道路総点検 天下り先ボロ儲けのバカらしさ、緊急経済対策に高笑い

(日刊ゲンダイ1月19日)

<点検・補修の受注先には、国交省OBズラリ>

総額13兆円規模に膨らんだ2012年度補正予算案。安倍政権はこのうち2.2兆円を老朽化した道路施設などの総点検と補修に充てると息巻いているが、この方針に国交省の天下りOBはほくそ笑んでいることだろう。道路やトンネル、橋梁の点検・補修には「調査」「管理補助」「発注者支援」などの事業に無数の天下り財団がぶら下がり、われわれの血税を食い物にしてきたからだ。

昨年12月、天井板が崩落し9人が死亡した笹子トンネル。事故後の緊急点検の結果、1211カ所もの不具合が見つかったが、事故3カ月前の大規模点検で不具合を見過ごしてきたのは「中日本ハイウェイ・エンジニアリング」なる中日本高速の子会社だ。社長、副社長、取締役に加えて、役員4人のうち3人が旧道路公団のOBという天下り企業である。

一般道には国交省OBが巣くう。「先端建設技術センター」「土木研究所」「日本建設総合情報センター」……など、おびただしい数の天下り財団が国道の点検・補修事業に関わっている。

「09年には天下り官僚がトップを務めてきた財団法人『道路保全技術センター』のずさんな調査が発覚。国から国道下空洞調査を計5億4000万円で受注したが多数の空洞見逃しや報告書のインチキが見つかったのです。この法人は民主党政権に解散を命じられましたが、センターの残した30億円の資産は国が没収するはずだったのに、国交省の天下り先などがセンターからの寄付の形で山分け。センターが実施していた舗装施工管理技術者の資格試験も、国交省OBが理事を務める『日本道路建設業協会』に引き継がれました」(野党関係者)

さらにズサン調査を行っていた当時の理事長で元建設省技監の佐藤信彦氏には退職金を支払わない方針だったが、佐藤氏は「退職金を支払え」と提訴。裁判所も訴えを認めてしまった。

その後、佐藤氏は「日本トンネル技術協会」という天下り法人の会長にチャッカリと納まっている。典型的な“渡り”だし、この協会はトンネルの維持管理の調査研究を行っている。安倍政権の大盤振る舞いの恩恵にあずかるのは間違いない。

バラマキ補正で国交省の天下り先がボロ儲け――。こんなことで本当に景気は上向くのか。