「テレビ報道に文句をつけた安倍自民党」の暴露が意味するもの

2014
1128日 天木直人のブログ


 安倍自民党が衆院解散を正式に発表する前日11月20日に、在京のテレビキー局各社に対し、衆院選の報道にあたって、「公平中立、公正の確保」を求める文書を送っていたという。

 
このことが今頃になって明らかにされ、きょう11月28日の東京新聞や朝日新聞が書いている。
 
それに対し、東京新聞などはすかさず田島康彦・上智大教授(メディア論)の、権力の介入があってはならない、とする批判的コメントを掲載している。 それはその通りだ。
 
しかし、この安倍自民党のTV局に対する介入暴露が意味する、もっと重要なことがある。 それは、一つは、安倍自民党政権がはからずも露呈したみずからの脆弱さである。
 
あれほどテレビ各局に持ち上げられてきた安倍自民党だ。 公平中立どころか、すべてのTV局は安倍ヨイショの偏向報道を繰り返してきた。
 
それにも拘わらず、少しでも安倍自民党に不利な報道がなされると、公平中立ではないと文句を言う。 それは安倍自民党政権が今度の選挙で勝つ自信がない証拠だ。 それほど安倍自民党政権は弱く、もろいということだ。
 
ふたつめは、それでも、そんな安倍自民党を倒せない野党の体たらくだ。 これだけ行き詰まった安倍自民党政権であるのに、国民の不満の受け皿になりえない。
 
考えられれない野党の惨状だ。 そして三つめは、やはり何といっても、メディアの不甲斐なさである。 安倍自民党がテレビ各局に文書を配ったのは11月20日だ。
 
それなのに、なぜそのことがいまごろ記事になるのか。 それはその文書を受け取ったテレビ各局が沈黙してきたからだ。 おそらく安倍自民党から口止めされたに違いない。 本来ならば、このような文書を受け取ったなら、その時点で各テレビ局は結束して反発しなければウソだ。
 それどころか新聞が書き立てても、そのような文書を受け取ったかそうか答えない。
 
そして、このような権力介入を、いまごろになって報道する新聞も情けない。 しかも、それがわかったのが、独自の取材というより、自民党筋からのリークであるという。 これを要するに、野党もメディアも、安倍自民党政権以上に不甲斐ないといういことだ。
 
安倍政権が強いのではない。
 ほかが皆、弱すぎるだけである。
 どうしようもない今の日本である(了)