成年後見見直し 利用者を尊重する制度に
2026年5月13日北海道新聞
認知症や知的障害などで判断能力が十分ではない人に対して、財産管理や生活支援をする成年後見制度を見直す民法改正案が今国会に提出された。
介護保険と同時に2000年に導入され、高齢化社会を支える「車の両輪」とされるが、昨年末時点の利用者は約25万人にとどまる。推計では認知症高齢者は400万人を超え、さらに増える見通しで、利用促進のため使い勝手を良くする狙いだ。
現行制度は一度、利用を始めれば亡くなるまで後見人が付き、途中で終了できない。本人の意思決定が制限されるとの批判もある。改正案は本人の事情に応じた支援を選ぶオーダーメード型に変え、必要がなくなれば終わらせることができる。
制度に伴う課題はそれだけではない。全ての人々が人生の最期まで安心して暮らせる仕組みを整えることが重要である。成年後見制度は、親族のほか、弁護士や司法書士といった専門職が後見人を務める。
現行制度では後見人の権限が大きいため、本人の望み通り財産が使えずトラブルになったり、長期間、報酬を支払い続けることが負担になったりするとの声もある。改正案は、本人の事情に応じて支援の内容や担当者を家庭裁判所が選べる形にする。必要がなくなれば終了させることができる。預貯金の管理・解約、不動産処分など特定の支援に限ることも可能だ。
課題の一つに、担い手の確保がある。身寄りのない単身世帯の高齢者は増えており、親族以外の後見人として専門職の重要性は一層増している。一定の研修を受けた地域住民が担う「市民後見人」について、養成を拡充することも必要になろう。
手続きに関わる家裁の態勢拡充も欠かせない。家裁は後見業務に伴う横領などの不正を監視する役割も持つ。業務量に見合った人員の確保が求められる。成年後見の利用を終えたり、利用するほどでなくても判断能力に不安があったりする人々に対する支援も大切になる。
国は今国会でそうした高齢者らの生活を支える制度を新設する関連法の改正を目指す。日常生活の支援に加え、入院・入所の手続き、葬儀など死後の事務などもサポートする内容だ。
社会福祉協議会のほかNPOなどの民間事業者も担い手として想定するが、運営能力が適切かどうかの確認は不可欠だ。利用者にとって金銭負担が重くなれば、支援を受けられない人が出る恐れもある。国会で課題を十分に議論する必要がある。








