集団的自衛権行使容認の強行突破で安倍首相は墓穴を掘ることになる
2014627日 天木直人 | 外交評論家


こんどの集団的自衛権行使容認をめぐる一連の政局は、安倍自民党政権の独断場であり、公明党も野党もなすすべなく敗れた。
みながそう思っているに違いない。そんな中で、一番傷ついたのは安倍首相の方ではないか、という事を書いた記事を見つけた。


すなわち発売中の週刊実話(7月10日号)の「小林吉弥の政界閻魔帳」というコラムで彼は次のように書いている。国論を二分した今度の集団的自衛権行使問題では、安倍自民党政権も公明党もともにダメージを受けた。そして、公明党の受けたダメージはもちろん大きいが、それ以上に安倍自民党政権の受けたダメージのほうが大きいと、小林氏は書いている。

私が注目したのは、小林氏がそこで上げた次のような理由だ。すなわち、安倍首相があれだけ意気込んだにも拘わらず、一応、閣議決定への道筋はついたものの、「中身」が大きく後退したものになってしまったからだというのだ。

確かにそう言われてみればその通りだ。最近では安倍首相はやたらに平和憲法を引用する。戦わない事を強調する。何のための集団的自衛権行使容認かという気がしてくる。そして、このことは同じように安倍政権の政治生命をかけると大げさに繰り返したそのほかの政策、つまり拉致問題や、成長戦略などにも共通に言えることだ。

つまり、すべてが、それを強行に実施する割には、「中身」がどんどんと後退しつつある。小林氏は自民党議員の言葉を借りて次のようにその記事を締めくくっている。

政権に大きな反動、揺り戻しが来る可能性がある。下手をすれば安倍政権の「終わりの始まり」になりかねないということだ。集団的自衛
権行使容認の閣議決定後の世論調査結果が注目される、と
安倍長期政権が当たり前のように語られる中で、たとえ週刊実話の記事とはいえ、このょうな見方を書いた記事は初めてだ。


いや週刊実話だからこそ書けた記事なのかもしれない。それは案外正しいかもしれない。安倍首相の政策は、そう言われてみえば確かにすべて期待外れに終わっている。いまが安倍政権の一番いい時かもしれない。

後は急速に沈んでいくのかもしれない(了)