讐される安倍首相と菅官房長官

2014年9月29日 6時4分 天木 直人 | 外交評論家

私が書く安倍政権批判は安倍側近も読んでいると見えて、安倍政権の回し者からてきめんに罵倒のメールが届くから面白い。よほど痛いところを突かれたということだ。

吉田調書について書いた時もそうだった。私はあの時書いた。朝日と東電のどちらが正しいか、この際、徹底的に真相を究明しろ、その結果、朝日と門田のどちらかがつぶれる、と。どちらがつぶれても構わないが、吉田調書を国民の前に公開し、政府としてどちらが正しいか判定しろ、そして原発事故の真相をあらためて国民の前で明らかにしろ、と。その通りとなった。
しかし、安倍政権のまわしものか、単なるバカか、知らないが、私のところに罵倒のメールをよこした。

吉田調書で朝日が謝罪をしたではないか、お前の言っていた事は間違いだったではないか、門田に謝れなどというメールの洪水だ。笑止千万だ。
お前たちの目はふし穴か、私の書いたものをもう一度よく読んでみろ。
私は朝日が正しいとも、門田氏が間違っているとも言っていない。
これほど重要な事を、一介のフリージャーナリスト如きが断定的に書くな、それは政府の仕事だと言ったのだ。間違ったほうがつぶれ、政府は吉田調書を公開することによって天に唾することになる、そう書いたのだ。

そしてその通りになった。朝日は誤りを認め、オウンゴールでつぶれた。
それは朝日の勝手だ。

しかし、吉田調書からは東電職員が逃げなかったという証明はどこにも見当たらない。

門田の正しさが証明され、門田の名誉が挽回された事にはならない。
それどころか、今回の一連の騒動で、門田が安倍政権側、東電側についたことが明らかになった。門田は政府御用達の言論人となり、東電という民間企業のお抱え広報マンとなった。門田は金と身分保障は手に入れたが、ジャーナリストとしては終わったのだ。

それよりも何よりも、菅官房長官は吉田調書を公開した事によって福島原発事故の凄まじさをいやでも呼び起こした。吉田調書をくわしく読めば、原発再稼働どころではなくなるのだ。

そう思っていたら、きょう発売の週刊ポストが絶妙のタイミングで衝撃的な特集記事を掲載した。吉田調書の公開によってこれまで隠されてきた原発事故の真実があぶりだされたと。それを読むと原発再稼働などとんでもないことがわかる。

朝日つぶし、菅民主党つぶしのために公表した吉田調書によっていま安倍・菅自民党政権は復讐されようとしている。国民は今度こそ安倍・菅自民党政権を逃がしてはいけない(了)

財閥が極右を操る日本

<本澤二郎の「日本の風景」(1759)

 
<極右片肺・自公政権>

 安倍晋三、高市早苗、稲田朋美、山谷えり子、下村博文というと、自民党の極右を代表するメンバーとして定評がある。目下、党と政府に張り付いている問題議員として、ネット社会で話題を集めている。麻生太郎もこの中に入るだろうが、この5人と比べると、陰が薄い。自民党極め付きの極右体制を印象付けている。さらにいうと、公明党極右を代表して太田某も加わる。過去に右翼片肺政権という表現が使われたことがあるが、極右片肺という表現は初めてのことである。

 東芝・日立・三菱の原発メーカーのセールスを引き受けた安倍首相のトルコ訪問は、すでに2度数える。インドには公明党代表の山口にも行かせて、原発ビジネスを請け負わせている。
 中国封じ込めに、核兵器開発可能な原発を売り込んでいる内閣の黒幕は、日本の財閥なのである。深層をえぐる分析は、駆け出しのジャーナリストには理解できない。学者の机上の空論ではない。実感として肌で感じるまでには、ものすごい研究と時間がかかる。
 いえることは、極右片肺体制の主役は財閥なのである。

 
<ナベツネ主導の言論界>

 姿形が民主主義の体制の場合、世論が圧倒することになる。したがって先進民主国家は、この世論に一番気を使うことになる。独裁体制と異なる点である。
 どうするか?体制擁護のメディアを駆使することになる。可能なことなら新聞テレビの全てを飼い犬のようにすれば、最適である。世論操作は容易に完結するだろう。
 安倍・極右体制の世論誘導の主役は読売のナベツネである。これに日経・フジサンケイグループが追随している。多少とも不偏不党・公正な報道に努力している東京・朝日に対しては、広告その他で政府の圧力が加わる。
 毎日は信濃町の軍門に下って久しい。現在の日本言論界はナベツネ主導で動いている。これが安倍支持率を意図的に格上げしている。客観性は皆無である。
言論界崩壊が安倍支援を可能にさせている。いびつな日本である。

 ジャーナリズムが存在しない、そんな日本を海外の研究者はなかなか理解できないでいる。ナベツネの強さの秘訣は、財閥とグルになっている、そのためである。
 公共放送のはずのNHKに対して、安倍は三井のモミイを会長に送り込むという露骨な人事で、安倍広報機関に変質させてしまっている。これでは民主主義も絵に描いた餅でしかない。財閥と官邸による悪しき人事である。これにNHK労組が体を張って抵抗すべきなのだが、それがない。労働組合も腐敗してしまっている。

 
<極右官僚が牛耳る霞ヶ関>

 安倍内閣になって公務員法がそそくさと改正された。その核心は、官邸が霞ヶ関の人事権を完璧に掌握できる制度にしたことである。
 これはいまだ多くの国民に知られていないが、要するに、霞ヶ関が実質、日本政治を動かしているのだが、そうした官僚のすべてを、官邸・極右にひれ伏すことが出来る強権を、安倍内閣が手にしたことである。
 結局のところ、エスカレーターを上り詰めることに生きがいを持っている官僚は、すべからく極右の路線に乗らなければ、出世コースから落ちることを意味する。
 他方で、財閥と官僚エリートの結びつきは、天下りによっても確立している。財閥に抵抗する官僚は簡単に排除できる。霞ヶ関の官僚は、財閥と官邸の双方から羽交い絞めにされてしまったことになる。

 中立公正で国民に奉仕する霞ヶ関官僚は皆無、という信じがたい事態に追い込まれている。
 結局のところ、官界と言論界を押さえ込んだ安倍・極右片肺政権ということになる。ここを理解できるジャーナリストが何人いるだろうか。仮に、それを活字にする記者・編集者は、100%窓際に追いやられるだろう。例外は日刊ゲンダイぐらいだろう。
 言論界も官界もまさに窒息状態なのだ。

 
<財閥の大元締めは税金を納めない>

 日本の権力の源泉は財閥である。その大元締めは資本を牛耳るメガバンクであるが、彼らは中曽根バブルで踊りまくった挙句、バブルがはじけて失速すると、その後ずっと税金を納めていない。それどころか、血税を懐に入れて再生した。
 これは実に不可解・不思議なことである。これを追求しない国会の怠慢と、これを報道しない無責任な新聞テレビに注目する必要がある。
 財閥にひれ伏す議会と新聞テレビを象徴している。筆者は裏金が、政界と官界、そして新聞テレビにも流れていると考えている。

 朝日新聞の特ダネというと、関西電力の元首脳部の告白証言である。歴代政権に2000万円の裏金を流し込んでいた、という真実は、政治資金規正法がザル法、国民を欺く悪法であることを裏付けている。
 他の電力会社も同様のことをしているだろう。それは財閥も、である。財閥の会計は、かなりいい加減なものなのだ。国税当局も、財閥の違法行為には手出しできない。司法も財閥には手が出ない。これは大きな日本の深刻な差別である。
 財閥は民主主義の破壊者なのだ。
 

1000兆円以上の莫大な借金大国の日本、その巨額の脱税組織は財閥と断罪できるだろう。ここにメスを入れるべきだろう。富裕層というと脱税の本家だが、財閥のそれと比較すると、足元にも及ばないだろう。
 最近では、脱税資金の行く先はきわめてはっきりとしてきている。欧米でも、中国でも、巨額脱税に目を光らせている。スイス銀行の秘密口座も露見してきている。ケイマン諸島なども判明している。タックス・ヘイブンの地にメスを入れれば足りる。それが具体的に進行している。日本もやるしかないだろう。
 中曽根、ナベツネ、竹中は反対するだろうが、これは社会的正義を貫くために断固必要である。庶民の強固な叫びである。

 
<宗教・医療・教育の優遇税制>

 事のついでに、昔から指摘されて具体化しないことに、優遇税制がある。財閥優遇である。「日本の法人税は高すぎる」という財閥の宣伝は嘘である。あらゆる優遇税制によって保護されている。
 この問題について共産党が少しばかり追及してきたが、本格的な追及はしない。公明党はほとんどしない。理由は同党を物心両面で支えている新興宗教の存在がある。
 信者からの寄付金だ。聞いてみると、すごい金額が一般の庶民から拠出されている。一般人には想像も出来ない巨額の寄付金が無税なのである。このことから、公明党は財閥優遇税制を追及できない。双方は補完的な関係にある。
 莫大な寄付金の一部は、財閥経営のメガバンクに預金されている。むろん、そればかりではない。
 医療・教育もまた優遇税制の恩恵を受けている。財閥優遇と宗教、教育、医療の優遇も、1千数百兆円の借金大国が崩壊寸前になると何が起きるのか。誰もわからないが、こうした不公正税制は止めるしかない。

 
<公平・公正な社会の構築を急げ>

 想像を絶するような巨大格差社会の日本である。再びマルクスが読まれる時代の到来とも聞く。革命の足音と軍靴の音が、同時に聞こえてきている日本でいいのだろうか。過激派を喜ばせる日本で言い訳がない。
 それを回避する唯一の手段は、公正・公平な社会を構築することである。そうした勢力の結集が、野党再編にかかっている。それは青嵐会崩れには無理である。                

 

批判する者を許さないい臆病者を首相に持つ日本の悲劇

2014年9月28日  天木 直人 | 外交評論家

週刊文春10月2日号「ワイド特集 ナイショの話」に次のような事が書かれていた。
ベテランジャーナリストとの内輪の会で。安倍首相がグラス片手にこう暴言を吐いたという。

「モタニ?アイツだけは許さない。あの馬鹿っ!俺に喧嘩売っているのか」と。モタニとは、「デフレの正体」や「里山資本主義」の著者であり、アベノミクスは間違いだと一貫して言い続けているエコノミスト(日本総合研究所主席研究員)藻谷浩介氏のことである。

安倍首相が自分を批判する者に腹を立ることは知っている。しかしこの国の最高権力者が、国民のひとりである一介のエコノミストをここまで罵倒するなどということはあってはならないことだ。臆病者こそ批判されれば怒る。
そして臆病者こそ何をしでかすかわからない。どうやら日本国民は、腹痛で政権を投げ出した臆病な政治家を再び首相にさせてしまった事を悔やむ時が来たようだ。

これにしても、こんな暴言を聞いておきながら誰一人それを咎めず、週刊誌しかこの暴言事件を報じないとは。みなが安倍を甘やかしているからつけあがるのだ。このままでは日本は危うい(了)

安倍・金銭外交は不発<会場をうならせる国連演説ゼロ>
<本澤二郎の「日本の風景」(1759)

20140927日 「ジャーナリスト同盟」通信

 
 ニューヨークの国連総会で日本の首相は、何を訴えたかったのだろうか?首を傾げてしまう。ふと三木武夫や大平正芳・宮澤喜一らを思い浮かべた。彼らなら会場をうならせる、右顧左眄しない日本ならではの演説を用意したであろう。所詮、ナショナリスト首相や彼を支える右翼官僚にそれを期待するのは無理である。モノほしそうに「貢献」というむなしい言葉の連発だけが耳に残った安倍演説だった。深刻すぎる気候変動への具体策も聞こえなかった。

<相変わらずの金ばら撒き>
 安倍の言う貢献とは、金のばら撒きだった。エボラ熱はいいにしても、戦争のための金にも「出します」と叫んだ。安倍の言う積極的平和主義とは戦争に加担する、それも金で、というものだ。
 中東に限らない。紛争の根源は貧困・差別である。これに目を向けなければ、ワシントンの戦争屋に利用されるだけである。都合の悪い勢力を「テロ」と決め付けて、軍事的制裁を加える。こんな対症療法では病は治らない。せっかくの米国訪問である。オバマと会談すればいいのに、プーチンと二股をかける安倍を毛嫌いしているホワイトハウスにその気はなかった。

<NHKは安倍側近記者を特派員>

 官邸筋で知られるNHKの女性記者が、なんとニューヨークで特派員としてマイクを握る映像が飛び出した。例の問題会長のモミイが、気を利かして彼女を送り込んだもの、と社内で見られている。
 問題なのは、彼女の目が狂っているということにある。決して安倍批判をしない、出来ないというジャーナリスト欠陥人間だからである。
 案の定、彼女は安倍・国連外交を褒め上げていた。NHKは国民に奉仕する立場を放棄、安倍・官邸の広報機関に徹している。


<足元では敗戦後の子供たちが>
 日本もまた、貧困で泣いている子供たち、若者たちがいる。子供を捨てる人たちがいる。これらを同じNHKが報道している。モミイに必死で抵抗する職員の存在を印象付けている。世界で起きている貧困問題が日本でも起きている。まともに食事が出来ない幼子、学校に行っても仲間はずれ、不登校へと転落してゆく学生。目下、神戸で発生した小学生殺害事件の犯人にも、貧困がまとわりついている。貧困と差別が事件の根源にある。
 

成長過程の子供にご飯も与えられない家庭の存在、それは敗戦後のころを生きた者にはわかる。そうした家庭がいま相当数いるというのだ。映像の迫力は活字を凌駕する。三井財閥のモミイにはわかるまい。たぶん、見ていなかったであろう。昨夜は「赤ちゃんポスト」も取材していた。年金を払えない、健康保険に入れない、結婚も出来ない、という非正規社員は、小泉内閣時代に竹中という慶大教授らが強行した雇用制度である。
 

本来であれば、分業・分担というワークシェアリングで対応するのが、公平・公正の原則である。これが安倍政治には全くない。
 安倍・自公内閣には、こうした足元の厳しい現実を解決する能力・視点がない。国家主義の行き着く先である。弱者への視点がないと、必然的にさらなる社会混乱へと突き進むだろう。

<お笑い!国連常任理事国入りに必死>

 足元にたくさんの課題を抱えている日本である。貿易立国の破綻が見えてきている。急激な円安で家計も中小企業も傾いてきている。全国の津々浦々から人々の悲鳴が聞こえてきている。 しかし、国粋主義者の耳には届かない。自己の体調と、残るはA級戦犯の祖父の遺言、平和憲法を解体して「軍国主義の神の国」にすることにのみ集中する安倍である。この1年半の行動が如実に示している。
 

東電福島原発問題は、その場しのぎの対症療法でごまかしている、そんな安倍・自公内閣ではないか。当人は国連安保理常任理事国入りを目指している。一転して中国批判を止めた。ならば、せめてまともな歴史認識を示す国連演説の機会だったはずだが、それは出来ない安倍である。
 
軍国主義化と国連での発言権強化、これこそが強い日本だと信じ込んでいるナショナリスト、そんな安倍を支援する不気味な宗教勢力と財閥である。足元は貧困と格差拡大で大きく揺れている。無茶すぎる国粋主義者の野望である。
 
世は地球規模で動いている。安倍の身勝手な野望を受け入れる隣人はいない。国際社会もNOである。たとえNHKや読売が宣伝しても、日本国民が黙ってついていくだろうか。日本もまた貧困に目を向けよ、地方創生などという宣伝にごまかされる日本人ではないはずだ。
 

相対的貧困率世界第2位の国のトップが、カネを抱えてバラマキ行脚をする
http://blog.goo.ne.jp/ikariyax/e/de4d387a1ad3503e96de0464148a271b
2014-09-26
 いかりや爆氏の毒独日記


厚労省の 平成25年国民生活基礎調査の概況によれば、

貧困率の状況は 平成24年の貧困線(可処分所得の中央値の半分)は122万円で、「相対的貧困率」(貧困線に満たない世帯員の割合)は16.1%で過去最悪を更新し続けている。
 
また、「こどものいる世帯の貧困率」は16.3%となっている。1985年の統計開始以来、初めて子供の貧困率が上回った。同省は「母子世帯が増えており、働く母親の多くが非正規雇用であることも影響したのでは」と指摘している。
 

昨夜(9/25)のNHKクローズアップ現代:おなかいっぱい食べたい
~緊急調査・子どもの貧困~について放送していた。満足に食事も取れない母子家庭の子供の食事の実態を報道していた、本当にいまどき食事も満足取れない家庭の児童がいるのかと思うと胸が痛む。

参考:相対的貧困率、日本は第5位から第2位へ、森永卓郎
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/o/44/index2.html

 
阿倍政権は、未曾有の経済的困難の中、消費税増税という最悪の引き金を引いてしまった。
さすがに、さらに10%に引き上げるかどうかについて、阿倍首相は「よく見極める必要がある」と発言。判断する際は11月のGDP速報値や民間有識者らの意見を参考にする」と逡巡する姿勢を示している。
 
黒田日銀総裁は、来年10月に予定されている2回目の消費税率引き上げについて先送り論が浮上する中で、予定通り実施しない場合のリスクの方が大きい、との見方を示した。
黒田総裁に倣ってか、 エコノミストのなかには、10%にすることを見送った場合、「最大のデメリットは財政再建が遅れることだ」とか、予定通り消費増税しなければ「国債は暴落する恐れがある」などと間抜けなことをぬかしている。
 
消費税増税と国債の暴落は直接関係ないにも拘らず、消費税増税論者は、予定通り消費増税しなければ国債は暴落する恐れがあると言ってきた。多くの国民も、日本はこれだけ膨大な借金があるので消費税増税も仕方がないと騙されてきたのである。
そもそも借金を膨らませたのは、財政規律を失った時の政権政治家と財務省です、そしてそれに同調してきた御用経済学者、評論家、そして大手のマスコミです。
いまさら財政再建ができると本気で思っているの?できるわけがないじゃないか。
 
よろしいですか、日本の借金を膨らませたのは「財政規律を無視して借金を膨らませた」のが原因じゃないですか。平成27年度予算(概算要求額)をみてください。予算額は101.6兆円で過去最高額、昨年度よりも約6兆円増です。財政再建(財政規律)の姿勢は全くみられない。

本気で財政再建をやる気なら、例年予算の8割ていどに抑えた緊縮財政にするとか、せめて昨年度予算規模程度に抑えるとか緊縮予算にするしかない。ところが、緊縮予算にしたら、景気はますます悪化する。だからニッチもサッチもいかないのである。

 
バラマキ外交、
訪米中の安倍首相は25日午後、国連総会の一般討論演説に臨み、イラクやシリアで勢力を広げる過激派「イスラム国」への対処を中心に中東地域への計5千万ドル(約55億円)の緊急支援を表明した。西アフリカで猛威を振るうエボラ出血熱対策として4千万ドル(約44億円)を追加支援する考えを示した。
日本は貧困率大国でもあり、世界一の借金大国だとも言われている。
 
その一方で阿倍首相はバラマキ外交を展開してきた。この1年10か月の間に、歴代内閣ダントツの50カ国以上を回り、国民の貧困階級をよそにバラマキ外交をを展開してきた。
世界一の借金大国が世界一のバラマキ外交を展開する可笑しさに気づかない、世紀のバラマキ男の面目躍如というところか(苦笑)。
 
参考: ブログ 「貴方の知らない日本」 また安倍内閣が海外ばら撒き!気候変動サミットで17400億円の途上国支援決定 (2014920 1430分)より下記引用、

ばら撒きしか脳がないのが安倍自民党。それも国内(国民)にではなく海外ばら撒き。そして国民には消費税増税。それでも国民は怒りの声を挙げません。ネトウヨは未だに特定アジア叩きばかりで、日本経済は完全スルー。
中国・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・300億円
モザンビーク・・・・・・・・・700億円
シリア・・・・・・・・・・・・3000億円+59億円
ラオス・・・・・・・・・・・・90億円
ASEANにODA・・・・・・2兆円
インド・・・・・・・・35000億円
インドへ円借款・・・・・・・・2000億円
ミャンマー・・・・・・・・・・600億円
ウクライナ・・・・・・・・・・1500億円
バングラデシュ・・・・・・・・6000億円
ミャンマーの債権免除・・・・・23000億円
ベトナム・・・・・・・・・・・8000億円+6000億円
アフリカ・・・・・・・・・・・3兆円
米国にアベノミクス許容費用・・105.2兆円
米国にリニア・・・・・・・・・5000億円+リニア技術(無料)
北朝鮮・・・・・・・・・・・・2兆円
パプアニューギニア・・・・・・200億円
ウクライナ・・・・・・・・・・1500億円
世界銀行・・・・・・・・・・・5000億円
中東支援・・・・・・・・・・・54億円
発展途上国・・・・・・・・・・17400億円
日本国内・・・・・・・・・・消費税率10%

 
金(カネ)抱えてバラマキ行脚をすれば、どこの国だって、そりゃー厚い「お・も・て・な・し」をして迎えてくれるだろうよ。
 

御嶽山の噴火の前兆はわからなかった。川内原発の火山噴火も予知は不可能だ。

 

かっちの言い分より転載2014/09/27

 
今日、御嶽山が噴火した。これだけセンサーで日常的に観察していたのに、多くの登山者は何も知らずに登山し、かなりの被害者が出ていると報道されている。この事実は、噴火の予知などは全く出来ないということを示している。
 
なぜ、こんなことを書いたのか。それは今、九州電力が川内原発を再開しようとし、原子力規制委員会が認めたからだ。川内原発は、桜島の噴火を危険要因として、もし川内原発に被害があった場合の対策、避難について指摘されている。
 
この指摘に対する九電の言い分は、桜島の巨大噴火は必ず予兆があるから、十分にその対策に時間が取れるということであった。その言い分を規制員会は認めたから、再稼働が許可されたのだ。
 
しかし、今回の御嶽山の噴火の状況は、そんな予測が如何に難しく不可能かということを物語っている。その爆発の規模も予測困難である。原発事故が起こってから、福島の大津波のように「想定外」だったから仕方なかったと言われても、どうしようもない。きっと、原発関係者はケロッとして同じことを言うだろうということは、容易に推測出来る。これに対して、地震学の専門家は以下のように述べている。予知は「数日前まで」と述べているが実際は、今回のようにわからないはずである。


「規制委の火山リスク認識には誤りがある」
http://toyokeizai.net/articles/-/44828

川内原発審査の問題藤井敏嗣・東京大学名誉教授
 

――川内原子力発電所に関する再稼働審査では、火山の噴火リスクが大きな注目点になりました。

原子力規制委員会は自ら策定した「原子力発電所の火山影響評価ガイド」(以下、火山ガイド)に基づいて、カルデラ噴火のような巨大噴火(破局的噴火)による「設計対応不可能な火山事象(=火砕流)」が原発の運用期間中に影響を及ぼす可能性を検証したうえで、「その可能性は十分に小さい」とする九州電力による評価は「妥当である」と審査書案で述べている。しかし、大多数の火山の研究者の意見は、「可能性が大きいとか小さいとかいう判断自体ができない」というものだ。


噴火予知ができるのはせいぜい数日

 

――九電や規制委の認識のどこに問題があるとお考えですか。

 
まず申し上げたいのは、現在の火山噴火予知のレベルでは、数十年に及ぶ原発の運用期間での噴火予知は不可能だということだ。そもそも、そうした長期間での噴火予知の手法自体が確立していない。噴火を予知できるのは、せいぜい数時間から数日というのが現状だ。2011年の霧島新燃岳の噴火のように、地震などの前兆がなかったため、予知すらできないうちに噴火が起きることもしばしばある。この83日に発生した口之永良部島の噴火でも、けが人もなかったものの、前兆がほとんどないままに噴火と同時に火砕流が発生した。
 

――川内原発の再稼働審査では、阿蘇や姶良、阿多など鹿児島地溝帯のカルデラ火山群を一まとめにしたうえで、「巨大噴火の平均発生間隔は約9万年。姶良カルデラで起きた最後の巨大噴火が約3万年前だから、しばらくは起こる可能性が小さい」とする九電の説明を、規制委は妥当だとしています。

 

いくつかのカルデラ火山をまとめて噴火の間隔を割り出すという考え方自体に合理性がない。一つの火山ですら、噴火の間隔はまちまちであり、周期性があるとは言いがたいからだ。たとえば、阿蘇カルデラで起きた最新の巨大噴火は約9万年前だが、その前の巨大噴火との間隔は2万年しかない。今回、一まとめの対象から外された鬼界カルデラの巨大噴火は、約7300年前に起きている。この100年の間でも、桜島は静かだった時期もあれば、毎日のように噴火を繰り返す時期もある。

 
このような危険な原発を安易に再開申請をする経営者は、原発事故が起こっても政府が良しなにしてくれて、自分の責任は一切問われないと高を括っているからだ。つまり、刑事罰も課せられないと思えば平気の平左である。今、東電経営者が検察審査会で審査を受けている。この際、委員会の審査員は、政府、官僚感覚ではなく市民感覚で結論を出してほしい。
 

金バラまきの恥さらし世界が失笑した安倍首相の国連演説

2014
927日 日刊ゲンダイ


 日本時間の26日未明、安倍首相が国連総会の一般討論演説を行ったが、棒読み英語のスピーチのその内容たるや、まさに噴飯モノだった。

「ジャパン ビカム ア パーマネントメンバー オブ セキュリティー カウンシル」
 
演説のメーンは安倍首相が前のめりになっている「常任理事国入り」へのアピールだ。安倍首相は日本出発時から、「国連を21世紀にふさわしい形に改革していくため日本がリーダーシップを発揮していきたい」と吠えていた。総会の壇上でも「日本は常任理事国となり、ふさわしい役割を担っていきたい」と訴えたが、加盟各国は失笑だったんじゃないか。日本がリーダーシップ? 米国追従の属国なのに、何をバカなこと言っているんだ。米国の票を1つ増やすだけ──。こう呆れていたことだろう。
 
常任理事国入りで大国ヅラしてエエカッコしたいのだろうが、安倍首相がそのためにやっていることは、カネにものをいわせた卑しい買収だ。
 演説では世界を揺るがす「イスラム国」について、「重要なのは、地域の人道危機へ迅速に対応し、過激主義の定着を阻止することだ」と主張。そのために5000万ドル(約54億5000万円)を緊急支援すると表明した。この演説の前には、潘基文国連事務総長やアフリカ各国の首脳の前で、エボラ出血熱対策として4000万ドル(約43億6000万円)相当の支援を行う方針も表明している。全加盟国の3割を占め、常任理事国入りのカギを握るとされる「アフリカ票」を睨んでのものだ。
 
パナマの大統領と会談した際には、安倍首相はパナマ運河事業に資金貢献を申し出ていた。誰と会ってもカネ、カネ、カネ。地球儀俯瞰外交でもやってきた、安倍首相お得意のバラマキばかりなのである。
「そもそも日本の常任理事国入りは20年前に頓挫した話です。いまや米国や国連そのものの影響力がなくなり、『有志連合』で何でもやる時代。今さら国連改革でもない」(元外交官の天木直人氏)
 

国連大使公邸に羽織袴で登場

 安倍首相は「女性の活躍」も演説で訴えた。「21世紀こそ女性に対する人権侵害のない世界にする。紛争下での性的暴力をなくすため、国際社会の先頭に立つ」「女性が輝く社会を創ることに世の中全体を変えるかぎがある」と言ったが、日本は女性の社会進出度(2013年)で世界136カ国中105位の国だ。女性政策で遅れた国が先頭に立ってとは、加盟国はさぞ耳を疑ったことだろう。
 
さらに驚いたのは「不戦の誓いこそは日本の国民が世々代々、受け継ぎ、育てていくものだ」と高らかにうたう一方で、解釈改憲で集団的自衛権の行使容認に踏み出すことには一切触れなかったことだ。隠したって、すでに外国メディアが報じているからバレバレなのに、ズルい男である。
 
「安倍首相の言っていることは支離滅裂です。哲学がまるでない。国際社会から見たら、わけがわからない国ですよ。今回の国連総会は『イスラム国』への対応が重要テーマ。ところがこれだけ深刻な時に、安倍首相は国連大使公邸で和食イベントを開き、そこに羽織はかまで登場した。在外勤務の時は私も和装になったことはありますが、一国のトップがやることではありません。『イスラム国』の問題では日本はカヤの外だから、安倍さんはよほどやることがなかったということですよ」
(天木直人氏)
 
安倍首相が帰国したらすぐ臨時国会だ。すでに4~5人の大臣のスキャンダルが噂されているし、足元の景気は低迷中。浮かれていると、いまに落とし穴にはまることになる。
 

若者が海外に逃げ出す? 日本経済はジンバブエの二の舞になるのか


週刊朝日  2014926日号より抜粋


「消費の落ち込みは想定内」。そんな声も通じないほどに、ジワジワとわかってきた消費税8%後の消費の不振。消費税10%時代は本当に到来するのか。10%に上げると家計へのさらなるダメージは避けられず、上げなければ財政再建が遠のく。政府の取る道はどちらなのか――

 
消費増税を見送ればいいのか。しかし、コトはそう単純ではない。こちらも茨の道だ。
 最大のデメリットは財政再建が遅れることだ。
「今のような社会保障制度を維持したいのであれば、消費税は2025%は必要でしょう。もし、今回見送りとなれば、今後の実施はこれまでよりも難しくなるでしょうね」(みずほ証券エコノミストの上野泰也氏)
 
高齢化社会で社会保障費が増え、国の借金が莫大になるなか、財源となる消費税の増税は、外国人投資家が日本に愛想を尽かさないための必須条件だ。
 外国人投資家が日本株や債券に投資しているのは、財政再建のために消費増税などが実施されることを信用しているからだ。増税を見送ると、外国人投資家が大量に株や債券を売り浴びせる可能性だってある。
 
もしかしたら、日本はジンバブエの二の舞いになるかもしれない。
 財政の赤字を補填するために通貨や国債を大量発行すると、「ハイパーインフレ」が起きる。00年代後半、ジンバブエは大統領選挙が混乱し、通貨のジンバブエドルを無節操に発行するなどしたために、物価が極端に上昇し、ハイパーインフレが起きた。紙幣は紙切れになり、経済は低迷した。
 日本も大量に国債を発行している。日本の借金(公的債務残高)の対GDP比は226.1%。ジンバブエの202.4%よりも多い。そのほか経済が低迷しているギリシャの175%、イタリアの133%に比べても断トツに多い。
 
日本の国債の大部分は国内金融機関と日銀が買っているから、すぐにはジンバブエ化しないかもしれないが、人口は減少傾向だ。
「今は多額の預金を原資にして金融機関が国債を買っていますが、将来的に人口減が進むと、預金も減り国債も買えなくなります。となると、外国人に買ってもらわないと買い手がいなくなる。今の金利は0.5%ほど。これぐらいの金利だと外国人投資家は買ってくれないだろう。となると、金利を上げなければいけません」(東短リサーチのチーフエコノミストの加藤出[いずる]氏)
 
日銀が国債を買う量を増やせばいいじゃないかという声もありそうだが……
「中央銀行が政府の財政赤字の穴埋めをすればするほど、日本に対する信用が失墜し、悪いインフレと悪い金利上昇は発生します。投資家もますます国債を買わなくなります」(同)
 
ちなみに、ジンバブエもギリシャもイタリアも、国債の買い手の多くは海外勢だった。さらに、もっと怖いのは人材のキャピタルフライト(資本逃避)だ。
「景気のために国債を発行して若い世代にツケを回すような政策を取っていると、それに嫌気がさした若者が海外に逃げ出す可能性だってあります」(同)
 となると、国債価格は暴落だ。
 

脱原発集会に集まった1万6千人の重みと小渕優子大臣の軽さ

2014924日 天木 直人 | 外交評論家


安倍改造内閣の山口俊一科学技術担当相が9月22日、国際原子力機関(IAEA)の年次総会で演説し、九州電力の川内原発の再稼働を進めると言ったらしい。

 
安倍首相が日本国民の前で、まだ原発再稼働決定の方針を明言できないというのに、なりたての科学技術相が世界に向けて原発再稼働宣言をしたということだ。ここまで日本国民は安倍政権になめられているのだ。安倍政権下での原発再稼働はここまで既成事実化しているのだ。
 
それに対し、この国の政治はまったく無力である。そんな中で、大江健三郎らの「さよなら原発1千万署名 市民の会」が主催する原発再稼働反対デモが9月23日に東京で開かれ、1万6千人が参加したという。この不退転の決意はどうか。この人たちこそ、いつの日か日本が脱原発国になった時に、それを実現させた最大の功労者となる人たちに違いない。
 
その一方で、安倍首相によって経済産業大臣に任命された小渕優子議員は、9月21日のNHK番組でこう語ったという。「資源を持たない日本はエネルギーのバランスが大事だ。原子力を持たない選択をするということはなかなか難しい判断だ」と。
 
官僚が書いた答弁をそのまま語っている。原発が停止し3年以上も経っても、何の支障もないというのにである。
 
9月23日の日刊ゲンダイが書いていた。
安倍改造内閣の看板大臣だったはずの小渕優子経産相の評価が日増しに下がっている。何を聞かれても自分の言葉が無い、と。そんな国会議員が原発再稼働を宣言する担当大臣になったのだ。小渕優子議員はそれを引き受けたのだ。政治家失格だ。
 
子供の被ばくに目をつむる母親失格だ。小渕優子は、いつの日かこの国が脱原発国になった時、とんでもない大臣だったと末永く語り継がれる政治家となるに違いない(了)
 

「さよなら原発集会」などをなかったことにする「偏向読売新聞」は、部数激減中

 

生き生き箕面通信より転載2014-09-24

 
 作家の大江健三郎氏らが呼びかけた「川内(せんだい)原発再稼働阻止」などを掲げる脱原発集会が昨日923日に開かれ、主催者発表で約16千人が参加した、と本日の朝日新聞朝刊が伝えています。
 
読売新聞はこの集会に関する記事は1行も掲載せず、意識的に完全無視しました。原発推進をシャロンとする読売」は、反原発の動きは知られたくないのです。安倍政権と一体となって抑え込みたいのです。
 
今回の集会会場は、昨年と同様代々木公園を予定していました。ところが、突如、「代々木公園でデング熱の蚊が見つかった」と、テレビ、新聞が大騒ぎになりました。
 
昨年も200人を超える患者が発生したにもかかわらず、まったく騒ぎにならなかったものです。今年に限って患者第1号から「大変だ、大変だ」と悪性伝染病が突発したかのような騒ぎが作られました。
 
代々木公園に人が集まらないようにしたい勢力がいたのでしょう。そこでは923日に「脱原発大集会」が開かれる予定でした。昨年は10数万人が集結したと伝えられ、今年は何としても阻止したかった。
 
当面の最大の課題は原発再稼働であり、具体的に九州電力の川内原発が原子力委員会から「基準に合格」のサインをやっと得たところです。再稼働第1号をスムーズに実現したい。そのためには昨年並みの「大動員」は失敗させなければならない。
 
そして、デング熱さまがご登場になられた。原子力ムラはさまざまな手をお持ちです。
 それにしても読売新聞の事実をなかったことにしてしまうような編集のやり方は、自分たちの陣営にとってもマイナスということが分からない三流新聞のやることです。
 
社会の動きを事実は事実として伝える方が、自分の陣営が判断するうえでもプラスになるはずです。しかし、偏った情報で洗脳することを優先させようとするから、おかないな紙面になる。
 
すでに読売新聞がサンケイに対するのと同じように偏向著しい三流新聞という認識が広まっているようです。
新聞業界が客観的に部数を管理し公表する機関として設けたABC調査によると、読売の販売部数は最新の数字で927万9千部(20146月)で、昨年11月の10007千部からは72万部も急減しました。
 
それほど遠くないうちに、900万部の大台も割り込むことになるのではないでしょうか。
 朝日新聞の従軍慰安婦問題や福島原発の吉田証言問題での「誤報事件」を契機に、読売はここぞと朝日の読者奪取に乗り出しています。しかし、死にもの狂いの朝日攻撃と読者獲得作戦にもかかわらず、読者はむしろ減り続けている。
 
新聞業界に起こっているのは、「新聞離れ」現象です。新聞業界全体の沈没現象です。 その沈没現象は、日本の情報空間の劣化という結果に直結しています。
 ここから立ち直るには、新聞が事実を事実として伝える「社会の公器」としての努力であり、できるだけ正しい判断ができるように良質の材料を提供する努力です。
 
読売は、ナベツネというドンが君臨し続ける限りムリです。ますます安倍政権の広報機関化するばかりでしょう。その意味では、読売の衰退は、やむを得ない。
 
たちは、メディアが提供する材料を自分の頭で判断するメディア・リテラシーのレベルアップが欠かせない時代に生きています。
 

誤報より悪質な意図的な情報操作

2014925日 天木 直人 | 外交評論家


きょう9月25日の毎日新聞が一面で大きく書いた。

日本政府が求めていたニューヨークでの日露外相会談が、ロシア側の拒否で見送られることになった、と。

プーチン大統領だけが頼りの「安倍片思い外交」の息の根が止められた瞬間だ。これえほどの外交失態はない。これまで散々喧伝してきた安倍・プーチンの個人的信頼関係は何だったのか。森元首相の親書外交は何だったのか。安倍首相はプーチン大統領と電話会談をしたばかりではなかったのか。

しかし、私がここで強調したいことはそのことではない。この毎日新聞の報道はスクープでも何でもないということだ。メディアなら誰もが気づく事実である。岸田・ラブロフ外相会談の重要性と期待感について、あれほど大きく報じてきたメディアだ。

だからその会談が行われないとなると、皆が気づくはずだ。毎日新聞以外のメディアが報じないだけだ。それを報じると安倍首相の足を引っ張ることになるからだ。それを報じると安倍首相に怒られるからだ。

同じような事は日中経済協会の訪中団をめぐる報道でも言える。
中国の副首相は訪中団と会って日中経済改善に意欲を示したという。
それは間違いではない。

しかし日中経済関係の改善・強化を望むのは当たり前の事だ。そして日中経済関係の改善・強化は、政治が介入しなくても民間企業の努力でなんとなる。今度の訪中団の最大の目的は習近平主席と会って安倍首相との首脳会談の道筋をつけることだった。しかし中国側は習近平主席はおろか李克強首相との会談に応じなかった。

そして訪中団との会談に応じた汪洋副首相は、領土問題(尖閣問題)と歴史認識問題で安倍首相に釘を刺した。これを要するに訪中団の成果は何もなかったということだ。この事を報じることなく、中国側が経済関係強化に前向きな姿勢を示したことをことさら強調して報じる。

これは誤報ではないが都合の悪い意事を報じず、都合の良い事だけを報じる一面的な報道だ。誤報はいつかはバレル。そして訂正させられる。しかし真実をそのまま伝えない事は誤報ではない。誰にも批判されずに人々を誤誘導することができる。誤報より悪質な意図的な情報操作だ。
安倍政権は、メディアによる国民の誤誘導によってのみ、ここまでなんとか持ちこたえてきたという動かぬ証拠である。

メディアが本当の事を伝えていたなら安倍政権はとっくに終わっていたに違いない(了)
 

室井佑月「菅さんちょっとやってみて」

 

週刊朝日 2014103日号


 作家の室井佑月氏が原発推進派の意見にこういう。

*  *  *
 911日の共同通信のニュースによると、

2011年の東日本大震災の直後、日本に派遣された国連チームが作成した報告書で、東京電力福島第1原発の事故を『コントロール(制御)できていない』と記述したことに対し、外務省側が『表現が強すぎるのではないか』と非公式に抗議していたことが10日、分かった」
 
こういうクレームってどうよ? 言い方を変えてもらったって、なんら事実が変わるわけじゃない。しかも姑息に非公式でのお願い。恥ずかしいったらない。
 そういえば、201112月の東京新聞に「原発用語言い換え危険な印象消す?」という記事が載っていて、以前あたしもこのコラムで取り上げた。もう一度、載せる。
 
「福島第一原発事故をめぐる政府や東京電力の記者会見では、しばしば珍妙な用語が飛び出す。『事故』と言えばいいのに『事象』が使われる。『老朽化』は『高経年化』、『汚染水』は『滞留水』に。『危険性を隠したがる原子力界の潜在意識の表れだ』」
 言葉の言い換えで印象操作をするのって、この国では常套手段。さすがに海外ではあかんのか。
 
「(放射能は)ただちに影響はありません」
 たしかそれを言ったのは、民主党の枝野元官房長官だったっけ。でもそれって言い換えれば、「影響は今後くるかもだけどさ」、そんなところ。いちいち変換して考えるのが面倒臭いわ。
 
ま、そんなことはどうでもいい。98日の時事通信のニュースでは、福島第一原発の港湾内に、今年5月までの10カ月間に出たストロンチウム90とセシウム137が計約2兆ベクレルに上るという。東京電力の資料などでわかった。
 
けれど、安倍さんも小渕さんも汚染水はコントロールされている、と言い張る。2兆ベクレルの放射性物質は絶対に港湾内にあると信じていいのだな? それにしても、事故後ではなく、直近の10カ月で2兆ベクレルも漏れているとは。以前はもっと漏れてなかった? 国も東電も国民に危険だと絶対に言わないけれど。
 
だとすれば、福島第一原発のレベル7の事故もじつは大したことなくて、放射性物質も危険ではないということなのか? 福島の子どもに甲状腺がんが尋常じゃなく増えているけど、「原発事故による被曝の影響とは考えにくい」と言い張るしな。
 
 じゃ、原発推進派の人たちはどうして堂々と、「海外では大変だと言われたりするみたいですけど、この国では、レベル7の事故も、放射能被曝も、まったく問題ないんです」って言わないんだろ。言ってみりゃいいのに。
 
きっと今海外で批判されている、高市早苗総務大臣や稲田朋美自民党政調会長の、ネオナチ団体の代表とのツーショット写真問題も、一瞬で吹っ飛ぶぞ。
 戦略として、菅さんちょっとやってみて。あなたならできそう。
 

↑このページのトップヘ