東電の大ウソ証明 やっぱり原発汚染水ダダ漏れ続いていた 1年間で16兆ベクレル流出 (日刊ゲンダイ) 

 (日刊ゲンダイ 3月16日)
◆東京海洋大が論文発表
やっぱりだ。福島第1原発の汚染水をめぐる東電の発表が、大ウソだったことが改めて分かった。

東電は11年6月以降、「汚染水の海洋流出は止まった」と発表しているが、東京海洋大の研究グループの試算によると、その後の1年間で16兆1000億ベクレルのセシウム汚染水が原発の専用港にタレ流された可能性があるという。事故前の排出限度の73倍の数値だ。これまで、海水の放射性セシウム濃度がほとんど変わらないことに疑問の声が上がっていたが、案の定、汚染水はダダ漏れだったわけである。

この問題に関する論文を発表した東京海洋大教授の神田穣太氏(海洋科学)はこう言う。 「事故直後と比べると、数値は低くなっていますが、汚染水の海への流出は止まっていなかったということです。福島第1原発の専用港の海水は、海流や潮の満ち引きで1日に約44%が入れ替わります。つまり、港湾の外にも流れ出ているのは間違いない。昨夏のデータを基にすると、港湾内の海水の汚染レベルが公表されているセシウム濃度になるには、原発敷地から1日80億ベクレルが流れ込んでいる計算になる。風評被害が拡大する恐れもあり、さらなる調査が必要です」

先月、原発港内のアイナメから1キロ当たり51万ベクレルの放射性セシウムが検出されたが、きのう(15日)はさらに、同74万ベクレルもの汚染アイナメが見つかった。これは基準値の7400倍で、過去最高だ。神田教授によると、今回はじき出した試算からも、これほど高濃度の汚染魚が出てくることは考えられないという。

「非常に不思議です。事故当初の4、5月の放射能レベルがこれまでいわれていた以上にひどかったのか、原因ははっきりとは分かっていません。現在、いろいろな可能性を議論しているところです」(神田教授) やはり福島第1原発では、人知では計り知れない“何か”が起こっているようだ。
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原発汚染水 専用港に流出し続けていた可能性

動画⇒http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130315/k10013213841000.html

東京電力福島第一原子力発電所の専用港で、海水の放射性セシウムの濃度がほとんど下がらなくなっていることについて、東京海洋大学の研究グループが試算したところ、汚染水の流出が止まったとされるおととし6月以降も、1年間で事故前の排出限度の73倍に当たる放射性セシウムが専用港に流れ出た可能性があることが分かりました。研究グループは、詳細な調査を実施すべきだ、としています。

東京海洋大学の研究グループは、福島第一原発の専用港で海水に含まれるセシウム137の濃度が、去年春以降、高いところで、国の基準を上回る1リットル当たり100ベクレル前後からほとんど下がらなくなっていることから、原因の究明に役立てるため独自に試算を行いました。

試算では、専用港の海水は、海流や潮の満ち干で1日に44%が入れ替わると推定され、セシウム137が公表されている濃度になるには1日当たり80億から930億ベクレルが流れ込んでいる計算になる、としています。その結果、汚染水の流出が止まったとされるおととし6月以降の1年間では、事故前の保安規定で定められた排出限度の73倍に当たる16兆1000億ベクレルが専用港に流れ出た可能性がある、ということです。

専門家によりますと、1年間に排出限度の73倍に当たる放射性セシウムが流出したとしても、外洋の生物にはほとんど影響はありませんが、港の中に生息する魚介類が体内に取り込むおそれがあるということです。東京海洋大学の神田穣太教授は「海水の測定データから、原発の敷地内の土が雨で流れ込んだ影響とは考えにくく、地下水や壊れた配管などを通じて汚染水が漏れ出している可能性がある。詳細な調査を実施し、原因を特定すべきだ」としています。

これに対し東京電力は「さまざまな調査の結果から、発電所の敷地から放射性物質が海に流出しているとは考えていない。ただ、専用港の海水で放射性セシウムの濃度が下がらない原因は分かっていないので調査を続けたい」と話しています。