真実の報道神秘

権力の『おかしな政策』におかしいと報道しない日本で、一人でも『おかしい』と声を上げ、真実を追求して行きます。

2012年01月

高村薫という女性作家が書く、小沢公判の「傍聴記」が12日の毎日新聞紙上に大きく掲載された。マスコミのズルイ処は、名のある第三者に批判させて、紙上に掲載されている偏見的な記事が正当だと読者に錯覚・誤解を与えることだ。案の定、読者に誤解を与える傍聴記である。ジャーナリストの江川紹子さんとは違い、考えられないほどの非論理性と裁判に関する無知を示している。

高村女史はその冒頭で、「小沢氏は指定弁護士の追及に対して『数年前のことなので記憶にない』『元秘書が彼の裁量でしたことなので知らない』と延々と繰り返し続けた。票にならない一般社会への徹底した無関心がのぞく」と書いている。指定弁護士が同じこと繰り返し訊くから、同じことを答える。それがなぜ、「一般社会への徹底した無関心」に飛躍するのか。全く論理的な繋がりはない。当に女史の偏見である。

さらに女史は、「4億円が収支報告書に記載されていないことについて、政治資金規正法の虚偽記載に当たるという認識を小沢氏がもっていたか否か。(中略)収支報告書への不記載について元秘書らとの共謀があったのか否かも、そもそも違法行為の認識がないとなれば、共謀を問うこと自体虚しい」と書いている。

女史は「不記載」と書くがそれは違う。4億円は収支報告書に記載されているが、その日付が土地の本登記日であることが、虚偽記載だとして検察が訴追したのである。また、「違法行為の認識がない」のならば、犯意が無いのだから犯罪は成立しない。だがそうは書かないで、「共謀を問うこと自体虚しい」と非論理的に枉げる。予てから小沢氏批判(=有罪願望)をしていた自らの心の悔しさを隠したに過ぎない。

そして、女史が裁判とは何かを理解していないのが、次の文書である。「たとえば法の正義を言うなら、その手続きも厳密であるべきであり、検察審査会の強制起訴の議決に手続き上の瑕疵があることを理由に弁護側が起訴の無効を主張するのは当然だろう。(中略)地検特捜部の捜査手法は捜査の名に値しないひどさのだが、しかしそのことと本件の金の流れの不透明さは別の話だとみなす程度に国民は冷静でもある。」

「たとえば法の正義を言うなら」で始まる一節は、法に基づく裁判を否定している。裁判は、市民感情や市民感覚で左右されるものであってはならない。国家権力による捜査・起訴に違法性があれば、裁判そのものが成り立たない。これが先進民主国家での基本である。処が、「捜査手法は捜査の名に値しない」と認めていながら、「本件の金の流れの不透明さは別の話だ」と書き、話をすり替えている。

女史の裁判に関する無知はさて置いて、「金の流れの不透明さ」はないだろう。ほとんどのマスコミは報道をしていないが、日刊ゲンダイによると、売却した湯島の不動産は約15億円。購入した世田谷の土地9億円。加えて安田信託での解約金3億円も明らかにされた。小沢氏が4億円を持っていることに何の不思議も無いことが、公判で明らかにされた。それを傍聴していながら聞かなかったとでも言うのだろうか。

小沢氏が原資の明細をより明白にした途端、マスコミはそれを報道しないで今度は、「4億円もの大金を秘書に任せきりはおかしい」と言い出した。それに呼応して女史も、「仮に秘書に任せていたのが事実でも、自ら国民に対して釈明するのが政治家本来の姿だろう。法律の不備を逆手にとって無罪を主張する政治家の姿に国民が見るのは、政治資金規正法がザル法であることの虚しさだけである」と書いている。

全く非論理的である。小沢氏は公判で原資の明細を、これまで以上に明らかにした。それを無視して、「自ら国民に対して釈明するのが政治家本来の姿」と言う。また、何を以って「法律の不備を逆手にとって」とか「政治資金規正法がザル法である」と言うのだろうか。裁判の場で、法律に従い無罪を主張するのは当然だろう。女史の言い分は、突き詰めると、法に従って裁くなと言っているのと同じことになる。

刑事裁判では、検察が有罪であることを証明しなくてはならないのだ。極論すれば、被告は自らのシロを証明する必要はない。完全黙秘でも構わない。だが、小沢氏は法廷で4億円の原資について、銀行から得られた証明書の範囲内では、丁寧に答えた。証明を得られないことに関し、「分らない」「記憶にない」と言うのは当然である。何故なら、もし間違っていたら、それで有罪にされる可能性があるからだ。

この傍聴記の全てを批判するには、字数はいくらあっても足りない。だが、この傍聴記から分ることは、女史もまた多くのマスコミ同様に、小沢氏自身が不正を働きましたと言わない限り、批判を続けるということだ。そして何よりも許せないのは、女史の私情を、「私たち国民」とか「市民感覚」という言葉にすり替えていることだ。

小沢裁判を通して分ること
その公判前日に、毎日新聞は「事件の核心に」とか「迫れるか4億円真相」と煽り、広告も入れずに丸々1面全部を使った記事を掲載した。朝日新聞は社説で「国民の目をおそれ、国民に向き合い、国民の疑問に答える。最後の機会がこの公判だ」とまで書いた。このように「小沢クロ」を印象付ける報道には力を入れるマスコミだが、その公判後の報道はどうであったのだろうか。

公判があった10日夕刻の民放各局のニュース番組で、小沢裁判を最初に報道したのは日本テレビのみであった。他の民放各局は、元オーム真理教の女性信者の自首か、100日裁判だと言われる首都圏での連続不審死事件が、トップニュースであった。11日の毎日の社会面も同様で、トップは元オーム真理教信者関連ニュース、第二社会面トップは連続死事件裁判で、いずれも写真入りで大々的に報道されていた。

11日も公判で小沢氏への被告人質問が行なわれる。処が、11日のテレビ番組の予告欄には「小沢公判」の「小」の字も無い。NHK午後7時のニュースは、「JR福知山線事故」、午後9時は「消費税」である。民放各局は、報道ステーションの「なでしこ・二谷英明・平田」が示すように、この3題話だけである。要は「小沢シロ」と見做される報道はスルーすると言うことのようだ。

このようなマスコミの報道姿勢を通して、改めて筆者はこの裁判ほど無意味、無駄なものは無いと確信した。まず、マスコミが「政治とカネ」と騒ぎ、国会での証人喚問と喚いた4億円の原資問題。小沢氏の公判での説明内容は、昨年1月に検察の事情聴取を受けた後の記者会見での説明と、全く同じ内容であった。なお、その詳細な受け答えは、NHKニュースウェブの特集*で知ることができる。

マスコミは、重箱の隅をつついたようなことを取り上げて騒ぐが、4億円の原資を報道しなかったように、小沢氏に有利になる証言などは、決して大きくは報道しない。12月の公判で、東京地検特捜部の田代検事が【報告書を捏造】し、検察審査会に提出したことが明らかになった。だがマスコミはそれを大きく報道はしなかった。朝日新聞9日の社説では、この証言を全く無視していた。

この田代報告書にある【捏造された石川発言】を信用できるとして、東京第5検察審査会は2度目の起訴相当議決をしたのだ。これに関して郷原信郎元特捜検事・名城大教授は、「検審議決による刑事裁判の不当性を完全に無視して、その裁判による小沢氏糾弾を続ける神経が理解できない」と述べている。将にその通りだ。これ以上公判を継続する意味も必要も無い。あとは税金のムダ遣いに過ぎない。

この裁判について政治ジャーナリスト渡辺乾介氏が、「党内で“小沢封じ”といい、今度は司法まで加わった小沢攻撃という未だ異常な事態になっている。(小沢氏は)日本の危機を双肩に乗せて裁判を戦っているように見える」と語り、これに対し小沢氏は、「個人の自立、国家の自立、そして議会制民主主義の定着、それらを実現するためには、僕は屈するわけにはいかない。ここで屈したら、永久に日本に民主主義が定着しない」と応えている。(以上週刊ポスト1月13日号より抜粋)

この裁判を継続する意義があるとすれば、日本のマスコミ、検察、そして司法(=裁判所)が、日本の民主主義を破壊していることが明らかになることだ。戦後、最初に民主主義の教育を受けたと自負する筆者でさえ、09年3月に大久保氏が逮捕され、それが検察による政治介入だと分かるまでは、日本は民主主義国家だと信じていた。だが違った。小沢事件を通して、日本が官僚・検察主権国家であることを知った。

4億円の支払い日を、会計学上正しいとされる本登記日にした政治資金報告書を作成したことにより、国民は誰一人として損害を被っていない。だが、もし鳩山・小沢体制が継続していたなら、官僚OBの巣窟とも言うべき特殊法人や公益法人に、国庫から年間12兆円の金が流れていることにメスが入ったはずだ。そこから国民と国庫に還元される金は、4億円などという「はした金」ではない。

これ一つとっても、この裁判で国民が受けている損害は非常に大きい。これからも分かるように、今や、我々国民の一人ひとりが、もっと自ら考えないといけないということだ。筆者は、堂々と「天下国家」を論じると正面切って言える政治家を信じる。「政治とカネ」という呪詛に捉われている限り、日本に明るい明日は来ない。そう断言しても決して間違いではない。

*詳報・小沢元代表は何を語ったか(NHK/NEWSweb)
http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/0110_01.html

小沢一郎の「表舞台」復帰に恐れおののく朝日社説

朝日新聞は小沢一郎復権によほど恐怖を感じるらしい。
小沢一郎氏の被告人質問について書いた1月9日の社説は、わなわな震えるような筆致で、書き手に同情をおぼえるほどである

「私たちは小沢氏に対して繰り返し、国会で説明責任を果たすよう求めてきた。ところが、氏は国会に出ていくことも、記者会見での突っ込んだやり取りも拒み続けた」

まことにみごとな恨み節からはじまった。「私たち」という何者かが求めた通りにしない小沢氏はけしからん、というのである。

小沢氏はフリージャーナリスト、外国人記者らにも開放してたびたび記者会見を開き、説明してきたと思うが、何が不足なのだろう。記者クラブ員だけの特権的密室記者会見に応じないのに腹が立つのだろうか。続く記述に移ろう。

「土地取引の原資になった4億円は、どんな金なのか。支援者からの浄財だ、銀行融資だ、個人資産だと説明が二転三転したのは、なぜなのか」

4億円ものカネがどういう流れで小沢氏のもとにやってきたのかを一括りに語れという。おそらくその中には「支援者からの浄財」もあれば、「銀行融資」もあれば、「個人資産」も含まれているのだろう。
カネが口座に入金するたびに全額引き出して、これはどういうカネか色か印でもつけてタンス預金しておけば、区分けができ、どの種類のカネが残っていたかも確認できる。

しかし、それを使うさいに、どの色のついたお札を使ったか記録しておかねば、朝日新聞や検察当局のご要望に応えられないのではないか。そういう考え方をしない理由があるとすれば一つしかない。4億円全額が、どこか1か所からこっそり手渡されたはずだと邪推する場合である。

つまり、小沢氏が4億円の裏献金をもらったと思い込んでいるか、そう思いたいか、どちらかだ。
人の先入観とか希望的観測というのは脳内からちゃんと文章となって出てくるから面白い。…いやまてよ、そうではないかもしれない。ちと人が好すぎる解釈をしてしまったのかもしれぬ。

裁判で小沢氏が被告人質問を受けるのにさいして、その直前に、さんざんこれまで吹聴してきた小沢悪玉論をいまいちど蒸し返し、ぶち上げることで、裁判官に圧力をかける効果を狙ったのかもしれぬ。だとすれば、朝日新聞、おぬしも相当ワルじゃのう、ということになる。しかし、次の部分はあきらかに小沢復権恐怖症候群がみてとれる。

「このところ小沢氏には、4月に予定される判決の『その後』を見すえた動きが目立つ。本人の刑事責任の有無は裁判所の判断をまつほかないが、忘れてならないのは、元秘書3人がそろって有罪判決を受けているという重く厳しい事実である。 その政治責任、監督責任を棚上げにしたまま表舞台に立とうとしても、多くの有権者が納得するはずがない」 これは何を言わんとしているのだろうか。「4月に予定される判決の『その後』を見すえた動きが目立つ」「表舞台に立とうとしても、多くの有権者が納得するはずがない」。

どうやら朝日も、無罪判決が出ることを予想し、「だからといって復権できると思うなよ」とクギを刺しているようにみえる。

その理由として、証拠もなく裁判官の「推認」「推測」だけで小沢の元秘書3人を有罪にした判決を持ち出し、「重く厳しい事実」とその裁判史上の汚点ともいうべき出来事を賛美しているのである。

小沢氏への恨み節からはじまって、4億円一色論でなじり、金権政治家イメージをふりまいたうえ、奇怪な元秘書有罪判決をもって、小沢の「表舞台」復帰はまかりならぬと、上から目線で断じてはばからない。

この感情過多で空威張りの過ぎる論説に、再販制や記者クラブ制度などに守られた大商業新聞の特権が、小沢という危険な男にぶち壊されないかと恐れおののく守旧的新聞人や経営者らの姿が浮かび上がってくる。

小沢公判産経新聞記事での公判速報記事は、公判でのやり取りの詳細速記録の体裁をとっていながら、今回も意図的に編集していた。今回はNHK記事との違いでそれがすぐに明確に成るお粗末ぶりを露呈した。

小沢公判産経記事で意図的編集か-NHK記事との違い明確
産経ニュースの裁判速記記事はその速報性と細かさで重宝しているが、西松事件以来自らの主張に合わない部分を意図的に省略しているようだ。

1月10日の小沢裁判第12回公判において、江川紹子氏のTwitterの内容が産経記事に乗っていないことに気づかれた方もおられるだろう。今回はNHKが、全文ではないものの内容の詳細が記事を載せているので、比較してみると産経ニュースの記事では非常に重要な新情報が無視されていることが分かる。

まず、4億円の出所に関するNHKの記事からみてみると:
小沢氏裁判(3)4億円出どころは  NHK NEWSweb 1月10日 13時10分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120110/k10015157561000.html

小沢元代表の弁護士は、土地を購入する際に用意した4億円の出どころについて質問しました。法廷での主なやり取りの概要は次のとおりです。

[弁護士]手元にあった4億の現金は、どういうことから小沢さんの手元に存在したのか?
[小沢元代表]私の場合、現金でずっと以前から所有していました。元の現金の多くは、両親からの不動産と現金の相続により取得したものです。自分で本を出して、印税などの収入もかなり得ました。40数年間、議員報酬も得ていました。自分なりにそれなりの現金を持っていました。[弁護士]相続した不動産はどこの不動産か? [小沢元代表]1か所ではなく、40何年も前の個人的なことなので、言う必要もないと思いますが、文京区湯島の自宅、ほかに都内の土地、また、水沢の自宅等々でございます。

[弁護士]湯島の自宅を売って、世田谷のを買って、差額が手元に残ったか? [小沢元代表]はい。たまたまバブルのはしりで、湯島は母の意向で転居したが、高く売れました。世田谷はまだそれほど高い値段ではなかったので、相当額の資産が残りました。 [弁護士]それの差額は手元に置いていた? [小沢元代表]はい、あります。 [弁護士]それ以外は?

[小沢元代表]ある銀行に預金していたもので、金融危機のときに解約して、そのときのお金を手元に置いていた。それと合わせて、親から譲り受けたものと合わせて手元に置いていました。[弁護士]それは、小沢さんがみずから銀行で、それらの資産について精査しようとしましたか?

[小沢元代表]はい。手持ちのお金だったので、この事件が起きて、事情を話すことになったので、手元のものは、客観的に話すことは不可能なので、金融機関に何か記録が残っていないか、調査を要請したが、古いことなので記憶にないと言われた。それでも頼んで、断片的に情報を入手した。しかし、入金出金欄にあるもので、私にも分からないものが多く、金融機関に聞いても分からないことが多かった。また、それでも、最小限自宅の売買で最後に残ったお金は、銀行の帳簿にもあったし、私が病気になったあとに家族名義で作った口座にあったお金は確認できた。それは、世間で知られているものよりも多いものです。

[弁護士]小沢さんはそれらの銀行関係の書類を持っていたんですか? [小沢元代表]何十年も前のことなので、私の記憶はまったくございません。[弁護士]検察の捜査でそのようなことを聞かれたか?
[小沢元代表]検察の捜査では、資料だけでなく、銀行なども捜査したような口ぶりだった。それは強制したような感じで言われた。[弁護士]検察は具体的なことを聞いてきたのですか?

[小沢元代表]どこで受け渡しがあったのかとも聞かれた。最終的に「ここじゃなかったんですか?」などというように、現実に受け渡した行員の話もとってきた、というようなことを言われたので、「ああそうか」と言ったと思います。

[弁護士]検事から、不正に秘匿した金とは、聞かれませんでしたか? [小沢元代表]ありました。それが目的で聴取をしたと感じました。[弁護士]金のやり取りについては、いわゆる不正な金が入っていたり、入るあてがあったのではという類の質問をされました?

[小沢元代表]検事はおかしな、ばかげた推論をするものだと思いました。ゼネコンからそのような不正な金は一切もらっていないと言いました。何問か質問がありましたが、私はそんなこと全くありませんと答えました。水谷建設の話も出た記憶がありますが、「私の秘書ももらったこともないと確信しています」と検事にも答えたと記憶しています。

[弁護士]検事が調べても、不正な金が何も出なかったのか?[小沢元代表]私と家内の資産、ほとんどすべてを調べ尽くしていると感じた。(前田元検事の)証言で、ゼネコンを捜査しても何の不正な金もないと証言しています。いずれにしても、そのような不正な金は一切もらっていないと答えました。私の答えに、検事は特別の反論はありませんでした。

[弁護士]ゼネコンからの金はもらってないのか? [小沢元代表]はい。

[弁護士]新進党の解体など、政党の離合集散の過程で、残った金が小沢さんの手元に来て、それが4億の原資になったということはあるか? [小沢元代表]政党の金はすべて公金なので、そのような個人でどうこうできるものではないと思います。 [弁護士]実際は? [小沢元代表]新進党で100億以上の金があった。各グループ、党は人数に応じて公正に分配しました。

[弁護士]自由党が合併したあとは?[小沢元代表]持参金を持っての合併でもないという意見があったので、同じ志を持つ同志のために使うことになりました。私自身は個人で一切、手をつけていません。

NHKの記事では、この後銀行からの4億円の融資のいきさつの内容になります。

一方、産経ニュースの同じ4億円の出所に関する記事では:
【小沢被告第12回公判(3)】4億円原資は「相続」「印税」「議員報酬」で現金保有 「銀行も分からない」産経ニュース 
産経の記事では前半に土地購入の経緯について書かれているが、NHKの記事との比較のため後半の4億円の出所についての部分のみを表示する。

 《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる虚偽記載事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第12回公判は、弁護側から小沢被告本人に対する質問が続いている》...(投稿者による省略)
... 《質問は購入資金となった4億円の原資に移る。ゼネコンからの裏金との指摘もある原資について、小沢被告はこれまで「政治資金」「銀行融資」などと、たびたび説明を変遷させており、詳細不明のままになっている》
 
弁護人「次のテーマは4億円という手元の現金です」
 被告「はい」 弁護人「(4億円は)どういうことで存在したのでしょう」 被告「私の場合は、私だけじゃないかもしれない。ずっと以前から現金で所持していた。多くは両親からの不動産、現金を相続したもの。自分自身も本を出してみたりして、印税などでかなりの額を手にしました。40年間の議員報酬をいただいていたので、それなりに保有していました」 弁護人「相続したという不動産はどこのものですか」  被告「これも1カ所ではなく、40年前のことで言うことはないと思って言っていませんでしたが、(東京都文京区)湯島の自宅や都内の土地、郷里の(岩手県奥州市)水沢の土地等々」 弁護人「湯島の不動産を売って、(東京都世田谷区)深沢の土地を買った差額は手元に残りましたか」
 
被告「バブルの走りで、湯島の自宅は高く売れました。これは母親の意向なんですが。世田谷区の土地はこれほどの金額ではなかったので広く買え、相当額を手にしました」 弁護人「差額は現金で所持していましたか」 被告「もちろんあります」  弁護人「他にまとまった金額は?」  被告「銀行に預金していたものが。金融危機のあたりに解約して手元に置いておきました。親から譲り受けた現金も手元に置いておきました」
 
弁護人「今回、小沢さんの方で、銀行の資料を精査して確認されたことは?」  被告「はい。かなりの部分は手持ちで持っていましたが、事件が起きて事情を話すことになったので、手持ちの金を客観的に証明不可能なので、金融機関に何か残っていないか要請しましたが、古いので記録がないとかで出してもらえませんでした」  「それでも、しつこく頼んで、断片的に入手した記録の中でも、入金出金の数字でも記憶にないものもありました」
 
「銀行も分からないということで、金融機関の帳簿上の数字は明らかにすることができないが、最小限、自宅の売買で最後に残ったお金は銀行の帳簿にありましたし、私が病気になったあと、家族名義で預金していたものもありました」 「問題になったもの(4億円)よりも多くありました」
 
《小沢被告は言葉を選びながら、ゆっくりとした口調で答え続ける》
【小沢被告第12回公判(4)】《資金管理団体「陸山会」をめぐる虚偽記載事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第12回公判は、小沢被告に対する弁護側の質問が続いている》
 
《法廷では、弘中惇一郎弁護士が土地購入をめぐる4億円に関して、検察官からの聴取の状況を尋ねている。小沢被告は時折、首をひねって記憶を呼び起こしながら、すらすらと答えていく》
 弁護人「検察官の質問時に銀行の資料は手元にありましたか」  被告「何年も前から何十年も前のことなので、記憶がありません。質問されて、どういうことか頭をひねる中で、こうだったんじゃないかといわれたこともありました」
 
弁護人「検察官は具体的に金額を上げましたか」  被告「はい。それもありました。どこで受け渡しがあったのかも聞かれました。記憶がないので、あれかな、これかなとやり取りをしましたが、『(検察官は)最終的にここじゃなかったのか』と。そうかもしれないと答えたことがありました」  弁護人「調書を見ると、具体的に銀行から(金を)おろしたとの記載があるが、これは小沢さんの方から口に出したのですか」  被告「はい。検察はすべてを知っている風情でした。私は全く記憶していなかった。検察官の誘導で『そうだったかもしれません』と答えたと思います」 

弁護人「この金はおかしいという追及はありましたか」  被告「ありました。不正な金が入る当てがあったんじゃないかと。本当におかしな、ばかげた質問があったように思います。水谷(建設からの不正献金疑惑)の話も出たように記憶していますが、私どもの秘書がそんなものをもらったことはないと確信していると言いました」

この後、産経ニュースは4億円銀行融資のいきさつの経緯になります。

以上記事比較から分かるように、産経記事ではNHK記事の同じ部分の半分以下しか掲載しておらず、しかも新しい情報と見られる部分が報道されていないことが分かる。その内容は、検察による銀行融資の捜査状況や誘導尋問の実態、新進党解体時の資金分配についてであり、今までの大手メディア報道の内容に反するものとみられるので、産経は意図的に編集したとしか見れないのではないか。
速報性が高い、詳細だからと言って、産経では事実報道とは程遠く何も信頼できないということを自ら証明してしまったようだ。

 

朝日新聞は小沢氏証言前に、あたかも罪人の如く社説で述べる非常識と悪意

朝日新聞の社説は、いつも小沢氏の勝負の時に、必ず小沢氏があたかも罪人であるかのような論調で報道する。その最たるものが、小沢氏が代表選挙に出ることを表明したとき、社説のタイトルが「開いた口が塞がらない」と、小沢氏が西松建設などから賄賂を貰っているような論調で非難したことである。それ以降、事ある度に小沢氏は政治資金規正法に違反していると、まるで検察の広報担当のように小沢氏を批判し続けていた。

既に報道で注目されているが、10日、11日の小沢氏公判において小沢氏自身の尋問証言がなされる。それに先立ち、朝日新聞社だけが9日の社説で、『小沢氏公判―国民との約束を果たせ』と述べている。

また、公判の最大局面において、やはりまるで小沢氏が今まで嘘を言っているかのように、本当のことを話せと社説で取り上げた。

『小沢氏はいまも政界に大きな影響力を持つ。そして問われているのは、その活動を根底で支えた政治資金をめぐる疑惑なのだ。みずから「法廷で真実を述べる」と公言してきた経緯からいっても、ここはきちんと答えてもらわねばならない。問題の土地取引の原資になった4億円は、どんな金なのか。支援者からの浄財だ、銀行融資だ、個人資産だと説明が二転三転したのは、なぜなのか。
 
元秘書らの裁判では、小沢事務所内での収支報告書づくりのいい加減な実態が明らかになっている。かねて、資金の流れについて「オープン、明朗」と胸を張ってきたこととの矛盾を、どう説明するのか。
 
ほかにも確認したい点はたくさんある。 みずからの立場、これまでの言動、それによっていっそう深まった政治への不信。 こうしたもろもろを考えたうえでの身の律し方が、今度こそあってしかるべきだ。  破綻(はたん)が明らかな政権公約に、国民との約束だとして執着する小沢氏だが、自分の腹ひとつで実行できる、もうひとつの国民との約束を果たすときだ。
 
このところ小沢氏には、4月に予定される判決の「その後」を見すえた動きが目立つ。本人の刑事責任の有無は裁判所の判断をまつほかないが、忘れてならないのは、元秘書3人がそろって有罪判決を受けているという重く厳しい事実である。
 
その政治責任、監督責任を棚上げにしたまま表舞台に立とうとしても、多くの有権者が納得するはずがない。国民の目をおそれ、国民に向き合い、国民の疑問に答える。最後の機会がこの公判だ。 』

今回の裁判で、前田元検事の証言、田代検事の偽造報告書など、さまざまな検察の不当な捜査が明らかになった。前田元検事などはこの捜査は妄想で無罪とまで証言したのに、そういう事実は一切無視して、逆にいっそう深まった政治の不信は、全て小沢氏のせいであると主張している。

それもトンデモ登石裁判長が推認に推認を重ねて出した判決をそのまま鵜呑みにして、『忘れてならないのは、元秘書3人がそろって有罪判決を受けているという重く厳しい事実である。 』と述べている。これについては、直ぐに無実であるとして上告して争うことを宣言しているのに、まるで有罪が確定した言い方である。また「多くの有権者が納得するはずはない」と国民の多くがそう思うように仕向けている。

公の報道機関が、逃げも隠れもしない小沢氏を掴まえて、小沢氏の証言前にこのような社説を出すことは狂気の沙汰である。これには、江川詔子氏もあきれ、以下のようなツイートを出している。
amneris84Shoko Egawa
朝日新聞の社説〈小沢氏公判 国民との約束果たせ〉 朝日新聞の「正義」って、検察特捜部の「正義」と同じですにゃ。それにしても、メディアがここまで刑事司法の政治利用を称揚するっていうのはどうなんですかねえ…
amneris84Shoko Egawa
金、カネ、かね…の朝日に対し、日経新聞は社会面トップで各論点についての双方の主張を紹介しつつ、最大の焦点は石川議員との共謀だとまともな指摘。石川氏を調べた田代検事の捜査報告書虚偽記載についても触れて、指定弁護士の冷静なコメントも載せている。
amneris84Shoko Egawa
朝日新聞は、小沢氏を潰すために刑事裁判を利用するのはやめて、自分たちの取材で新事実を明らかにするか、小沢氏の政策をとことん検証してみたらどうだろうか。
刑事裁判に頼らなくても、小沢氏について厳しく論評する材料はいろいろあるんじゃないでしょうか?

江川氏も朝日新聞の報道の在り方に疑問符を付けている。朝日新聞がここまで小沢氏を批判することは、小沢氏の復権を極度に恐れていることの裏返しと考えている。
小沢氏は朝日新聞が犬の遠吠えの如くほざいても、堂々と証言してもらいたい。

東京地検特捜部のうれしい誤算と悲惨な誤算 

三年近くも、日本中の邪悪な攻撃にさらされながら倒れない小沢一郎というのも大した人間である。東京地検特捜部が満を持して小沢一郎抹殺作戦を開始したのは、09年3月3日のことであった。

容疑は政治資金規正法違反。

この日東京地検特捜部は大久保隆紀秘書を逮捕、3月24日に起訴。
東京地検は政治資金規正法違反として小沢の公設第一秘書と西松建設前社長を起訴。起訴状によると、公設第一秘書は2003年から2006年にかけて西松建設からの献金と知りながらダミーの政治団体「新政治問題研究会」「未来産業研究会」の名義で小沢の資金管理団体である陸山会には2100万円、小沢が代表を務める民主党岩手県第四区総支部には1400万円の寄付を受取り、その上で政治資金収支報告書に虚偽の記載を行ったとされた。(ウィキペディアより)

起訴後も拘置が続き、大久保氏は逮捕から85日間過ぎて、5月26日に保釈された。この間、弁護側は保釈申請を出していなかったらしい。
特捜部は陸山会事務所を始め数カ所に家宅捜索に入り、膨大な量の資料を押収している。証拠隠滅の恐れなどまったくないのにもかかわらずである。第1回目の公判が開かれたのは、何と12月18日だった。
第2回目は、年を越して1月13日。ここで検察側要請の証人が西松建設の2つの政治団体は実態のある団体であるという衝撃的な証言してしまった。

一転、検察は追い込まれたかに見えた。

次の第3回公判は2010年1月26日に予定されている。

このままでは大久保秘書は無罪になってしまう。すると検察は、「陸山会土地購入事件」を突如こしらえて1月15日に小沢事務所の元秘書大久保隆規、石川知裕、池田光智の3氏を逮捕という離れ業にでたのである。

前回公判からわずか2日後、次回公判の11日前である。なんとしても第3回公判を開きたくなかったのだろう。さらに驚くべき事に、東京地裁(登石郁朗裁判長)は1月22日、公判4日前になって、1月26日から2月26日まで予定されていた西松建設違法献金事件の公判4回をすべてとりけしてしまったのである。それに簡単に同意してしまった弁護士もお粗末すぎるが……。

続けて検察は大久保氏に対する訴因変更を申し立てた。

西松事件をなしにして、陸山会事件という新たな裁判をはじめたのである。

登石郁朗裁判長は形ばかりの抵抗を見せたが、結局検察の申し立てを受け入れた。85日間の拘留は一体なんだったのか。
この登石郁朗という裁判長が、推認に次ぐ推認で3人に有罪判決をだしたことは周知のところである。

大久保氏については、西松事件での有罪判決まで下したのである。自分で訴因変更を認めてしまったこととつじつまを合わせたものだろう。この間、検察・裁判所にとって幸運だったのは、民主党が彼らの味方になっていたことである。一部の跳ねっ返り議員を除いて、菅も岡田も仙谷も枝野も検察の味方であった。
鳩山はバカだし。マスコミが味方するのは分かり切っていた。自民党も味方する。裁判所は身内同然である。その上、民主党まで彼らの味方になるとは、検察にとってはうれしい誤算であったろう。

しかしここまでしても検察は小沢一郎を起訴できなかった。それでも検察審査会による起訴は検察の計算に入っていた。検察は慌てなかった。次なる誤算は思いもかけないところから生じた。

大阪地検特捜部である。

村木裁判で特捜部による証拠捏造が発覚した。検察庁は手際よく捏造犯・前田検事を切り捨てた。しかし検察に対する信頼は地に落ちてしまっている。おまけにその前田検事が思いがけず飼い主の手を噛んだ。
「小沢を起訴できなければ検察の負け」「都合の悪い証拠は出さない」「裏金は検察の妄想」言いたい放題に検察の恥部をさらけ出した。

大阪地検特捜部の暴走が東京に跳ね返ってきたのだ。前日の公判では、田代検事による捜査報告書の偽造まで明らかになってしまった。狙った小沢一郎は、その力を大分封じられているとはいえ、いつ逆襲に転じるか分からぬ底力を保っている。一方の検察はズタズタボロボロである。マスコミの勢いも弱まった。

民主党も、親・小沢議員の離党攻勢に晒されている。いまや検察の頼りは裁判所のみである。
登石郁夫裁判長のようなむちゃくちゃな判決を大善文男裁判長が下してくれることを、検察はただただ祈るばかりである。

小沢一郎は、総理大臣になれなかったが、まだ自分の両足で立っている。
それに引き替え……。

東京地検特捜部長・佐久間達也……法務総合研究所国連研修協力部部長(左遷?)
最高検公判部長・大鶴基成……退官(逃亡?)
東京地検特捜部副部長・吉田正喜……法務総合研究所研修第2部長(追放?)
東京地検次席検事・谷川恒太……最高検検事→宇都宮地検検事正(強制疎開?)
東京地検特捜部検事・田代政弘……新潟地検検事(流罪?)
大阪地検察特捜部検事・前田 恒彦……法曹資格剥奪・受刑者・収監中
悲惨としか言いようがない。
彼らを待ち受けていた運命こそ、彼ら自身にとって最大の誤算であったろう。

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