やはりクーデター政権か<NHKの改憲扇動は言論の死だ!>

本澤二郎の「日本の風景」2018年10月29日 「ジャーナリスト同盟」通信

<NHKの改憲扇動は言論の死だ!>
自民党の金力、公明党創価学会の大動員、それでも大敗した沖縄の知事選は、日本国民の安倍の改憲軍拡への、強固な抵抗と、平和憲法への支持と期待がこめられている。しかも、首相の改憲扇動発言は論外である。にもかかわらず、またしても、臨時国会での施政方針演説で改憲強行意思表明を受けての、公共放送のNHKが、10月28日の日曜討論で、率先して改憲を煽り始めたことは、放送法にもとる「言論の死」を意味する許されざる行為である。

<日曜討論会で安倍改憲論を主導したNHK>
公共放送は、民意を尊重しなければ、公共放送の資格はない。そのことを百も承知をした上で、臨時国会冒頭の日曜討論会で、安倍の意向を受けたような憲法改正報道を、与野党議員を集めて公然と強行した。改憲への世論操作であり、断じて許されない。
 筆者は、ラジオのニュースで知って驚いてしまった。

こうした報道姿勢は「NHKは公共放送ではない」ということを、公然と内外に明らかにしたことになる。首相に改憲を主張する権利はない。死守する責任がある。それに違反しての暴走改憲論を封じ込める責任が、公共放送本来の役割である。狂ったNHKに改めて衝撃を受けるものである。

<公共放送でないNHKに金を払う国民はアホか>
NHKは、公共放送としての責任を果たしていない。公共放送失格であるから、国民に料金を支払う義務はない。筆者はテレビを見ていないので、当然、料金を支払っていない。NHKを見るのが嫌で、テレビを見ていない。

テレビを見ても、NHKに料金を支払う義務などないことになる。放送法に違反しているのだから、当たり前と言えば当たり前だろう。NHKに金を払う人間は、よほどどうかしていることになる。国民が願ってもいない改憲を扇動するNHKの罪は、著しく重い。

<権力監視が言論機関・NHKの使命である!>
恩師・宇都宮徳馬は、常日頃、言論人の使命・責任を訴えていた。戦前の軍国主義の時代でも、軍部政府を批判する論陣を張っていた宇都宮である。その体験を、後輩の新聞記者に教え諭してきた。宇都宮の周囲には、各社の有能な記者たちが集まって来ていたが、悲しいかな、彼の遺言を守っているジャーナリストはいない。思い出しても、そこにNHK記者はいなかった。

「権力を監視することが新聞人の使命である」との彼の言葉は、今も忘れることが出来ない。筆者の言論活動を支えている鉄則は、この一点にある。公共放送であるNHKこそが、この使命を果たす責任がある。そうであれば、怪しげな原始宗教にこだわりを見せる日本会議の政権が誕生することなどなかった。アメリカのポチのような首相が、存在することなどなかった。
 福沢ではないが、一身独立・一国独立が当たり前の立場であるが、言論が狂うと、ポチがいたるところに跋扈する日本となる。

<国営放送NHKの掌握がクーデター成功の秘訣>
思うに、やってはいけないことを、意図的に報道する行為は扇動に当たる。なぜ扇動をするのか。むろん、原因がある。NHKと政府の関係に腐敗が存在する、と断じていいだろう。人事面の不公正・腐敗である。

国民のための言論機関が、安倍の言いなりの政府広報機関になっていいだろうか。断じて許されない。言論の自由に対する冒涜そのものである。民主主義を破壊する行為でもある。民間の新聞テレビに対する抑圧も許されるわけがないが、事もあろうに公共放送を、政権の維持存続に悪用するなどもってのほかである。本来は、NHKの正義が、政府の圧力を跳ね返すことが本筋である。

「安倍内閣はクーデター政権である」との指摘を受けてきたが、今回の改憲扇動報道によって、その意味することが理解できるだろう。国民はしっかりと、この事実と向き合う必要がある。

「クーデターを成功させる第一の要因は何か。真っ先に国営放送を掌握することに尽きる」という事実を聞いたことがあるが、なるほど安倍内閣の最初の仕事がNHKの会長人事だった。安倍は財閥の代表を送り込んで、いまや完全にNHKの報道を掌握してしまっている。

安倍内閣の長期政権は、NHKを自在に操ることで、それを可能にしている。明らかにクーデター政権と言っていいだろう。NHKが右翼・国家主義の意向を忖度するような報道からも、そのことを見てとれる。

<NHKの健全化、もしくは解体しかない>
政権に掌握されてしまったNHKによる世論操作報道に対して、主権者・国民は真正面から向き合う必要があるのである。NHKの健全化、もしくは解体が、民主主義日本の行方を左右しているのである。財閥に乗っ取られてしまったNHKを、国民に取り戻さねば、この国の未来は開けない!

2018年10月29日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)