真実の報道神秘

権力の『おかしな政策』におかしいと報道しない日本で、一人でも『おかしい』と声を上げ、真実を追求して行きます。

2014年02月

「賃金上がっている」と強弁、逆ギレ安倍首相の無責任発言

 

2014225日 日刊ゲンダイ



 民間企業の中には苦しくても従業員の賃金を上げる企業がある。そうしなければ、輸入インフレによる物価上昇分や消費増税分が実質賃下げになり、従業員の士気が下がるからだ。


 それなのに、当事者というか、物価上昇と消費増税を押し付けている安倍首相の国会答弁はヒドイものだ。


 とんでもない論法で「賃金は上がっている」と豪語するのだ。24日の衆院予算委員会では民主党の山井和則議員が「現金給与総額(パートを含む労働者が受け取る基本給と残業代、ボーナスを合わせたもの)は下がっているじゃないか」「実質賃金は2013年下半期で過去4年最悪のマイナス1.3%に急減した」「これから増税、物価高になるのに、いつになったら賃金が上がるのか」と問いただした。


 すると、安倍は現金給与総額が下がっているのは「短時間のパートが増えたため、パート全体の年収が減った」「パートの時給は上がっている」「景気回復においてはこうなる」と答弁。実質賃金については「地方公務員の給与を下げた。それにもかかわらず、2013年の通年では正規の労働者の賃金は上がっている」と言い出し、揚げ句は「民主党政権時代は賃金が下がったじゃないか」「賃金上昇は労使交渉だ」「政府が紙に書いて、賃金が上がればこんな楽なことはない」とブチ切れたのだ。


 断っておくが、誰が好き好んでパートや派遣をやるものか。正社員になれない、生活が苦しい、だから、こうした労働条件を受け入れざるを得ないのであって、そういう人が増えたことが2013年の下半期に実質賃金が急落した原因なのである。


 それなのに、安倍は経済失策を認めないどころか、この期に及んで、「賃上げは政府が紙に書けるものではない」などと言う。そんなことは最初からわかっているわけで、「中小企業まで津々浦々、賃金を上げられなければ、アベノミクスは失敗」と豪語したのは誰か。安倍自身じゃないか、と言いたくなる。


「開き直り、はぐらかし。そういう答弁ばかりです。しかも、安倍政権は今後、派遣労働者を増やす改悪をしようとしている。物価高と増税が襲い掛かり、しかし、賃金は増えず、労働条件も悪くなるわけで、庶民の生活はますます苦しくなります」(民主党の柚木道義衆院議員)


 労働者の反乱が起こらないのが不思議である。

 

あっさり認可されたNHK受信料値上げと、国会・メディアの沈黙  
2014
0222日 天木直人のブログ


 わが目を疑う記事があった。 それは2月20日に報じられた一段の小さな記事だ。 すなわち総務省は2月19日、4月の消費税増税に伴うNHKの受信料値上げを認可すると発表したというのだ。

 
いくら消費税3%に見合う値上げだとしても、値上げは値上げだ。
 消費者の為を思って値上げしない業者はいくらでもある。 値上げしたら売り上げが減るから値上げしたくてもできない業者もいる。 政府の支援を受けた公共放送のNHKが、当然のように消費税分を値上げして、それを総務省があっさり認める。
 
ただでさえ親方日の丸の安易な値上げ転嫁であるというのに、いまのNHKは国民不信の嵐のただ中だ。 こんなNHKなら受信料は払いたくない、と思うのが一般国民の感覚だ。 唯一の救いは、この値上げ認可は、国会で審議中の2014年度のNHK予算と事業計画の承認が条件になるというところだ。
 
まだ国会の審議は終わっていないはずだ。 NHK会長らの暴言問題は一向に収まっていない。 国会議員は、与野党議員を問わず、値上げを承認してはいけない。 メディアは値上げを要求するNHKの厚顔さと、それをあっさり認可した総務省の安倍政権従属ぶりを書いて国民に知らせなければウソだ。
 
NHK暴言問題に関する国会とメディアの本気度が試されている(了)
 

ためらうな、奈落の底まで突っ走れ! 反知性主義・安倍政権の末路をみせろ


世相を斬る あいば達也より転載 20140221

 
国会の状況を眺めていると、政権側を追及する野党の姿勢もパワー不足だし、答える政府側も、時間つぶしの予算委員会で、答えになっていない答えを語り、ついでに我田引水な方向に話を持っていく始末。筆者が知る限りにおいて、まったく反対意見に配慮しない政権を見たのは初めてだ。嘘でも、間違いでも、堂々と力強く言い放てば、テレビの絵面は好印象を与える効果に頼り切った安倍晋三の政権運営である。しかし、国民の7割前後は、首相は自信をもってことに当たっていると云う印象を持つ。
 

14金曜日からの東京周辺を襲った大雪が、各地域に孤立集落を生み、幹線道路では何百台かの車が身動き取れず、数日を送る羽目になり、水・食糧・燃料等の枯渇が生命にかかわる一歩手前であった。そんな時に、支持者を集めて高級天ぷら屋で歓談をしていたわけだから、叩かれるのは当然だろう。理屈上、担当大臣に「遺漏なきよう命じていた」と言い逃れているようだが、陣頭指揮をとっている姿を見せるのは、安倍晋三の十八番であった筈だ。折角、露出度向上の機会を見逃すとは、官邸のミスである()。「私が最高責任者だ」と云う言行が一致していない。自衛官と一緒に迷彩服を着こみ、雪中行軍の勇姿を見せるべきであった。

 

衆院予算委で、憲法改正ではなく解釈変更により集団的自衛権の行使を容認できるかとの質問に、内閣法制局の答弁を押しとどめ、自ら立ち上がり「最高の責任者は私だ。政府答弁に私が責任を持って、その上で私たちは選挙で国民の審判を受ける。審判を受けるのは内閣法制局長官ではない。私だ」と、完全にお山の大将状態になっている。夜になれば、マスメディア幹部を呼び出し、夕飯その他を振る舞い、変なことを書くなよと、報道機関を統制下に置くことに躍起になっている。こうするのが、マスメディアが望んだ「決められる政治」だとすると、トンデモナイ売国を助長したのは、報道機関と云うことになる。

 

直近の馬鹿げた話は、首相補佐官を務める衛藤晟一が安倍の靖国参拝に対し「失望した」のコメントを引用、こちらこそ、同盟国アメリカに失望したと動画まで添えて、念入りに主張した。集団的自衛権、TPP、原発推進、辺野古移設決定等々、日米同盟の深化の為に、これほど必死で汗を掻いているのに、何という冷たい仕打ちだ、と言いたいのだろう。まさに、官邸内で安倍晋三、菅官房長官らが、常日頃嘆き、訝っている空気をストレートに表現したわけだが、腹の内を晒すのは未だ早い。4月にオバマが訪日すると云うのに、タイミングが悪すぎる。慌てふためいた菅官房長官が、個人的見解程度でお茶を濁すのは無理。全面的に撤回し、動画等々も削除せよ、といきり立った。

 
この辺、今さら糊塗しようとしても無理だろう。オバマ政権が、安倍自民党政権と大きく距離を置いているのは事実である。当然、そこには安倍晋三と云う政治家への重大なる懸念があるからだ。ただ、アメリカの経済状況は、好調を装っているが、実態は相当病んだままだ。防衛にせよ、経済にせよ、日本に貢献してもらうしか選択の余地が残っていない。下品で厭らしい客であっても、ホステスとしては、作り笑いをしてお酌をしなければならない、とオバマ政権は決めている。オバマは、あんな反知性的政治家に出会ったことがないと、驚嘆しているに違いない()
 

NHK人事では、「東京裁判は(米軍の)大虐殺をごまかすための裁判だった」と云う3流作家・百田尚樹や「女は子を産み育てるのが務め」なんちゃっての長谷川某とか云う学者らしき女史を経営委員に送り込み、とどのつまりが会長人事の籾井の出現だ。安倍本人は、何をやってもスンナリ通過、俺って天才?俺の権力って凄いんだ。やりたかったこと、この際全部やっちゃおうと云う気分になっても不思議ではない。世界中から顰蹙を買っていることも知らず、右巻きお友達で周りを固め、権力に弱い奴らを掻き集めて夕飯を食う。正直、完璧に井の中の蛙状態であり、井戸の温度が徐々に茹でるべき温度になっている事に気づかないのだろう。

 

ここまで、民主政治が劣化してしまった以上、どこから手をつけて収拾するのかといった生易しさで補正の効くものではないだろう。官邸にいる教養、感情、徳を劣化させている己を見つめられず、その正体に親密性を感じている支持者の強烈な大声に支えられ、内輪で「俺たちは間違ってない。間違っているのは、一部のはみ出し者だ。そして、日本の繁栄を快く思わない国々の奴らの遠吠えだ」と唯我独尊状態なのだろう。もう打つ手はない。行くべき処に至り、国家もろとも一旦地獄を見るのが早道だろう。そうであれば、安倍政権には、政治の邪道の限りを尽くし、如何に感情に走り、時には政治に無関心でいることの恐怖を味あわせる方が、国益にかなうと云うものだ。

 

このような状況を、宮台真司は「教養の劣化、感情の劣化、徳の劣化」と表現していたが、19日の朝日新聞では、 「反知性主義」への警鐘 相次ぐ政治的問題発言で議論 と云う見出しで語られている。この記事を書くきっかけは「週刊現代」特集記事を引用するかたち、と云うから朝日のオリジナルではない。まぁそれでも、朝日が取り上げたことで「反知性主義」と云う概念に対する認知には、若干貢献しているだろう。朝日のサイトに同記事の抜粋があったので掲載しておく。


 「反知性主義」への警鐘 相次ぐ政治的問題発言で議論 

「反知性主義」という言葉を使った評論が論壇で目につく。「非」知性でも「無」知でもなく「反」知性――。政治的な問題発言が続出する現状を分析・批判しようとする意図が見える。


自分に都合のよい物語 他者に強要 
 「嫌中」「憎韓」「反日」――首相の靖国神社参拝や慰安婦問題をめぐり日・中・韓でナショナリスティックな感情が噴き上がる現状を、週刊現代は問題視して特集した(1月25日&2月1日合併号)。 元外務省主任分析官で作家の佐藤優氏は対談で、領土問題や歴史問題をめぐる国内政治家の近年の言動に警鐘を鳴らした。その中で使った分析用語の一つが「反知性主義」だ。この言葉を昨年来、著書などで積極的に使っている。

 
どう定義しているのか。

 「実証性や客観性を軽んじ、自分が理解したいように世界を理解する態度」だと佐藤氏は述べる。新しい知見や他者との関係性を直視しながら自身と世界を見直していく作業を拒み、「自分に都合のよい物語」の中に閉じこもる姿勢だ。とりわけ問題になるのは、その物語を使う者がときに「他者へ何らかの行動を強要する」からだという。

 
反知性主義という概念を使おうと考えたきっかけは、昨年の麻生太郎副総理の「ナチスの手口に学んだら」発言だった。「ナチスを肯定するのかという深刻な疑念が世界から寄せられたが、麻生氏も政権も謝罪や丁寧な説明は必要ないと考えた。非常に危険だと思った」異なる意見を持つ他者との公共的対話を軽視し、独りよがりな「決断」を重視する姿勢がそこにあると氏は見た。「反知性主義の典型です」。

週刊現代の対談では、靖国や慰安婦に関する海外からの批判の深刻さを安倍政権が認識できていない、とも指摘した。
 自分が理解したいように世界を理解する「反知性主義のプリズム」が働いているせいで、「不適切な発言をした」という自覚ができず、聞く側の受け止め方に問題があるとしか認識できない。そう分析する。


「知的」へ憤りと疑惑 背景にポピュリズム
 フランス現代思想研究者の内田樹氏も昨年12月、反知性主義が「日本社会を覆い尽くしている」とツイッターに書いた。参考図書を読もうとしない学生たちに、君たちは反知性主義的であることを自己決定したのではなく、「社会全体によって仕向けられている」のだと挑発的に述べた。

 

同じ月、米国の歴史学者ホーフスタッターの著書『アメリカの反知性主義』の書評をネットの「書評空間」に寄稿したのが、社会学者の竹内洋氏(関西大学東京センター長)だった。ホーフスタッターが同書を発表したのは半世紀前。邦訳されたのも10年前だ。なぜいま光を当てたのか。「反知性主義的な空気が台頭していると伝えたかった」と竹内氏は語る。 反知性主義の特徴は「知的な生き方およびそれを代表するとされる人びとにたいする憤りと疑惑」であると同書は規定する。米国社会を揺るがした1950年代のマッカーシズム(赤狩り)に直面したことで、ホーフスタッターは反知性主義の分析に取り組んだ。

 

竹内氏がこの概念に注目したきっかけは、いわゆる橋下現象だった。「橋下市長は学者たちを『本を読んでいるだけの、現場を知らない役立たず』と口汚くののしった。ヘイトスピーチだったと思うが、有権者にはアピールした」なぜ、反知性主義が強く現れてきたのか。「大衆社会化が進み、ポピュリズムが広がってきたためだろう。ポピュリズムの政治とは、大衆の『感情』をあおるものだからだ」  

   
 同じ「反知性主義」に警鐘を鳴らしても、佐藤・内田・竹内氏の主張は力点が違う。だが佐藤氏は、3人には共有されている価値があると語る。「自由です」反知性主義に対抗する連帯の最後の足場になる価値だろうとも言う。「誰かが自分に都合の良い物語を抱くこと自体は認めるが、それを他者に強要しようとする行為には反対する。つまり、リベラリズムです」(塩倉裕) (朝日新聞デジタル)


 しかし、このような記事を読む人々は僅かであり、数行目を通し、「俺の考えとは違う。多分、こいつらはアカに違いない」そういう、それこそ反知性的態度に終始するだけである。昔から、馬鹿につける薬はないと言われていたが、大宅の総白痴ならまだしも、総ゴロツキ化に向かってまっしぐらなのだ。まして、これら総ゴロツキの基礎票に支えられた政権が、あらゆる暴力装置を携えて、国会を占拠しているのだから、何をかいわんやである。NHKが力を込め、マスメディアが煽りに煽った高梨沙羅、カーリング女子、浅田真央の不調は報道の圧力、ある意味で「ポピュリズム報道」の犠牲者と言えるのだろう。

 

首相補佐官が米国批判の波紋オバマ大統領「来日中止」危機

2014220日 日刊ゲンダイ


 親分が親分なら子分も子分だ。昨年12月の安倍首相の靖国参拝に「失望」を表明した米国に対し、衛藤晟一首相補佐官が動画サイト「ユーチューブ」上で「むしろわれわれの方が失望だ」と批判した問題。19日午後になって衛藤は慌てて発言を撤回したものの、米国はカンカンだろう。オバマ大統領の4月来日の雲行きも怪しくなってきた。


 問題の発言が投稿されたのは16日。この中で衛藤は「米国は同盟関係にある日本をなぜ大事にしないのか。米国はちゃんと中国にモノが言えないようになりつつある。声明は中国に対する言い訳に過ぎない」と持論を展開。さらに昨年11月に訪米した際、ラッセル米国務次官補らに靖国参拝への理解を求めた上、12月初めには在日米大使館を訪れて「(参拝に)賛意を表明してほしいが、ムリなら反対しないでほしい」と要請したという。


 これにはア然ボー然だ。A級戦犯が合祀されている靖国参拝に「賛成しろ」と米国に求めること自体、トチ狂っているし、首相補佐官という内閣の要職にある政治家が、外交のやりとりや内幕をバクロするなんて、あってはならないこと。金輪際、衛藤と大事な話をする国はないだろう。


 元外務省国際情報局長の孫崎享氏はこう言う。
「首相補佐官は内閣の一員であり、評論家などとは違います。発言が『個人的な見解』で済まされる立場ではないのです。しかも、衛藤氏は日本側の窓口として米国と意思疎通を図ってきた人物。つまり、米国は衛藤氏を安倍首相の代理とみていたわけです。その衛藤氏が大っぴらに米国批判したわけで、非常に深刻な問題です」


 衛藤は、安倍が会長を務める超党派議連「創生日本」の幹事長だ。安倍の側近で「お友達」のひとり。この議連は「保守の結集」や「戦後レジームからの脱却」を掲げる右翼集団である。17日付のワシントン・ポストは「日本の挑発的な動き」と題した論説で、靖国参拝した安倍首相が強硬なナショナリズムに転じているとして、アジアの安全保障問題を深刻化させていると批判していた。


 また、米紙ウォールストリート・ジャーナルは19日付の電子版で、安倍の経済ブレーンの本田悦朗内閣官房参与をインタビューした記事を掲載。本田が靖国参拝した安倍を「勇気を高く評価する」と称賛したとして、本田を「戦時中の話を熱く語るナショナリスト」と紹介している。


 衛藤、本田の発言は、米国から見れば日本だけが正しいと叫ぶ「右翼内閣」の一員が本性をムキ出しにしたと映るのは確実だ。


 衛藤は当初、「(発言が)問題になることがおかしい」と突っ張っていたが、午後になると一転、発言を撤回した。菅官房長官に発言取り消しを指示されたためだが、時すでに遅しだ。岸田外相が拝み倒してようやく実現したオバマ大統領のなんちゃって来日もパーになる恐れは十分ある。


「オバマ大統領の来日取りやめという事態になれば、安倍首相は終わりです。同盟国と話ができない首相は退陣するしかありません。衛藤氏の発言の影響は大きいのです」(孫崎享氏=前出)


 衛藤を更迭したぐらいでは、問題は解決しそうにない。

 

官々愕々 成長戦略としての「原発即ゼロ」
『週刊現代』201431日号より 
東京都知事選挙で、自民・公明両党が支持する舛添要一氏が圧勝した。その最大の勝因は安倍人気だ。安倍政権への支持率は50%を超える。舛添氏はこの地合いをそのまま生かし、手堅く自公両党の支持層と無党派層のうちの安倍人気も取り込んで順当勝ちした。舛添人気で勝ったわけではない。 
共産党・社民党の支持を得た宇都宮健児候補が2位と健闘したのは、組織票に加えて福祉政策でのばら撒きに期待する無党派層をうまく取り込んだということだろう。一方、原発ゼロを掲げて戦った細川護煕候補は、小泉純一郎元総理の応援を得て街頭演説では大群衆を集めたが、結果は宇都宮候補にも及ばなかった。 
一般には、脱原発ワンイシューで戦ったのが失敗だったという分析がなされているが、これは正確な見方ではない。ワンイシュー選挙だというのは、実は、事実ではなかった。自民党とそれに支配される多くのマスコミのキャンペーンによって作られた誤ったイメージである。 
原発ゼロを主張する細川氏は、景気、雇用、福祉、防災には関心がない候補だ、というレッテルを貼られた。しかし、それは明らかに嘘である。細川氏の公約には、福祉も防災も五輪も掲げられていた。 
細川・小泉連合が掲げる原発即ゼロは、単に、「原発が危ないから」、「核のゴミが処理できないから」原発を止めるという単純な考え方ではない。彼らの思想は、それをはるかに超えるものである。 
都知事選挙が終わると同時に、日本の貿易赤字が3年連続、しかも過去最大になったと報じられた。貿易赤字自体はそれほど驚く話ではないが、実はこのニュースも原発ゼロ戦略と密接な関係にある。 
自動車以外に伸びる産業がない。だから、円安になっても輸出が増えず、貿易赤字が拡大する。成長の柱となるはずのエネルギー分野で、原発依存に戻ろうとする安倍政権。そこには何の展望もない。 
それに対して、「原発ゼロで成長を」と訴えた元総理連合は、原発を止めて、いま世界中の企業が目指す「原発から自然エネルギーへの転換競争」で日本が主導権を握り、国際競争力のある産業を育てようと主張した。自然エネ分野での投資を誘発し、雇用と所得を生み、それが、福祉の財源となっていくという「成長と雇用と福祉の持続的な好循環モデル」だ。 
さらにそれは、地方での自然エネの展開が過疎地を含む地方の発展につながる理想的な成長モデルとなる。原発ゼロは、成長戦略・雇用戦略であり、福祉政策・地域政策でもある。そのことが都民には十分に伝わらなかった。 
原発ゼロをワンイシュー選挙だと決め付けた自民党とマスコミの宣伝に負けたということになる。その自民党の選挙戦略のお先棒を担いだのが民主党だ。彼らは、原発だけではダメだ、福祉も雇用も訴えなければということを自らマスコミに話し、自民党の宣伝を結果的に補強することになった。 
細川・小泉連合が訴えた「原発ゼロで新たな夢のある成長を」という哲学は、これまで、「苦しいけれど原発をなくすのかどうか」という原発の是非だけを問い続けた脱原発とは全く次元が違う。新たな成長の仕方、新たな生き方を日本の国民に問いかけたのだ。複数の出口調査で、原発即ゼロを支持する層が、一気に投票者の4分の1にまでなった。保守本流の二人が即ゼロを唱えたことで、これまで夢物語と見られていた即ゼロが具体的な選択肢に格上げされたことを示している。 
「原発即ゼロの成長戦略」の戦いはこれからだ。
 

「内閣参与」とか何とかいう肩書きの本田悦朗(静岡県立大学教授)が、米紙のインタビューに答えて、何か面白い発言をしたらしい

 

2014-02-21文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ 『毒蛇山荘日記』より転載


「内閣参与」とか何とかいう肩書きの本田悦朗(静岡県立大学教授)が、米紙のインタビューに答えて、何か面白い発言をしたらしい。またまた例によって例のごとく、「特攻隊」や「靖国参拝」を持ち出して、紋切り型の持論を展開したようだ。それにしても、この本田という男は、学者(教授)とは名ばかりで、著書が一冊もない大蔵官僚上がりのトンデモ学者のようだ。要するに、官僚の天下り先が、静岡県立大学だったという話。


本田は、朝日新聞によると、こんなことを発言したらしい。


米紙ウォールストリート・ジャーナルは19日付の電子版で、安倍晋三首相の経済ブレーン・本田悦朗内閣官房参与のインタビューを掲載した。同紙によると本田氏は、太平洋戦争末期に米艦に体当たりした神風特攻隊について「日本の平和と繁栄は彼らの犠牲の上にある。だから安倍首相は靖国へ行かなければならなかったのだ」と語ったという。


 同紙は本田氏が「第2次大戦中の神風特攻隊の『自己犠牲』について語りながら、涙ぐんだ」と説明。本田氏は「日本の首相が靖国参拝を避けている限り、国際社会での日本の立場は非常に弱い」として、「われわれは重荷を背負った日本を見たくはない。自立した国としての日本を見たい」と語ったという。


 また、同紙は「本田氏はアベノミクスの背後にナショナリスト的な目標があることを隠そうとしない。日本が力強い経済を必要としているのは、賃金上昇と生活向上のほかに、より強力な軍隊を持って中国に対峙(たいじ)できるようにするためだと語った」とも伝えた。(朝日新聞)


本人は得意気に話したのだろうが、一連の失言問題と並べられて、話題になると、そんなことは言っていない、と泣き言を始めたらしい。


本田悦朗内閣官房参与は20日、自身の発言を報じた米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に対し、「あまりにもバランスを欠いた記事だ」と電話で抗議した。菅義偉官房長官が同日午後の記者会見で明らかにした。菅長官は、WSJを発行するダウ・ジョーンズ社から、内容を修正する用意があるとの回答があったとも説明した。


 WSJは19日付の電子版で、本田氏が経済政策「アベノミクス」の目的について「より強力な軍隊を持って中国に対峙(たいじ)できるようにするためだ」と述べたなどと報じた。


 本田氏は20日、記者団に「そういうことは言っていない」と語った。一方、ダウ・ジョーンズ社は同日夜、日本での広報業務を代行するプラップジャパン社を通じてコメントを発表。「記事の内容は正確だと確信している」と主張した上で、「修正をする用意があると申し出た事実もない」と菅長官の発言を否定した。 
(
時事通信)


では、本田は何て発言したのか 。「違う」というなら、真意を述べてみよ。「抗議」などと言っても国内向けのポーズだけであって、発言の中身は、たいして違いはあるまい。ほとぼりが冷めるの待つ・・・というのが真相だろう。批判されて、すっかりしおらしくなった百田尚樹や衛藤晟一らと同じだ。


第二次安倍政権の誕生とともに、尖閣諸島の領有権を巡る「日中対立」を利用して、中国の軍事攻勢をはねのけ、日本の存在感を示してくれるのかと期待していたが、予想通り、安倍政権は、政権内部から「自己破壊衝動」にかられているらしく、自滅的な「失言問題」は、後を絶たない。


僕が『保守論壇亡国論』で指摘した通り、思想的に堕落した「保守論壇」の幼稚=稚拙な言論を、鵜呑みにしているからである。「特攻隊」「靖国参拝」「南京事件はなかった」「朝鮮人慰安婦の強制連行はなかった」・・・。そんなものは、国内でしか通用しない自己欺瞞的な自慢話にすぎないのだが、それが、正論だと思っているらしいのだ。まったく救いようがない。そういうネット右翼以下の連中が、安倍内閣の内閣参与だとか首相補佐官だというのだから、世も末である。

 

東京都知事選で脱原発を争点にした細川護熙、小泉純一郎の元首相コンビに圧勝し、高笑いが止まらない安倍晋三首相(59)。
 
過去最大のジャブジャブ予算を審議中の今国会でも無敵だ。そんな中、税金で東電の莫大な借金を肩代わりし、原発を再稼働させ、焼け太らせて資金回収を狙うという驚くべき救済計画がひそかに動きだしていた。 
集団的自衛権の行使を認める憲法解釈の変更を巡り、国会で「最高責任者は私だ」と放言した安倍首相。これらの問題に隠れ、あまり報じられていないが、今国会における安倍自民党の鬼門は、福島第一原発の事故処理費用の多くを国家予算で肩代わりする東京電力の「救済計画」にある。 
まず、2014年度の予算案で、東電が賠償金や除染費用を滞りなく支払えるよう東電に無利子で渡している公的資金の上限枠を、現在の5兆円から9兆円にまで引き上げる。金利は国で全負担するため、新たにその資金として225億円も積み増す。
 こうした手厚い処置は、東電が原発事故被災者らに支払う賠償金が5兆円を超えることが確実となり、除染などに資金が回らなくなってきたため、国が関与を強めたのだ。 
そして国は東電に代わり、除染で取り除かれた汚染土などを長期間保管する「中間貯蔵施設」の土地を買うために1012億円も計上した。施設の完成には合計1.1兆円がかかるとされるが、国民の電気料金に上乗せされている「電源開発促進税」で30年かけて国が肩代わりするという。その上、除染作業や放射性廃棄物の処理にも3912億円を投入するという大盤振る舞いだ。 
「14年度予算案で東電への支援が、除染だけではなく中間貯蔵施設などへも一気に広がりました。税金の投入がこの先、際限なく膨らむ危険性もあるが、これら予算は官邸、経済産業省の主導なので、財務省は意見を言いにくい」(財務省幹部)
 政府の建前は、これらの巨費は本来、東電が支払うべきもので、一時的に肩代わりしているにすぎないというものだ。だが、事情を知る財務官僚は、東電への不信感を隠さない。 
「東電は被災者への賠償金は払うが、本音では除染と中間貯蔵施設の費用は政府に出してもらい、大半を踏み倒したいと考えているようだ」これまで政府が東電に請求した肩代わり費用は約404億円。そのうち返却されたのは197億円にすぎない。しかも、未払い金をいつ支払うのか、東電は明らかにしていないのだ。 
「事業が終わった後に政府から東電に請求書を送っているが、理由をつけては支払いを拒んでいるようです」(前出の財務官僚) 
除染や中間貯蔵施設などの巨費の大半を東電が踏み倒せば、結局は我々の血税で穴埋めされることになる。東電救済に流用されている資金はこれだけではない。いずれも東電の原発事故被災者を支援する内容だが、これらの費用も東電に代わって国が予算を付けて支払う。 
復興庁の担当者は言う。「除染に関係して東電に請求できるものは、汚染土を取り除いて集め、仮置き場に持って行く作業に限られることになりました。それ以外は『除染』に該当しないのです」 例えば〈帰還困難区域の入域管理・被ばく管理等〉は、帰還困難区域の境界に人員を配置して、バリケードの開閉などをする。原発事故がなければ存在しなかった仕事だが、これも東電が費用の負担をすることはないのだ。 
〈長期避難者生活拠点形成交付金〉は、原発事故被災者が避難先でもこれまでと同じような生活ができるよう、道路や学校などを整備する事業だ。東電が費用負担すべきものに思える。 だが、財務省担当者は、「避難者の生活に関する事業は『福島再生加速化交付金』から支出されるので、東電に請求はしない」と話す。福島再生加速化交付金は昨年12月に新設された制度で、14年度予算案で1088億円が計上された。 
交付金の使途は、個人線量計の配布や生活用水の確保、子どもたちが安心して活動できる室内運動施設の整備などだ。これらの財源は我々が13年1月から支払っている復興特別所得税などで賄っている復興特別会計だ。前述した除染や中間貯蔵施設の費用も合わせると、14年度の復興特会の原子力災害関連予算案は6523億円にのぼる。 
無論、これらは福島の復興に必要なものばかりだ。だが、結果的に東電支援に“流用”されることになり、同社の責任があいまいになってしまっているのだ。なぜ、このようなことが起こるのか。インサイダー編集長の高野孟(はじめ)氏は、その理由を説明する。「そもそも日本の原子力発電事業は、政府と電力会社の責任と役割分担があいまいで、“国策民営”と言われてきました。だから、事故が起こるとお互いに責任をなすりつける。基本的に無責任体制なのです」 
無責任体制を象徴するかのように、政府は肩代わりした巨費を、原発の再稼働によって黒字化させ、焼け太らせた東電に返済させようという「スキーム」を進めている。政府は、東電には直接資金提供をせず、原子力損害賠償支援機構(原賠機構)を通じて資金の提供や出資をしている。前出の財務省幹部は、そのカラクリをこう説明する。 
「安倍政権は、新しい『エネルギー基本計画』をまとめようとしています。そこでは、原発を重要なベース電源と位置づけ、原発の再稼働を前提にしています。再稼働によって東電を黒字にし、原賠機構が保有する東電株の値を上げ、その売却益で投入された税金を取り戻すというスキームです。経産省が描いたシナリオですが、そう簡単にいきますかね」 
原賠機構が約1兆円を使って保有した東電の株式は19億4千万株(昨年9月30日現在)。これは、東電の全株式の約55%にのぼる。現在の株価は450円程度だが、再稼働により、震災前の株価2千円程度まで上昇すると、単純計算で約3兆9千億円になる。それを売却して、事故対応の費用弁済にあてるつもりだ。だが、今後、どんな事故に見舞われるか予測できず、「絵に描いた餅」になりかねない。 
そんなことはお構いなしに東電救済に前のめりな安倍政権は、事故を起こした原子力発電所の廃炉作業にも税金を投入できるよう準備を進めている。政府案では、現在の原賠機構を5~6月に「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」という名称に改める。 そして4月から東電で社内分社化される「廃炉カンパニー」と協力し、関与を深めるよう、今国会中に原賠機構の改組に必要な法案を提出するつもりだ。 
元経産省官僚の古賀茂明氏は言う。
「今回の最大の問題は、廃炉、中間貯蔵施設、汚染水処理などにこれから、何十兆円の税金を注ぎ込むだけでなく、そこに巨大な利権構造をつくり、それを経産省が握る。その土台ができることです。東電の借金を国が肩代わりし、つぶさないというスキームは公共事業と同じような構図です。東電、経産省が事故の責任を取らないどころか、これまで以上に焼け太る図式なのです」「復興」の名の下に、なし崩しで私たちの税金が東電に流れ込む。政府は原発再稼働による資金回収を目論むが、その一寸先は闇だ。
 

舛添新知事は堂々と「原発再稼働」を掲げるべきだった

 

高野孟2014-02-17

 
 
 

その場をつくろうために口にしてしまった言葉が、後になって重荷となってのしかかってくるというのは、よくあることだが、舛添要一新都知事の「一日も早く原発に依存しない社会をつくる。再生可能エネの比率を2割にする」という選挙公約はまさにそれだ。

もともと原発推進論者で、高速増殖炉を「夢の科学技術」と礼賛したり、10年前に新潟県巻町で町民投票と町長リコールで原発計画を撤回させた時には、雑誌に「巻原発『住民投票』は駄々っ子の甘えである」という文章を書き、それどころか電力会社の手先となって現地に乗り込んで原発推進派の町長候補の応援演説までしたのが舛添である。

 

その彼が「私も脱原発を言い続けている」と言い放つ鉄面皮ぶりに、私は腰を抜かすほど驚いたものだが、それは要するに、細川・宇都宮両陣営の脱原発主張をはぐらかして、「原発はないほうがいいけど、すぐになくなって停電が起きるのは困るな」くらいにしか物事を考えていない平均的な都民の票を集めるための「目くらまし」戦術にほかならなかった。

「それはそれで成功したのですが…」と与党の再稼働慎重派の若手議員が語る。「だからといって、これで原発は容認された、さあ再稼働だ、というわけにはいくら何でも行かないでしょう。都知事選後まで閣議決定を先送りしてきた新『エネルギー基本計画』の、特に『原発を重要なベース電源とする』という文言については、自民党内でも、公明党との間でも、一度も議論していない。これで再稼働を強行したら、舛添は嘘をついた、舛添にそう言わせた自民党は国民を欺した、ということになってしまう」と心配する。

そういう与党の空気を感じたのだろう、菅義偉官房長官は10日の会見で「与党側からは、しっかりと議論してほしいという要請もいただいているので、政府・与党でしっかり調整して結論を出す。期限を区切って行うことではない」「安倍政権としては、再生可能エネの最大化を進めながら、原発依存度をできるだけ引き下げていくという基本方針のもと(同計画を)作って行きたい」と、安倍晋三首相の「何が何でも再稼働」という前のめり路線とはだいぶニュアンスの違った言い方をした。

本当は舛添に再稼働、原発はベース電源と言わせて真正面から勝負させればよかったのだ。それをしないで目くらましをかけておいて、勝ってしまえばこっちのものというのでは都民は納得しないだろう。

(日刊ゲンダイ2月12日付から転載)

《補足》

以上が日刊ゲンダイのコラムの再録だが、若干補足する。中部電力が14日に浜岡原発4号機の再稼働に向け審査申請を出した。これを含めて電力8社の再稼働申請は10原発17基に上っているが、それを報じるマスコミの視点が狂っている。例えば岐阜新聞15日付の見出しは「中電、地震対策に自信/浜岡4号機審査申請/厳しい経営、背景に/都知事選結果も追い風」だ。

 

記事中には「都知事選で与党が支援した舛添要一氏が圧勝し、電力業界は再稼働に向け活気づく。『最悪の事態は免れた』。業界幹部は手放しで喜ぶ」「舛添氏の圧勝が『暗雲』を吹き飛ばした。選挙結果に意を強しくした政府は、原発活用の大方針を据え置いた基本計画を月内にも閣議決定する構えだ」とある。

第1に、舛添は、繰り返すが、「一日も早く原発に依存しない社会をつくる。再生可能エネの比率を2割にする」という公約を掲げて戦ったのであって、「一日も早く再稼働を進めたい」とは一度たりとも言っていない。

第2に、しかもその公約を前面に出すことを意図的に避け、細川・宇都宮両陣営との間でそれが最大争点にならないように心掛けた。また政府・自民党も、どこまで裏から手を回したのかは分からないが、マスコミが原発を議論しないように、とりわけ人気抜群の小泉純一郎元首相の主張を出来るだけ露出させないように計らった。

第3に、その結果、景気や福祉を重視する都民ばかりでなく、原発はない方がいいとは思っているけれども細川・小泉のように「即ゼロ」というのはちょっと極端かもしれないと思っているような都民も引きつけることに成功した。

これでどうして政府や電力業界が「手放しで喜」んで「再稼働に向け活気づく」ことが出来るのか。都民は決して「再稼働OK」という意思を示したわけではないのに政府・業界が調子に乗るのはおかしいと批判するのが、マスコミの役目ではないのか。これではマスコミも舛添の目くらまし戦術の共犯者に成り下がってしまう。

 

PC遠隔操作事件で異例な展開 不明確な映像は証拠の脆弱性を露呈?

週刊朝日 2014228日号


 他人のパソコンをウイルスに感染させて遠隔操作した事件で、威力業務妨害やハイジャック防止法違反などの罪に問われた片山祐輔被告(31)の初公判が212日、東京地裁で開かれた。
「徹頭徹尾、事実無根」と片山被告は無罪を主張。「4人が誤認逮捕されたこの事件、自分は5人目の誤認逮捕だ」と全面的に争う姿勢を見せ、検察の冒頭陳述を受けて自ら約60分間も反論した。

 
報道機関などに「犯行声明メール」が送り付けられ、世の中を騒がせたこの事件。とりわけ大きな反響を呼んだのが、真犯人を名乗る人物から昨年15日、報道機関に届いたメール。江の島の野良ネコに、犯人につながるヒントを取り付けたという内容で、実際に江の島で「グレイ」と呼ばれるネコのピンクの首輪から、メモリーカードが見つかった。
 グレイに首輪を取り付けた人物こそが犯人。それが片山被告なのかが、裁判の大きな争点である。
 
検察は、冒頭陳述で江の島の広場で13日午後3 時過ぎに片山被告がマイクロSDカードがついた首輪をグレイにつけたと述べ、<周囲の様子をうかがいながら両手で作業。(グレイを) 撮影した写真を確認してガッツポーズ>という防犯カメラのビデオ映像を法廷で公開した。リュックサックに手袋という姿の片山被告がベンチに座る様子が小さく映る。
「背を向け首輪をつけています」と検察側は説明するが、ピンクの首輪は確認できず、取り付けているのか映像からは判別できない。
 
そして、ベンチから立ち上がり、グレイの写真を撮り終わって歩き出す片山被告の動作について、「ガッツポーズです」と検察側は主張したが、左腕がやや動いただけで、とてもガッツポーズには見えなかった。
 片山被告は映像について、「防犯ビデオはもっと鮮明なはず。元データを出してほしいと言っているのに検察側は応じない」「グレイを撮影したか記憶は鮮明でない。はっきり言えるのはネコの首輪を買ったりつけたりしていないこと」 と主張。最後には、「市中引き回しの刑も同然。江戸時代よりひどい」と、ときに涙声になりながら訴えた。
 
片山被告が求めた取り調べ中の録音・録画もされず、昨年2月の逮捕から片山被告の勾留は続いている。傍聴したジャーナリストの江川紹子さんは言う。「捜査が終わって起訴された被告を勾留し続け、接見禁止までしている検察のやり方はひどい。証拠の脆弱(ぜいじゃく)性の裏返しでしょう」歴史的な劇場型犯罪は、法廷でも異例な展開を見せてきた。
 

衛藤首相補佐官の動画投稿騒動は「永久敗戦論」そのものだ  

20140220日 天木直人のブログより転載


衛藤晟一首相補佐官が「米国に失望しているのは我々のほうだ」などと動画投稿したことが大騒ぎになっている。
最初は、何が悪いと、開き直っていたらしいが、4月のオバマ大統領の訪日への悪影響をおそれた菅官房長官に電話一本で忠告され、あっさりと前言を翻して動画投稿まで削除するという体たらくだ。

 
しかし私はこの動画投稿のバカ騒ぎを歓迎する。なぜならばこの騒動は安倍政権が抱えている致命的な欠陥を見事に露呈してくれたからだ。何が致命的か。それはこの衛藤補佐官の動画投稿に見られた「失望」は、安倍首相自身の本音でもあるからだ。
 
しかもその本音をぶつけたのは衛藤補佐官が初めてではない。安倍首相の外交・安全保障政策の代弁者である谷内正太郎日本版NSC事務局長は、以前から講演などで何度も米国に対する不満に言及している。
 
安倍首相に靖国参拝を強く迫った張本人であると言われている萩生田光一議員(首相特別補佐官)も、「共和党政権だったらこんなことにはならなかった」などと内政干渉まがいのオバマ政権批判をしている。
 直近の例としては、佐々江駐米大使が「米国は誰が友人なのか、誰がトラブルメーカーなのかをはっきりさせてもらいたい」などとエラソーに講演の場で日本より中国や韓国を優先する米国に対する不満をぶちまけた。
 
衛藤補佐官の動画投稿の発言は、一連の安倍首相側近の対米不満の一つに過ぎないのだ。つまり安倍首相の対米不満の代弁である。
そうである以上、信念をもってそれを貫くのであればまだ筋が通る。
ところがオバマ大統領の訪日に悪影響が及んでは大変だといってあっさり撤回した。
 
ここが大問題であり、安倍首相とその取り巻きの情けないところだ。
 オバマの米国に対してこれ以上ない不満と不信を抱いている安倍首相であるのに、米国に反発をすればするほど対米従属にならざるを得ない。
 
これこそが白井聡のいう「永久敗戦論」なのである。すなわち、敗戦を否認する誤った歴史認識に固執するがゆえに、際限のない対米従属を続けなければならず、対米従属を続ける限り、敗戦を否認し続けなければならないという悪循環である。
 
実は私は先日(2月12日)ある雑誌の依頼で白井聡氏と対談した。
 折から都知事選の結果に話がおよび、この国の若者の昭和史に関する知識と関心のなさに話が及んだ。そういう若者たちは今度の動画騒動の本質はまるで理解できないだろうし、そのような若者に支持される限り安倍政権はいつまでたっても正しい対米外交は出来ない。
 
いや何も若者だけではない。この国の働き盛りの壮年も、その上の団塊の世代も、老人たちの間でさえ日本の戦後史を正しく知らされていない者ばかりでなないのか。
 
だから安倍政権が今でも政権にとどまっていられるのだ。甘やかされているのだ。白井聡という若い世代と私はそう認識が一致した。
 
絶望の中に希望を見つけた思いである(了)
 

頭の悪い人間が首相になったら大雪で人が死ぬ!

2014.02/20 ハイヒール女の痛快日記


はじめまして!東京ルミックスです。スパイク式ハイヒールという画期的な新商品が発売された?!


先週からの大雪で少なくとも死者は全国8県で計19人に上るという。ところが、古屋圭司防災担当相が大雪対応のための関係省庁災害対策会議を開いたのは16日午後1時だという。さらにノーテンキなのが安倍首相だ。16日の夜は赤坂のてんぷら料理店「楽亭」で高級料理に舌鼓を打っていたのだ。


これに対して、著名人らが次々と批判のツイートした。


三宅雪子氏は、庶民には手の届かない高級料理店にいたことを疑問視した。「何も口にできず、寒い中耐えている方々がいるというのに。せめて、会合場所を公邸にできなかったのか」と不満をぶつけた。湯川れい子氏も「山梨近辺はもう3日も孤立状態で死者が出ている緊急事態だというのに、どうして安倍さんはノンビリと天ぷらなど召し上がって居られるのでしょうか?」とツイートした。


津田大介氏も「会食を優先させるタイミングではなかった」と疑問を呈した。


その彼等にバカ国民から「安倍首相、天ぷら屋で会食止めて官邸で弁当食え!」それで事態が変わるのか、と反論ツイートが続々と寄せられたという。て言うか、これを見る限り、学習しないのは安倍だけでなく国民もだ。三宅氏、湯川氏、津田氏のツイートの本当の意味が理解出来ないのかしら?


いちいち説明させないでもっと行間を読みなさいよ!


そんなアホ連中の言うことに、著名人もいちいち反応する必要ないでしょ!基本的にツイッターで、のべつ幕無しにツイートする連中は、ハッキリ云って定年を過ぎた超暇人のネットお宅のオジサンか、若い人であれば暇を持て余している大学生かフリーター系の人でしょ?


私のこの言葉にも狂ったようにバッシングがあるのは間違いない!


この騒動に217日に首相官邸はフェイスブックで事情を説明した。政府は、降雪前の14日から災害警戒会議を開くなどして事前対策の確認を行ったとした。また、15日からは、災害派遣の自衛隊が除雪や輸送などを行い、警察や消防は被害発生後の初動対応に当たり、国や自治体も懸命の除雪作業をしていると強調した。


これ大嘘ね。降雪前の14日から災害警戒会議を開いているという証拠を出して!


自衛隊の派遣も県が要請しただけだ。国家レベルで対応しろと言ってんでしょうが。非常事態宣言を出したってオカシクないレベルだ。アメリカではとっくに出している。要は危機管理がなってないってこと。福島原発事故と同じことを繰り返してるだけだ!


NHK
9時のニュースで、想定を超える積雪としきりに強調していたが、またもや世論誘導に走ってるだけだ。誰も気候を変えることはできない。降った雪を悪者にしても意味がない。簡単に言えば、想定値を超えた事態になった場合は、安倍の知能指数では対応ができないことが判明したのだ。ただ、それだけだ!安倍政権の御用機関に成り下がったNHKは、


政府の対応の悪さを批判するどころか、論点をすり替えるのに必死なのだ。


9
時のニュースでは、高速道路で立ち往生した人達に、山崎パンの運転手がパンを配った話や、インターチェンジのお店の店長が、果物などを配布した話を殊更取り上げて、心温まる美談に仕上げていたが、何か思い出さない?そう!東日本大震災で暴動も起こさず住民同士が助け合った話と似てるわよね。普通に考えてみたら、この状況でパンや商品を配らない方がオカシクない?


彼等は普通の行動をしただけでしょう?きっと、そう思ってるはずだわ。


翻れば安倍政権の連中が異常者なのよね。陸の孤島化状態になればどうなるかは猿でも中学生でも解る。解らない連中は冗談抜きで小学生レベルだ。異常な量の積雪になるのが分かっても、誰も止めることはできない。要はその後の対応をどうするかだけだ。福島原発事故も然り!そこが政治家の危機管理能力だけでなく、政治家本人のスケールやセンスに直結しているのだ。今回も安倍は、一歩間違えば沢山の人の命が失われる事態だったにも関わらず、


安倍は福島原発事故同様に大嘘をついて誤魔化そうとしている。


確かに天ぷらを食べても食べなくても、事態は何も変わらない。だから安倍が高級な天ぷらを食ってもいいのよ。だけどそれは、孤立化した山梨県や檜原村などに、自衛隊派遣や救助命令を出してからの話なのよ!それもやってないのだから、やはりアホで知能程度が低いとしか言いようがないでしょ。


頭の悪い人間が首相になったら国民が不幸になる典型的な例だ!

 

久米宏、NHK会長・籾井勝人氏を激しく非難 「誰が責任をとるの?あの人、モミガラだとか訳わかんない人」 


トピックニュース 20140219


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25日の就任会見で、従軍慰安婦について「今のモラルでは悪いことだが、当時の戦争地域には大体つきものだったと思う」などと発言していた、NHK新会長の籾井勝人(もみいかつと)氏。同氏は発言を「個人的見解」としていたものの、その言葉は国内外の多くのメディアが取り上げ、波紋を呼ぶことになった。131日の衆院予算委員会で、籾井氏は「誤解と迷惑を掛けて、誠に申し訳ない。非常に不慣れだった」と陳謝し、職務続行に意欲を示している。


しかし、今回の騒動を期に籾井氏のNHK会長としての資質に疑問を持ったものもいるようだ。28日放送のTBSラジオ「久米宏 ラジオなんですけど」では、フリーアナウンサーの久米宏が、籾井氏とNHKに対し激しい非難の言葉を浴びせている。番組のオープニングトークで、数日中のおもだったニュースについて語っていた久米。NHKの特集番組が話題となっている佐村河内守氏を「別人作曲」騒動前に取り上げていたことに触れ、報道の持つ影響力について持論を語っていた。やがて久米は「マスコミの力ってとっても大きいんです。心しなきゃいけないなって思うんですけど」と、報道する側の責任について言及。その上で籾井氏を話題に挙げたのである。

久米は、かなり腹をたてている様子で「なんで?どう考えたって相応しくない人を、NHKの会長にしたこの感覚ね。誰が責任をとるの?あの人、モミガラだとか訳わかんない人」と、皮肉まじりに籾井氏の会長としての資質に疑問を呈した。続けて「あんな発言をする人を。何が公共放送だ。公共放送って言うんだったら、あんな人物をトップに据えるってこと自体、滅茶苦茶でしょ。わかってるんだから、(籾井氏が)あんな人だって」とNHKを非難。

それでも久米の怒りは収まらず、その矛先はNHKの経営委員にも及んだ。「その(経営委員)中の二人が何といいますかね、国際的に、とても人前で『こういうこと言ってる人です』って紹介できない人が入ってたりするんです」などと発言し、匿名で批判したのである。その後も、久米は「NHKの人もつらいと思いますよ?『あれが会長かよ』って」と職員に気を使いつつも、「とにかく酷い。先進国とは思えない人選ですよ」「あんな人がトップに来たら、僕ならやめますよ、NHK」などと、籾井氏を激しく批判し続けた。これだけに留まらず久米は「これからNHKのニュースなどを見る場合、特に政治むきのニュースを見る場合は、眉に四回くらい唾つけないと」などと、NHKの放送内容にも不信感を口にしている。
籾井氏については、127日に菅義偉官房長官が「放送法に基づいて職務を果たしていただきたい」とコメントし、NHK会長続投の見解を示している。
 

「原発依存度引き下げ」は口先だけか?廃炉の道筋示さず再稼働へ突き進む安倍政権

現代ビジネス 町田徹「ニュースの深層」2014/2/18

来年度以降、原子力発電所の再稼働が相次ぐ可能性が一段と高まってきた。
昨年末、東北電力が女川原発(2号機)の新規制基準の適合審査を申請したのに続き、先週は中部電力が浜岡原発(4号機)の申請に踏み切ったからだ。これにより、昨年7月以降、原子力規制委員会に対して全国の8電力会社が10カ所の原発(合計で17基)の審査を申請したことになる。合計は国内に現存する原発(48基)の3分の1を上回る数だ。
筆者は、必要な安全対策が整った原発ならば再稼働に賛成だ。しかし、この適合審査だけで安全が確認できたことにして、再稼働を強行しようとする安倍晋三政権のシナリオは茶番である。少なくとも4つの忘れ物が残っていることを指摘しておきたい。

安全を確認できなかった原発をどうするか

本コラムでこれまで何度も指摘してきたように、原発ならば全部安全だとか、全部危険だといった形で、原発の安全性を一律に議論するのは乱暴だ。
東日本大震災の例をみても、人類史上最悪の原発事故を引き起こした東京電力の福島第一原発もあれば、より震源に近かったにもかかわらず、速やかに冷温停止に漕ぎ着けて安全を確保した女川原発のような原発もあるからだ。
この女川と福島第一の比較を見ても、「安全が確認できた原発は運転を再開する」(安倍首相)と言い続け、原子力規制委員会の新規制基準の適合性審査にパスすれば、再稼働にお墨付きを与えようとしている安倍政権の原発政策の欠陥は明らかだ。
というのは、新規制基準は、耐震強度など技術的な強度の強化に軸足があり、原発を安全に維持、管理、運転していく資質がその電力会社にあるかどうかという視点がすっぽりと抜け落ちているからだ。
福島第一の1、2号機と女川の1号機はいずれも米ゼネラル・エレクトリックのマークワンと呼ばれる型式の原発だった。
が、早くから津波のリスクを予見し、14.8mの高台に原子炉を据えたうえ、各地の大地震のたびに繰り返し対策を強化して重大な事故を未然に防いだ東北電力と、廉価なパッケージ契約を結んで、もともとは40mあった立地を6mに削って原発を建設したばかりか、東北電力の強化の努力を目の当たりにしながら対策を怠ってきた東京電力の取り組み姿勢の違いが、2つの原発の明暗を分けたことは明らかだろう。
一向にそうしたヒューマン・ファクターに目を向けようとしない規制委の審査も、安倍政権のスタンスも、とても信頼を寄せることはできない。これが第一の問題である。
次に問題なのは、規制委の審査で否を突きつけられた途端、その電力会社は経営破たんの危機に直面し、問題の原発の廃炉を遂行できない懸念が強いにもかかわらず、安倍政権がそうした状況を今なお放置していることだ。
この問題の放置こそ、安倍政権の「原発依存度の段階的な縮小」は口先だけで、本心は、すべての原発をなし崩し的に再稼働することにあるのではないかと疑われる要因だ。
安全を確認できなかった原発をどうするか。つまり、廃炉への道筋をきちんと示さないのは、1基も廃炉にする気がないことの証左とみなさざるを得ないのである。

電力会社が破たんしても残る廃炉や使用済み燃料処分の問題

すでに、そうした政権の腹の底を映し出すような事態も起きている。規制委が昨年6月、長年の論争に終止符を打って、将来、大きく活動する可能性がある活断層が原子炉建屋の直下にあると認定、廃炉を余儀なくしたはずだった日本原子力発電の敦賀原発2号機を巡るドタバタが、それだ。
この決定によって経営危機に直面した日本原電は規制委に猛反発した。同社が保有する3つの原発の中では敦賀第2が最も再稼働し易い原発だったからである。
他の2つを見ると、敦賀第1は日本初の商用軽水炉として19703月に営業運転を開始したもので、すでに建設から40年以上が経過しており、規制委が打ち出した「40年廃炉ルール」の下では再稼働が絶望とみられていた。また、茨城県那珂郡東海村の東海第2は、東日本大震災の直撃を受けて、あの福島第1と同じ様に全電源を喪失。冷温停止までに3日半近くを要する綱渡りとなったため、地元の東海村村長らが廃炉を主張しており、やはり運転再開が困難とされていた。
しかし、原発以外にこれといった収益源のない日本原電は、1基も再稼働できないと会社が存続できない。そこで12月になって、改めて敦賀第2の下に「活断層はない」との追加調査の結果を提出し、規制委が再検討することになったのだ。
国民全体にとって重要なのは、こうした形で原発を再稼働できずに電力会社が破たんすると、長い年月が必要な廃炉や使用済み燃料の処分に責任を負う主体がなくなってしまうことである。この点も以前に本コラムで紹介したが、実は、こうした事態に直面した場合でも、安全に廃炉や使用済み燃料の処理を推進する仕組みを作ることは可能だ。
それは、一部の専門家たちが注目しているもので、「日本版NDA(英原子力廃止機関)設置構想」と呼ばれている。NDA100年以上の歳月が必要と見込まれていた英政府保有の10数ヵ所の原子力施設の廃止・解体を一元的に行うために、英政府が2005年に設置した独立行政法人だ。
日本版は、各電力会社に保有する原発を現物出資させる形で株式会社として設置して、本当の意味で安全が確認できた原発だけを稼働し、その売り上げで廃炉費用などを賄う点がミソになる。最終的に全施設の廃炉を目指すが、当面は原子力技術者の雇用確保にも役立つと考えられている。
資金面で政府支援が必要かどうかは、後述する2つの安全対策にかかるコストや、日本版NDAで福島第一原発の廃炉処理を肩代わりするかなどによって大きく異なってくる。
が、少なくとも、こうした枠組み作りを提示せずに、規制委の適合性審査だけを続けているのは、安倍政権の怠慢だ。このままでは、安倍政権の「原発依存度引き下げ」は「全原発再稼働のための詭弁」だとの見方が消えることがないだろう。

避難計画や損害賠償見直しも積み残し

あと2つの再稼働に必要な安倍政権の忘れ物について、駆け足で触れておこう。
3は、各原発の半径30km圏内の避難計画の策定と避難訓練の実施だ。昨年1220日付の日本経済新聞によると、対象になる135市町村のうち避難計画を大筋で作り終えたところは53町村と全体の4割にとどまっている。避難計画をすべての市町村が完成し、各地で訓練が行われることは、再稼働の前提条件である。
そして、最後が、20126月の法改正後も、原子炉1基辺りの賠償額の上限が1200億円にとどまっている原子力損害賠償保険の枠組みの見直しだ。福島第一原発の事故を見れば、この額では明らかに不十分だ。この欠陥が、原子力損害賠償支援機構という東電支援機関の設置、泥沼の支援拡大、国民負担リスクの増大などを招いているのだ。自動車やバイクでも無保険での運転は許されない。原発はなおさらである。
安倍首相、急がば回れである。そろそろ、国民が信頼できる対応を見せていただきたい。
 

百田氏発言に米大使が激怒「袋小路」に入り込んだ安倍政権

2014
218日 日刊ゲンダイ



「報道はネガキャン」と言い張る百田氏


 いつまで強気でいられるか――。NHK経営委員の百田尚樹氏の放言が、外交にも悪影響を与え始めている。米国のキャロライン・ケネディ駐日大使が、「南京大虐殺はなかった」「東京裁判は(米軍の)大虐殺をごまかすための裁判だった」などという百田氏の一連の発言を理由に、NHKの取材を拒否していたことは深刻な問題だ。


「大使館が、特定の問題を理由に公共放送のインタビュー取材を拒否するのは、極めて異例のことです。それほど、百田氏は危ないと見られている。もちろん、取材拒否は本国の指示によるもので、日米関係がかつてないほど悪化している証左です。経営委員や会長の人事が、NHKの報道現場に影響を与えるだけでなく、外交上の問題に発展しているのです」(元外務省国際情報局長・孫崎享氏)


 ところが、百田氏は〈百田尚樹を国会に呼び出せよ! びっくりするようなこと、いっぱい喋ってやるから〉とツイートするなど、挑発的な言動を続けている。ケネディ大使の取材拒否についても、15日には〈アメリカ大使が百田尚樹の街頭演説を理由に、NHKの取材に難色を示したという。もしこれが本当なら、アメリカは「東京大空襲と原爆投下は大虐殺」という言葉に、よほど腹が立ったのだろう〉、16日は〈現在、朝日新聞、毎日新聞、東京新聞、テレ朝、TBSが百田尚樹ネガティブキャンペーンを実施中。さすがにその威力はすごくて私の本の売れ行きが減ってきた〉とツイートしていた。


 報道を「ネガティブキャンペーン」と言い切る被害妄想には恐れ入るが、安倍首相の周辺からも、「百田氏は本当のことを言っただけだ。何が問題なのか」という威勢のいい声が聞こえてくる。コトの深刻さが分かっていないのだろうか。ここが、この問題の核心で根深いところだ。


「安倍首相にもジレンマがあって、百田氏をとがめれば、自分のアイデンティティーを否定することになる。かといって、このまま百田氏をかばい続ければ、米国から完全に見限られてしまう。そうなれば政権は持ちません。どうすることもできない袋小路に入り込んでしまったように見えます」(孫崎享氏=前出)


 自分に近い思想の人物をNHKに送り込む強引な人事のツケだ。得意分野でつまずき、お友達人事に足をすくわれるとは、1次政権の崩壊過程とソックリになってきた。

 

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